「映画とは直接の関係はないけど恥ずかしい点」カーテンコールの灯 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
映画とは直接の関係はないけど恥ずかしい点
こんな思い、どれだけの人に通じるのか分かりませんが。
例えば、こじんまりした講演会に参加したとします。お話の途中で講師の方から突然、
「では、その事について皆さんがどう考えるか、お隣の方と話し合ってみて下さい」
と求められる事があります。僕はこれが無茶苦茶苦手なのです。背景も個性も考えも分らぬ初対面の人と話し合って下さいと急に言われても、そんな事恥ずかしくてできる筈はありません。講師の方もその雰囲気を察して、
「初めての方とでは緊張するでしょうから、アイスブレイクとして『最近観た映画、読んだ本』でお話を始めて下さい」
と仰います。でも、そのわざとらしさが一層恥ずかしくて堪らず、その場から逃げ出したくなるのでした。誰とでも自然な笑顔を交わす事が出来るアメリカ式の対話スタイルなのかなと想像します。
そこで本作です。一家に起きた何か只ならぬ出来事をきっかけにバラバラになった家族が、アマチュア演劇のグループに加わる内にその傷が癒され、一家の出来事も明らかになって来るという物語です。穏やかで暖かなお話はとても心に染みるのですが、僕が強く心に残ったのは演劇の稽古場面でした。それがまさしく「おとなりの方と話し合って下さい」型のトレーニングなのです。
「えっ?お芝居と直接的関係は無い様に見えるけど、こんな事もしなくちゃならないの?」
と僕は客席で身を捩ってしまいます。例えば、人前で衣服を脱いで裸になるなんて事はお芝居ならば僕は別に恥ずかしくはありませんが、心を裸というこのトレーニングは耐えられそうにないなぁ。
ちなみに、映画自体は大変よい作品でした。