「レビューの少なさは、やはり映画の出来を表すバロメーター」カーテンコールの灯 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
レビューの少なさは、やはり映画の出来を表すバロメーター
この製作チームの前作「セイント・フランシス」がたいへんに良くって、この度も映画館へと足を運んだ僕。
しかし特に前半、
上手く流れを作っていない散らかったエピソードの数々。その羅列でちょっと残念でした。
脇役が多過ぎたのです。
「そこに花を植えるな!触るな!」と怒り狂う父親の痛みはひしひしと伝わります。なぜならその木の根元は息子が死んだ場所だからですね。
僕も「蘇生」をやった事があります。10年、くびつりということばは言えなかったから。
仕事にも、家庭でも、そして演劇の練習においても、PTSDのゆえに足が地に着かない。ふわふわして心ここにあらずのあのお父さんでした。
でもせめて、芝居の発表会の日には、カタルシスが解けて大声や大泣きがあっても良かったと思うのは僕だけだろうか。
妻と娘に肩を抱かれての、帰宅のシーンで終わりです。
微妙なハーフトーンと、地味で隠れた心のひだを表現したかったのだろうけれど、テーマの大きさを消化出来ずに制作陣まで試行錯誤をしてはならない、という
これは失敗作かなぁ。
本当の親子が主人公を演じたのも、撮影現場の甘えや “なあなあ感”を生じさせるのですね。鋭さが無い。
ふだんは観たことを後悔するレビューは書かないのだけれど、鑑賞メモとして。
きりんさん
コメント見られました、ありがとうございます!
監督・主演のみならず脚本家まで家族が兼ねているとあって、知らず知らず身内かわいさに走ってしまった、身内の心やすさで知らず知らずなれ合いになってしまった、そしてそれが通ってしまったんでしょうか。
私はリタが無理で、ああいうキャラクターを作って彼女に演じさせたのは誰のアイデアなんだろうかと思いました。
息子を自死で亡くした親の、心が張り裂けそうな思いは伝わってきたし、劇を演じることで落ち着きを取り戻す(「癒される」まではとてもじゃないけど到達できない)過程も分かるのでいい話とは思うんですが、アラが目立ってしまってただ「良い映画でした」と言えないところがあるんですよね。
かばこさん
映画監督業は、たとえ同じチームで次の作品を撮ろうとも、俳優たちとはお友達関係になっちゃいけないんだと、今回強く思いましたね。
黒澤明は、繰り返し黒澤組を率いていても 恐らく現場には役者を殺さんばかりの気迫があったのでしょう。ダメ出しの嵐で、火のようなメガホンがなけりゃ作品には入魂出来ない。
本作、モチーフは良いのに監督と脚本家が夫婦なのも更に裏目に出たかなァ・・
僕は前の作品を高評価していただけにですね、その前作にまでケチが付いて、足を引っ張られて、駄作に思えて来てしまうから もうショックでした。
トホホ(笑)
気を取り直して次行こ!次!
でもコメントありがとうございました。
>本当の親子が主人公を演じたのも、撮影現場の甘えや “なあなあ感”を生じさせるのですね。鋭さが無い。
これは私も思いました。なんだか内輪でのなれ合いがあったように感じました。