ベートーヴェン捏造のレビュー・感想・評価
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レモンサワーの罠とレビュー捏造⁈
祝日前の夜、レモンサワー片手に鑑賞しました。子どもの頃、映画館でスナックや飲み物を手にする人たちをまるでセレブのように憧れてみていました。そのささやかな夢を今日密かに実現できて、とても幸せです♡
まず、本作はコメディでもパロディでもありません。バカリズム脚本と聞くとつい笑いを期待してしまいますが、今回は史実や原作への忠実さとリスペクトが軸になっています。
「ドイツ人のベートーヴェンを日本でどう描くか」という難題に対して、「現代日本の中学生が想像したウィーン」という独自の設定を採用。登場人物を生徒が通う学校の先生が演じるというアプローチにより、親しみやすく、違和感なくベートーヴェンの世界を観客に届けられています。ここに脚本バカリズムさんの巧みな視点が光ります。
物語の中心はシンドラー(山田裕貴さん)のベートーヴェンへのまっすぐすぎる愛です。はじめは健気に映るその純粋さも、次第に「キモさと狂気」に変化して感じられるのが、この映画の肝といってよいでしょう。
古田新太さん演じるベートーヴェンも、この世界観に見事にマッチしており、「実際は本当にこんなベートーヴェンだったのかもしれない」と思わせる説得力があります👏
天才はしばしば変態です。捏造される前も後も、ベートーヴェンは天才であり変態です。そして彼を支えたシンドラーも同じです。誰もが知る名曲を生み出した偉人が、このような二面性をもった普通のおじさんだと考えたら、少しだけ身近な人に感じられるのかもしれません。
映像表現もとても印象的でした。舞台劇を思わせるLED背景演出は、生徒の想像の世界という設定をより的確に描いており、実写撮影よりベストな選択に思えました。
憧れの劇場アルコールは、私には少しハードルが高かったです…。思いの外並々と注がれたレモンサワーの罠に完全にやられて、気がつけば現実と想像の間を行ったり来たりしていました。
だから
⚠️このレビューは半分捏造です🙇♀️
シンドラーがベートーヴェンを愛するあまりに伝記を偽ったように、私もまた“映画愛”ゆえにレビューを半分捏造しています😅
情報や想像で足りない部分は、自分なりの愛ある妄想で補っています。
「捏造=想像=愛」
こんなレビューのカタチも、今作品ならではの映画鑑賞の楽しみ方としてお許しください🙇♀️
🎵今宵の締め
今日はレモンサワー片手にベートーヴェンと妄想旅行、そんな夜も悪くない😎
*星数は影響なきよう、レビュー平均にしていますので悪しからず。
誠実なルポルタージュ本を笑いと哀愁の娯楽映画に。“脚本家”バカリズムの新境地
文筆家・かげはら史帆による「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」はノンフィクション本に大別されるものの、小説形式で中心人物シンドラーの内心を描写するパートも含まれる。「ルポルタージュ」という言葉は近年目にする機会が減った気がするが、フランス語由来で「報告文学、報道文学」などの意味を持つこの外来語が指すジャンルがよりふさわしいだろうか。シンドラーがベートーヴェンの会話帳を盗み出すことを決心するシーンや、米国人研究者セイヤーとシンドラーが対決するシーンなどは、小説風に書かれた原作の描写がかなり忠実に映像化されている。
バカリズムはこの5年ほど脚本家としての活躍が目覚ましく、映画では「地獄の花園」「ウェディング・ハイ」、ドラマでは「ブラッシュアップライフ」「ホットスポット」といったコメディ作品で人気を博してきた。この「ベートーヴェン捏造」も基本は喜劇映画として楽しめるが、主題に関わる巧みな意匠も認められる。
目をひくのは、原作にはない現代日本のパートによって、“語りの多層構造”に新たなレイヤーを加えたこと。そもそも物語の主人公であるシンドラーは、ベートーヴェンの秘書を数年間務めた経験と、難聴の作曲家のために自分や面会者等の意思を伝える際に書きとめた会話帳をいわば一次資料として、ベートーヴェンの伝記を執筆した。つまり、ベートーヴェンの言動や名曲に込めた意図を語る人物だ。しかし先述のセイヤーや後年の研究者らから、シンドラーが執筆した伝記本には捏造が多く含まれる可能性が高いと批判されたことを伝えるのが、かげはら史帆のルポルタージュ。ここでもシンドラーによる捏造とそれをめぐる騒動について語るレイヤーが加わっていた。その内容を劇映画化する際に、バカリズムは中学の音楽教師(山田裕貴による二役)が男子生徒にシンドラーの話を聞かせるという、オリジナルの語りのレイヤーを重ねた格好だ。
この新たな語りの層の効果として、教師の話を聞いて生徒が想像する物語世界という体(てい)で描くことにより、19世紀の欧米人を日本人俳優が演じることを観客が無理なく(いやむしろ、おかしみを感じつつ)受け入れやすくなるメリットがある。だがそれだけではない。ストーリーが人から人へと語り継がれる過程で、語り部が聞き手の興味をひくために事実を大げさに盛ったり、さらには無いことを有ったかのごとくでっちあげたりするのはままあること。そうして虚実ないまぜで面白くなった物語こそが語り継がれる価値を持つという真理が、本作に隠されたメッセージではないか。そんなことを考えさせられた。
口を塞がれなかったパパゲーノ
クスッと笑える、歴史映画
ベートーヴェンの実像と虚像
ベートーベンの伝記改ざんにまつわるミステリー劇
劇場で何回も予告観ても、日本人俳優がコスプレしてふざけてるようにしか見えず、脚本もバカリズムさんということでキテレツコメディかなと気楽に観に行ったら、偉人にまつわる伝記が、後世の誰かによって改ざんされていくという話をしっかり見せてくれる良作でした。
子どものころ読んだ伝記の偉人が、実はこんな面もあったなんて話がありますよね。野口英世さんが女遊びが好きだったとか。
後の世に名前を残してる偉人たちも、美化するのに都合が悪いことは意図的に描かなかったということがあったことは想像できます。それを捏造とまで言うかどうかとは思いますが。
以前、子どもと一緒に図書館に行った時に今時は伝記モノのコーナーに「ボブ・マーリー」があってビックリしました。大麻のことも書いてあり2度驚きました。そこは避けて通れなかったんかい。
こちらは原作未読ですがそもそもおもしろい話なのは想像がつくし、バカリズムさんの脚本がカタい内容の原作をうまくオブラートに包むように作用してるんじゃないかしらと。
豪華な俳優陣以外はとことん削ぎ落とした作り(具体的にいうと背景はほぼ合成)なので、そこにイチャモンつけるのも理解できますが、ベートーベンのオーケストラ曲を劇場の音響で聴くからこその面白み。これは配信だと全部がチープに感じて伝わらないでしょうね。
語りべの役割の山田裕貴さんが劇中劇で、主人公シンドラーを演じ、モノローグで心の声を語りまくり。ここまでモノローグ多くても観ていられるのは、字幕なしの邦画ならではだよなあと思いました。ジャズアニメ「BLUE GIANT」の時も思いましたが、この方、声の芝居も抜群ですね。
劇場で観ないとおもしろさが伝わりにくい作品だと思いますので、機会がありましたら映画館での鑑賞をオススメいたします。
配信でも良かったかも…
前半はテンポも良く出演時間が少なくとも見覚えのある俳優さんやミセスの方等が次々出てきてある程度は楽しめました。
しかし山田裕貴さん(シンドラー)の語りが多く淡々と進むので後半になるにつれ少し飽きがでて来ました。そこにベートーヴェンの聞き覚えのあるメロディが流れてきてウトウトしてしまった場面もありました。
バカリズムさん脚本という事もあり期待し過ぎたのかもしれませんが、皆さんの演技力で何とか纏まっている感じでした。
「怪物」の柊木陽太君も成長した演技でした。清塚さんのピアノは素晴らしくエンドロールでは聴き入ってしまいました。
配信を待っても良かったかな〜って思いました。
笑い不足
清塚信也さんのピアノを楽しむ映画
バカリズムさんの脚本、古田新太さんのベートーヴェン、これは見ておかねばで鑑賞。
狂信的なファンだと、ああなってしまうのか、美化しすぎにも程があるというお話。
バカリズムさんの作ではない、あくまで脚本だから
「クスッ」はあるけど、昨今のテレビドラマを期待していくと、物足りないかもしれません。
ベートーヴェンを掘り下げるなら、変態じみた曲もあるのだから、そういう曲を「こんな曲作ってるんですよ。本当はこんなに変な人なんですよ」って出してくれば、もっと分かりやすいのに。
あと、ベートーヴェン=第九はほんと勘弁して欲しい。
個人的には清塚信也さんにリース役(井ノ原快彦さんがやっていた)やって欲しかったな。
絶対、饒舌に語りそうだもの(笑)
とにかく、清塚信也さんのピアノが心地よい映画でした。
入れ子構造の面白さ
コミカルな味付けだけど至って真面目です
ベートーヴェンを詳しく知りませんが、だいぶ前にテレビで観た映画(タイトル覚えてません)では、晩年の彼の弟との確執や甥への執着の話で、気難しく嫉妬深い人物のように描かれていたと記憶しています。
本作ですが、日本の中学校のある日の放課後、一人の生徒が音楽室で先生からベートーヴェンの話を聞くことになります。
知ってるか?「運命」のジャジャジャジャーンは、運命が扉を叩く音なんだよ…
ベートーヴェンの神聖なイメージは、熱烈な崇拝者である秘書のシンドラー(山田裕貴)によって作り上げられたものである、という後の研究報告書がベースです。
古田新太さんが、下品で小汚いオッサンとしてベートーヴェンを演じましたが、初対面こそ上着にゴミくずがくっついてだらしない感じを出してましたが、後はそんなに汚い印象は無かったです。
意外だったのは、てっきり師弟の固い絆みたいな話かと思っていたのに、シンドラーの思いは一方通行で、ひたすら奉仕する彼をベートーヴェンは何とも思っていなかったことです。
偉大な天才を、自分の理想の人物としてプロデュースしたい欲望で突き進み、見事に成功した彼の笑顔が印象的でした。
でもシンドラーの眉毛はもっと貧相にした方が良かったと思います。
中学校の先生たちと当時の人物を一人二役で演じるところが「大河への道」と似ていますが、キャスティングは良かったです。
<おまけ>
私は普段クラシックを聴きませんが、数年前に関ジャムという番組でベートーヴェンを取り上げていて、「運命」のジャジャジャジャーンは休符から始まる、つまりンジャジャジャジャーンなのだと知りました。途中の部分を聴くと確かにそうでした。(高校で音楽を選んだ人には常識かもしれません)
休符から始まる(拍の裏から始まる)曲はリズミカルな効果があります。”lemon”がそうですね。
これをベートーヴェンが編み出したのかどうかは忘れましたが、その他にも、現代音楽の基礎を作った天才なんですね。
ベートーヴェンが悪く描かれてなくて安心しました
ベートーヴェンピアノソナタのファンとしてはベートーヴェンが悪く描かれていたら嫌だなと思ってみていましたがそんなことはなく、ちょっとクセ強めで気難しいところはあるけど、お高く止まることもなく愛嬌のある気さくなおじさんとして描かれていて安心しました。
何が真実か、どこまで真実かは結局わかりませんが、ベートーヴェンという天才の人物伝と当時の時代背景のドキュメンタリーとしてはわりと楽しめます。ベートーヴェンの曲がたくさん出てきますが特に曲の解説などはないので知っている人だけがニヤけることができますが知らなくても楽しめます。
コメディタッチですがストーリー全体としてはわりと真面目な映画で、バカリズムっぽさを期待すると期待外れかもしれません。
伝記モノとしては面白く見れる
バカリズムだから絶対話題作と思ってたのに、旅行中見逃してる間にあっという間に1日1上映に。慌ててみにきたが、思ったよりしっかり伝記物、で確かに人は選ぶなと納得。
山田くん推しで楽しみにしてたのだが、この作品で表情の演技力を今まで以上に感じた。難しい心情の変化良く出てたと思うし、あの目力に狂信者の境地が見てとれた。でもあの特徴的な声と喋り方で山田くんはいつも山田くんだ。それがいい。
そして豪華キャストもまた。エンケンさんがエンケンさんのままドイツ人を演じてたのが妙にマッチして楽しかった。小手さんとか小澤さんとか野間口さんとか8番出口!の河内さんとかこれでもかというくらいに出てくるのが良い。古田新太は最早小汚いベートーベンにしか見えない。
前半結構笑えたのでもう少し後半も軽くてもよかったかなーというのと、シンドラーの話とはわかっているけどベートーベンの生前の物語もう少し長くてもいいのになー。いまいち、なぜそこまでして阻止しなければいけないのか感情移入はできなかった。女侍らせようが、ウェイターに食事ぶっかけようがさほどダメージはないような。。
ただ題材としては全く知らなかったし、むしろ実際?の出来事をこんなに楽しく見せてくれたことには感謝。あの厚みを見ると絶対読まないけど、実際の書籍にも興味をもった。せめて原作くらい見てみてもいいな。
ちなみに後日配信された時向けにメモとして、第九初演から2年後に呼び戻されるまでの一番大切な紆余曲折は寝てました、自殺未遂とかハテナだったので後で必ず見るように。。
利にならないことを暴く暇あったら天ぷらそば食べよ
人は多面体なのだから見る角度により全く違うものに見える。ましてや見る方の人間が色眼鏡をかけていたり、視力が悪かったり、盲信していたり、執拗に観察していたりどんな見方をしているのかわかったもんじゃない。だから真実はひとつじゃない。
『羅生門』の映画『藪の中』の小説のように死人が語ることはできないのだから、真実は藪の中でいい。
利にならないことを暴いて真実を晒すのは野暮の極みだ。それもまた真実かどうかもわからない主観かもしれないのだから。
死んだヴェートーベンの気持ちなんて誰にもわからない。彼の残した崇拝するべき素晴らしい音楽だけが本人を物語ればよいのかもしれない。
ましてや歴史上の人物だったら?例えば織田信長捏造なら、本作のように関係者が亡くなるのを待って出版する必要もなくずっと前に亡くなった人物の捏造は容易い。大河ドラマでも映画でもコミックでも捏造しまくりだ。
それでは今を生きている有名人とその関係者だったら?永野芽郁捏造だって日々頭の中で勝手にやっている人もたくさんいるだろう。
その人に才能や輝きがあればそこだけを見ていればいいという人も少なくないだろう。
オール日本人キャストでヴェートーベンの時代の人物を演じるのは舞台ならまだしも実写映画では本来なら厳しい。ところが音楽室の教師と生徒の会話という二重構造になっているため、それを「アリ」な世界観とスイッチを入れてしまったらもうバカリズムの罠に喜んでかかりに行こう!
コメディ的な笑いではなく、面白さ。人というものの輪郭をデッサンするかのような興味深さがどんどん増していくことだろう。
特にラストシーンは山田裕貴の背後にヴェートーベン古田新太が見えるだけでなく、背後にバカリズムが見えた。山田裕貴のシンドラーの語るセリフはすべてバカリズムが語っているように感じた。
染谷将太のジャーナリストセイヤーの決断が、まあそういうことよな。正しいことを追求するのは実は視野が狭く、大きく物事を見ると正しくなかったりすることもあるんだなあ。
年末に脳裏をよぎる、♪天ぷらそば食べよう!だって大きな捏造だけど大目に見ようw
それが人類の平和かもね。ピース(*^^)v
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