ベートーヴェン捏造のレビュー・感想・評価
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意外と真面目で意外としっかり─
ノンフィクションの原作をもとにしただけあって、かなり内容がしっかりしていて、セットや街並み、衣装などもかなりきめ細かかった印象で、予想外の真面目な展開に、笑ったり眠くなったり・・・真剣な歴史ものがゆえに古田新太や山田裕貴がドイツ人を日本語で演じる面白さがじわじわくるんですが、あくまでにじみ出てくるような面白さであり、興味が無かったり油断したりすると一気に置いていかれてしまう感じになる危険性もあるのかなー、なんて・・・
日本語だけの台詞なのに字幕が当たり前のように出たり、全部日本語なのにメモは違うんかい!とか、ふざけてるのか怠けているのかよく分からないところなんかも結構笑えるんですが、個人的には思っていたよりも笑えなかったかなぁ。音楽ものなので、内容そのものには結構興味を持ったのですけど、正直、この内容ならばやっぱノンフィクションとかがしっくりくるような気がしたので、何もこの面々でエンタメにしなくてもなぁと思ったりしました。面白いんだけど、あくまでネタとしての面白さであって、映画とか作品としてはどうなのかなと─。
おもしろ~い
こんなに面白いとは…。ベートーベン…てゆーからどんな映画だろ?…と。古田さんのベートーベンと秘書の山田くんとのやりとりが面白くて何度も笑ってしまった。ガミガミ怒る古田さんと、おっとり半口空いてぼーっと喋る山田くんとのコラボが漫才みたいで楽しかったです。指揮者の小澤パパさんの息子さんの小澤さんがベートーベン役ではなく敢えて近い役どころや、遠藤憲一さんと妻役の西田尚美さんや、市川紗椰さんの…えーっと郵便局CM出てるタレント兄ちゃんとの夫婦役も とても合ってましたね。とにかくキャスティングがバッチリで見応えアリでした。最初からの中学生男子と山田くんとのやりとりにも笑わされました…あの少年も上手くて。将来有望なんですけど。山田くん上手いですわー。
意外とシリアス。
バカリズム脚本とベートーヴェンが好きな人におすすめ
偉人の真の姿とは?
原作読了組。山田裕貴さんがシンドラー? 古田新太さんがベートーヴェン? 全ての外国人を日本人俳優が演じる、それって学芸会じゃないの〜…の第一印象を破ったのがこの物語は日本のある中学校のある音楽室で「創造」されている、という設定だ。創造と書いたがかなりのノンフィクションのようだ。シンドラーがベートーヴェンを捏造していた。音楽界が猛然とひっくり返ったらしい。
その過程を映画で観るわけだが、まず古田さんのベートーヴェン。笑えるほどベートーヴェンにしか見えない。そして問題の山田さんのシンドラー。最初はもう星が身体の周りを舞っているようなピュアピュアボーイ、キラキラした瞳はもはや愛玩動物かとまで思う。この瞳だ。ストーリーが進むというのに瞳の光が消えない。だが光の意味は憧れから守護の思いへと変わる。予告映像にもあるが炎を前にしたシンドラーの顔にはぞっとする。
シンドラーの行為は異常だ。始めこそベートーヴェンは神聖でなければならない、醜さは隠さなければならない、のはずがいつしか自分が書く人物こそベートーヴェンであるとなっている。現在で言えば二次創作で書いた自分のベートーヴェンが本物なのだ、とすればいいだろうか。
それなのにシンドラーの瞳は一途だ。その瞳に映るベートーヴェンがかつてのベートーヴェンではなく他者になっているのに気が付かない。ずっと主人の側にいる愛玩動物。いや、愛玩動物ならば主人のありのままの姿を愛するだろう。それともシンドラーは捏造を重ねながらかつてのベートーヴェンを心深く忘れずにいたのか? だからこそ捏造を続けたのか? この点は分からない。
今の世では人物の捏造はあるまじきものとして一次資料が求められる。どうしても見つからなければ「逸話がある」とされる。しかしシンドラーが行なったように、一次資料に手が加えられている偉人と呼ばれる人物は探せばもっといるのではないか。
現在に伝わる偉人達の真の姿はどれだけ真なのか、と考えずにはいられない映画だ。
私がこれ程魅せられる理由の一つに画面の「暗さ」がある。自然光とロウソクが明かりだった時代。窓から自然光が差し込み、顔が逆光になる場面も多い。部屋も社交場も暗い。
それがいい。美しい。
明る過ぎる現代。憧れさえ感じる。
偉人の伝記の裏側
ベートーヴェンファンが納得する優れた映画
原作は未読である。一見、福田雄一作品のような見る者をバカにした下らないパロディ映画かと錯覚したが、非常に真面目に作られた傑作だった。自分で書いたベートーヴェンの伝記を通して、自分の理想とするベートーヴェンの聖人的な姿を音楽史に残そうとした元秘書のアントン シンドラーを主人公にした物語である。ベートーヴェンのファンには既によく知られている話で、私もほぼ全て知っていた。
ベートーヴェンは難聴が酷くなってから、他人との会話に手帳を使うようになっていて、相手に手帳を渡して用件を書いてもらって会話をしており、その結果、会話の内容が大部分文字として残ることになった。ベートーヴェンの方はほとんど口で喋っているので、残されているのはベートーヴェン以外の人物の発言である。残存しているのは全部で 139 冊で、そのうち 137 冊がドイツ国立図書館(現ベルリン国立図書館)に所蔵されている。 1818 年から 1827 年までの最晩年の 10 年分ほどが残されている。日本語訳は出版されていないが、英語版は1年分ほどを1冊にして刊行されており、現在第4巻まで出版されている。今後も刊行は続くのだろうが、1冊が日本円で1万円もするので、そう気軽に買えるものではない。
これが歴史的資料としては非常に重要な記録なのであるが、シンドラーの許し難いところは、自分の主張を真実と言い張るために、貴重な資料である会話帳の中で不都合な記述がある 250 冊以上を焼却した他、紙面の空白部分に自分で夥しい書き込みを行なっているところである。1820年9月から1822年5月までの部分が1冊も残っておらず、その多くは、おそらく聖人らしからぬ下ネタなどが含まれていたためだろうと推察されている。
会話帳は、手紙や日記と並んでベートーヴェン研究における重要な一次資料と見なされているが、筆談の記録というのは他に滅多に例がない。会話帳は筆記者の特定や文脈の把握が容易ではなく、19 世紀から 20 世紀前半にかけて何人もの研究者が匙を投げてきたが、1960 年代に新たに結成された「ドイツ国立図書館版・会話帳チーム」は堅実だった。戦前に図書館の音楽部門長が遺した未完の編纂版を基礎として解読を続けたのである。
彼らの代表が、1977 年の 3/20〜23 日に開催された「国際ベートーヴェン学会」において、「会話帳の伝承に関するいくつかの疑惑」というタイトルで発表を行ったのであるが、それは「われわれが編纂している会話帳のなかに、ベートーヴェンの死後、故意に言葉が書き足されている形跡を発見した」という驚愕すべき内容だった。書き込みが見つかったのは、137 冊中 150 ケ所以上に上っていた。シンドラーの没後 114 年後のことである。
シンドラーと同世代のアメリカ人研究者アレグザンダー セイヤーが、改竄に気付きながら取った行動にも言及されていて、非常に緻密な構成になっていて、実に見応えがあった。登場人物の全員を日本人俳優が演じているが、これが西洋人俳優が演じてドイツ語や英語で会話がなされていれば、「アマデウス」に匹敵する映画として世界中で歓迎されたはずである。また、ベートーヴェンがいくら俗人だったとしても、到底ワーグナーには及ばないので、次回作には是非ワーグナーを期待したい。
脚本の水準は驚くべき高さで、俳優陣もそれぞれ熱演だったが、惜しむらくはベートーヴェンの俗人性ばかりが強調されて、超絶的な数々の名曲を作曲した人類史上稀有な大天才だったという描写が不足していた点である。第九の指揮をしている姿だけでは物足りない。作曲中の楽譜をチラ見してその音楽がシンドラーの頭の中で鳴り響くとか、ベートーヴェンのピアノの即興演奏の凄さを見せるとか、いくらでもできそうなものである。ベートーヴェンの死去の場面がちゃんと描かれなかったのも物足りなかった。ベートーヴェンの弟子のリースの夫人を演じた市川紗椰が惚れ惚れするほど美しかったのに、ちゃんと映してくれなかったのも不満である。音楽は、ベートーヴェンの曲をアレンジしたものが劇伴で流されていたが、あまり良い出来ではなかったのも惜しかった。
(映像4+脚本5+役者4+音楽4+演出4)×4= 84 点
ウィーン捏造
失礼ですが、映画館で観るに値しない
俳優さんたちをはじめとしてこの映画に携わる人たちが一生懸命この作品を作ったことを承知の上で無礼な感想を書かせていただきます。
決してこの作品をバカにする意図はありません。
まず、
バカリズムさん脚本にしてはひねりも伏線もないストーリー
映画の雰囲気はふざけすぎてないけどコメディ感があり、ちょい役も有名俳優が演じているほど豪華キャスト。
しかし、コメディ感がある割にセリフの掛け合いがおとなしくキャストが豪華なだけに面白くなるのかなと期待してしまうがそこまで面白くならない
特に筆談のシーンは必然的にテンポが悪くなるのか、心の声のシーンも長く多い印象で今一つ笑えない
何より1番残念だったのは多分ほぼCGで作られた安っぽい街並み
総評して凝ったセットで作られた長くつまらないコントを見ているようだった
テレビのコント番組で見るならまだしも映画館で観るには値しないと感じた
この投稿を読んで気分を害した方がいらしたらすみません
変化してく真実。
音楽室へ忘れたペンケースを取りに行き「コーヒーでもどう?」と音楽教師に捕まりベートーヴェンの秘書をしたシンドラーの話を聞かされる生徒の話。
シンドラーの秘書時代、ベートーヴェンが亡くなってから伝記を書くまでを教師と生徒の語りを合間に挟みながら見せる。
先に書くとバカリズムさんの脚本は私の性格上苦手でドラマ作品はスルーしてきた、ってのもクドイ台詞回しが無理、無理だけど本作は映画だから観た~
秘書から始まり著者へとなり…偽り伝記で新聞を使っての論争からのベートーヴェンの伝記を新たに書こうと調べ始めた若者と見せるけれどストーリーが全く刺さらず眠い。
最初から最後までずっと眠かったけどラストの音楽室での先生と生徒の会話、生徒から「この話って先生の想像も入ってますよね」…「先生みたいな人がいるから真実が歪んで伝わるんですよね」と冷静に先生の話と先生を論破する生徒に吹き出しそうになった(笑)
期待しすぎた
史実(偉人伝)は後世によって改竄されるものなのか。
・ベートーベン(古田新太)亡き後、様々なベートーベン像の書籍が出版されたが、それらがあまりにリアル(切れやすい性格、不潔などなど)だったため、生前秘書を務めたシンドラー(山田裕貴)が、七転八倒しながら「偉大なるベートーベン像」を築き上げていくまでを描いています。コメディ風な作りであるものの、ヒューマンドラマとしてもしっかり作られており、クラシック音楽に詳しくない方でも楽しく鑑賞できます。
・ヨーロッパが舞台なのですが、登場人物は全員日本人だったと思います(たぶん)。CGを使ってヨーロッパの街並みもきれいに再現されていました。
・映画上映中、ベートーベンの曲(交響曲、協奏曲、ピアノ曲、ミサ曲など)がBGMで終始流れています。
・切れやすい性格の演技で注目された、映画「空白」主演の古田新太がベートーベンを演じていますが、最後までベートーベンには見えづらかったのが難?でした。
・史実は本来1つのはずですが、歴史は後世によって改竄されるものもあることを示した映画でした(「運命は、かくのごとく扉をたたく」というエピソードなど)。
・シンドラー(山田裕貴)の執念は凄まじいものがありました(ベートーベンの親族・知人が他界するまでじっと待つてから偉人伝を出版する、耳の聞こえないベートーベンとの筆談でやりとりした「会話メモ」を書き換えるなど)。
・ベートーベンを描いた映画としては、ほかに洋画「敬愛なるベートーベン(エドハリス主演)」がありますので、参考にDVD等で鑑賞してもよいでしょう。こちらはエドハリスがベートーベンのように見えますし、切れやすい性格も演じています。
パパゲーノの遺業
真実を伝えることの「正しさ」とは
コメディを観に行ったはずが…何やら深いメッセージを受けた、不思議な作品でした。
過去の偉人の伝記などが正しいかどうかは日本でも話題になりますよね。不確かだからこそのロマンがあると思うし、新たな解釈で本が出版されたり、映画化されたり…。本作はそんな歴史の曖昧さをテーマにした作品。
思ったより真面目だなぁ、というのが正直なところ。いや、ベートーヴェンが生きている前半部分は結構笑いどころもあって、ちゃんとコメディしてたんですが、後半になるとなんだかシリアスな展開に。
本作は、後半のシンドラーの狂気とも捉えられる、敬愛するベートーヴェンの美化に奔走する姿こそが描きたかった部分だったかと思います。真実を全て語る必要があるのか?彼の評判を落とすような伝記を残しても誰の為にもならないのではないか?偉大なる音楽と共に偉大なる作曲家として評価されるべきではないか?シンドラーの暴走は倫理的な問いに発展していきます。
コメディとして観たら、もう少し笑いどころが欲しかったかな、とは思いますが、思いもよらぬメッセージ性はなかなか深いなぁと唸ってしまいました。
ラスト、生徒と先生の対話で終わるのも面白かったです。これは現代に通ずる普遍的な問題であると思わせてくれるオチでした😊
ベートーヴェン推しの行方
公開前夜祭舞台挨拶付き上映会に参加させて頂きました
シンドラーのベートーヴェン愛が強すぎた故の捏造。
ベートーヴェンの敵が居たらナイフを突き刺す勢いで…
そんな事言う〜?ってセリフが多いベートーヴェンには
結構笑っちゃいました!
染谷くんの豹変ぶりは流石👏でした!
ベートーヴェンが指揮を執る
オーケストラのシーンもちょっと感動ものです😭
みんなちゃんと日本人顔なのに
ドイツ人やアメリカ人を真剣に演じてて
でもLED背景や100年前の衣装など使い
新旧交えて撮影したらしく、
私には違和感なく上手い具合に調和して観れました。
山田裕貴さん
立て続けて主演作品が上映される中
先月、お父様お亡くなりになっているのに
『木の上の軍隊』の舞台挨拶でも
気丈に振舞ってらっしゃいました。
きっと撮影期間も心許ない状況だったでしょう。。
今回のシンドラーは素の山田さんの様に
感受性豊かな優しい人柄がにじみ出る役だったな、と思いました。
人に伝える時は細心の注意が必要です。
良くも悪くも、
捏造になりかねませんからね。
タイトル通りの映画
全221件中、201~220件目を表示
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