劇場公開日 2025年9月12日

「コミカルな味付けだけど至って真面目です」ベートーヴェン捏造 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 コミカルな味付けだけど至って真面目です

2025年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ベートーヴェンを詳しく知りませんが、だいぶ前にテレビで観た映画(タイトル覚えてません)では、晩年の彼の弟との確執や甥への執着の話で、気難しく嫉妬深い人物のように描かれていたと記憶しています。

本作ですが、日本の中学校のある日の放課後、一人の生徒が音楽室で先生からベートーヴェンの話を聞くことになります。
知ってるか?「運命」のジャジャジャジャーンは、運命が扉を叩く音なんだよ…

ベートーヴェンの神聖なイメージは、熱烈な崇拝者である秘書のシンドラー(山田裕貴)によって作り上げられたものである、という後の研究報告書がベースです。
古田新太さんが、下品で小汚いオッサンとしてベートーヴェンを演じましたが、初対面こそ上着にゴミくずがくっついてだらしない感じを出してましたが、後はそんなに汚い印象は無かったです。

意外だったのは、てっきり師弟の固い絆みたいな話かと思っていたのに、シンドラーの思いは一方通行で、ひたすら奉仕する彼をベートーヴェンは何とも思っていなかったことです。
偉大な天才を、自分の理想の人物としてプロデュースしたい欲望で突き進み、見事に成功した彼の笑顔が印象的でした。
でもシンドラーの眉毛はもっと貧相にした方が良かったと思います。

中学校の先生たちと当時の人物を一人二役で演じるところが「大河への道」と似ていますが、キャスティングは良かったです。

<おまけ>
私は普段クラシックを聴きませんが、数年前に関ジャムという番組でベートーヴェンを取り上げていて、「運命」のジャジャジャジャーンは休符から始まる、つまりンジャジャジャジャーンなのだと知りました。途中の部分を聴くと確かにそうでした。(高校で音楽を選んだ人には常識かもしれません)
休符から始まる(拍の裏から始まる)曲はリズミカルな効果があります。”lemon”がそうですね。
これをベートーヴェンが編み出したのかどうかは忘れましたが、その他にも、現代音楽の基礎を作った天才なんですね。

ゆり。
ゆり。さんのコメント
2025年10月1日

ベートーヴェンは梅毒患者だったんですか。先生が生徒に語る話だから控えたのかもしれないですね。

ゆり。
ノーキッキングさんのコメント
2025年9月30日

流石にビョーキの話は出てきませんでしたね。病理学ではベートーヴェン、シューマン、ニーチェ、モーパッサンらが梅毒患者でありながら多くの作品を遺したことに注目しています。
バカリズムがどう描くのか期待しましたが、伝記モノですしねー、雰囲気壊しても……ってことでしょうか。

ノーキッキング
Freddie3vさんのコメント
2025年9月29日

コメントありがとうございます。バカリズムって、才能のある人だなとあらためて思いました

Freddie3v
おつろくさんのコメント
2025年9月29日

共感ありがとうございます!

バカリズム脚本なので、もっとコミカルな作品かと思ったら、相当真面目な作品に仕上がっていたのでビックリしました。

一つ気になったのは、中盤のシンドラーの一人語りパートです。前半の動きのあるベートーヴェンの実像は飽きさせない表現方法でしたが、中盤で睡魔に襲われて危なく寝そうになりました。

時々挟み込まれる先生と生徒のやり取りがわかりやすく面白かったので、シンドラーの一人語りは先生と生徒に置き換えて構成した方が、バカリズムらしさも出てもっと面白くなったと思います。

おつろく