「英雄をプロデュース」ベートーヴェン捏造 きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
英雄をプロデュース
わたしは広告屋なので、毎日のように企業や商品の美辞麗句をせっせと量産してきた身。企業や商品をあらゆる角度から観察し、関係者すべてにインタビューし、酸いも甘いも理解した上で、徹底的に惚れ込んで、良いことだけがより良く伝わるように。都合の悪いことは無かったことに。そんな毎日を送っているので「我こそが真実のベートーベンを知っている」と豪語するシンドラーのねじれた気持ちはよくわかります。
逆の立場で登場する真実を追求するジャーナリスト、セイヤーの熱意には、誰のための正義かわからんけど本当のことを伝えることが飯の種な文春味を感じたり。
つまりこれベートーベンの伝記を借りたメディア操作の内側の暴露話とも読めたりします。
にしてもキャストがありえん豪華だし、衣装にも小道具にもたっぷりお金かかってます。全部スタジオで撮るからロケモノとはお金の使い所が変わってくるのかもしれませんね。強いて言うなら全体に絵本的ファンタジーなのでLEDバックのウィーンの街並みは前半で挟んだイラストを使っても良かった気もしますが…。
とはいえたいした違和感もなく外国人を日本人が演じてることに日本映画の可能性を感じましたね。
嘘つきはコピーライターのはじまり。
嘘つきはプロデューサーの始まり。
小川で見かけたメダカの話をそのまま話すより、クジラを見た話に盛ってしまう方が楽しいと思ってしまうわたしには色々考えさせられる映画でした。
それではハバナイスムービー!
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