劇場公開日 2025年9月12日

「「バカリズム脚本」に期待をかけすぎるのも考えもの」ベートーヴェン捏造 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 「バカリズム脚本」に期待をかけすぎるのも考えもの

2025年9月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原作は未読。ノンフィクションの書籍をどこまで面白くできるのか楽しみにしていた。音楽室で語られるベートーヴェンの人物像とその捏造疑惑。ドラマとしてのこの構造のおかげで、ベートーヴェンや数々の有名な音楽家たちが日本語で話していても違和感が少なかった。うまい作りだ。
ただ、笑えるところがあまりない。著名な音楽家たちがちょっぴりブロークンな日本語で等身大の会話を繰り広げる面白さはある。でも、それ以上のものはなかった。もしかして世間のイメージがどこまで真実なのかと問いかける物語だったのか?ちゃんとした話だし、ある程度史実に基づいているのだろう。でも、だから?なのだ。そんなものを観たいと思ったわけではない。真面目なノンフィクションをコメディテイストに仕上げようとしたこと自体、コンセプトのブレを感じる。
そして、「バカリズム脚本」という言葉に、多大な期待をかけるのも考えものだなと感じる。構成がうまくてセリフも効いていて、伏線回収もうまく、そしてちゃんと笑いもある。実際にそんな面白いドラマや映画をいくつも作ってきたし、世間的にも人気がある。でも、たまにはほどほどの作品が出てくることがあるということ。それを受け入れなければと思った。

kenshuchu