「運命」ベートーヴェン捏造 ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
運命
ベートーヴェンの生涯を捏造した秘書シンドラーを描くという面白い題材に、バカリズム脚本が重なるとどうなるんだろうと気になり鑑賞。
評価は割れているようでしたが、自分はめちゃくちゃ楽しめました。
シンドラーの異常とも言える尽くしっぷりは現代でいう推しへの眼差しだなと思いましたし、そんな推しを身近で崇められるなんてファンからしたら感謝感激もんだなと思いましたし、理想の推しを作っていこうとする狂気までな行動もよくみるやつだからか、伝記物に近い作りでも身近な目線で観れるのは良いなと思いました。
全体的にシンドラーの心の声と共に進行していくのですが、バカリズム脚本らしくテンポ良いボケとノリツッコミが入っており、ベートーヴェンとの最初の接触で面白いくらい悪口を言ったかと思えば、手のひらクルックルでベートーヴェンの秘書になってみたり、仕事がから回っていながらも、ベートーヴェンに尽くせる悦びに浸って無意識に暴走してしまったりとでシンドラーの大変な一面を短い時間でこれでもかってくらい味わえました。
今作はベートーヴェンの死後から話が広がっていき、ベートーヴェンのヤバい本性を知っている側の人間の暴露本を出そうとするのをシンドラーが封じようとベートーヴェンの幼馴染や弟子と協力する流れになりつつも、シンドラーが他のことに根回ししていたら裏をかかれたりとでドッタンバッタンする流れがコメディになっていて面白かったです。
最初は会話本をベースにベートーヴェンの伝記を書き出していっていたのですが、だんだんと本性がバレていきそうになる中で捏造に捏造を重ねていくという事になるのですが、コメディ要素はかなり薄れ、シリアスな内容になっていきつつも、問題なくストーリーは進行しますし、捏造を分析した上で怪しむ人物も出てきたりと様々な角度からシンドラーを疑り深く観ていくってのも良いですし、怯まず捏造や改竄を続けるシンドラーも中々の大物だなと思いました。
現実パートともしっかりリンクしており、シンドラーの行為は長いことバレなかった事が、現代のSNS社会とも繋がっていたりとするのが面白かったです。
キャストはカツラを被り、衣装も貴族の格好というだけでめちゃめちゃ日本人で、そこに音楽家たちの名前をつけたというコント的な配役ではあるんですが、違和感なく飲み込めますし、横文字が飛び交ってもそういう世界観だなとサクッと飛び込める作りで良きでした。
これは原作も買ってじっくり読み込みたいですね。
楽しくスリル満載の作品でした。
鑑賞日 9/16
鑑賞時間 15:50〜17:55
