「どういう狙いの企画???」ベートーヴェン捏造 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
どういう狙いの企画???
劇場宣伝で、古田新太ブシが面白そうな期待を抱かせたのと、「バカリズム脚本」という言葉でさらに期待を膨らませて観賞したのだが・・・
【物語】
とある高校で、音楽室に忘れ物をした男子生徒が放課後の音楽室に向かうとそこでは音楽の先生(山田裕貴)がピアノでベートーヴェンの曲を弾いていた。先生は手を止めて「コーヒー飲むか?」と誘い、コーヒー飲みながらベートーヴェンの話を始める。
ウイーンで暮らす名も無い音楽家アントン・フェリックス・シンドラー(山田裕貴)は幼い頃からベートーヴェンに憧れていた。ある時、所属する楽団のイベントにベートーヴェン(古田新太)が出席する。勇気を出してベートーヴェン声を掛け、大ファンだと伝えたことがきっかけで、ベートーヴェンの秘書になる。
必死にベートーヴェンに尽くしたアントンだったが、2年ほどでクビに。しかし、それでもベートーヴェン愛は消えず、しばらくしてベートーヴェンが亡くなると、シンドラーは人間的にはクセの有ったベートーヴェンを人間的にも「偉大なる音楽家」としてのイメージを仕立て上げようとする。
【感想】
劇場宣伝では珍しく(初めてみたかも)本編映像が皆無だったので、作品の空気は全く知らずに観始める。学校から始まるという意表を突いた冒頭シーン、「おお、こんな作りなのね」と滑り出しは上々だった。
いよいよ、ウイーン編となり、
「舞台はヨーロッパでも全て日本人役者なのね」となる。
しかし、これは半分予想できたけど、日本人俳優が恥ずかしげもなく白人の役を演じる作品と言えば“のだめカンタービレ”と“テルマエロマエ”が思い浮かぶ。いずれも傑作コメディーだ。
これに古田新太というキャスティング、バカリズム脚本。これだけ揃えば99.9%の人が本作も傑作コメディーか? と期待するだろう。
が、その期待は見事に裏切られる。「いつ笑わせてくれるのか?」とこちらは身構えているのに、(わずかな笑いはあるものの)全然コメディーはやって来ない!!
最後まで観て、「一体何を作りたかったのか?」と思ってしまった。
これが洋画で、アントン・フェリックス・シンドラーという無名の男に光を当てたシリアスな作品だったら、「こんな男がいたんだ」とそれはそれで面白かったと思うのだが、なんで日本で、古田新太使って、バカリズムに脚本を書かせて・・・
何を作りたかったのか??? 企画した人に聞いてみたい。俺には全く持って、半端な作品としか思えなかった。
ものすごくガッカリしたのだが、1つだけなるほどと学んだことがある。
捏造や嘘は、普通は「真実をつかんで白日の下に晒すべきもの」と思いがちだが、必ずしもそうではないということ。
捏造や嘘で傷つけられたり、損害を被った人が居る(真実でない誹謗中傷を受けたり、価値の無い物を買われたりした)場合、真実を明かされるべきで、本人も周囲もそう努力することに利が有る。しかし、「賞賛や賛美が事実以上」の場合はどうだろう?
その嘘によって権力を手にして悪用したり、商品の価格を不当に吊り上げたりしているならなら別だが、ある人が過剰に賞賛されて、多くの人に過剰に愛されていたとして、「真実はこうだ」と明かしても誰も幸せにならない。それは妬みでしかないかも知れない。
人間、誰も知らない真実を知ると皆に言いふらしたくなるものだが、「それで誰か幸せになるか?」を考えて行動を判断すべきなのかも知れないと。
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