「テーマを裏から読んでみた」ベートーヴェン捏造 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマを裏から読んでみた
・あるプロ野球の試合にて。
一点リードの9回裏、二死まで取りながらランナー2塁と3塁のピンチ。相手の四番バッターを迎えて敬遠を選択。
コーチ「監督、このあとどうしますか?」
監督「うーん、そうですね、やっぱり赤坂で焼き肉ですかね」
これが楽しい迷言で有名な愛すべき長嶋さんのエピソードだと聞いたら、大概の人は信憑性なんて気にせずに他の人にも伝えてしまいますよね。
・神楽坂通りの逆転式一方通行。
0〜12時までは坂を下り、12〜24時までは坂を登る一方通行となるのだが、このルールは、かの田中角栄元総理が目白の自宅と国会に向かう道での通勤の利便を図るためできた。
これなんかも都市伝説というよりは、田中角栄さんの偉大さを伝えたい人たちや面白おかしい話が好きな人たちがどんどん広めた結果、真実であるかのように定着しています。
人が人のことを伝える時、100%の真実なんてあり得ないわけで、意識的か無意識的かに関わらず、何らかのバイアスは必ず掛かります。ジョージ・ワシントンの桜の木を巡る正直者伝説だってある意味、信憑性はどうでもいいんです。
『遠い山なみの光』の記憶を巡るミステリーと同じように、人間の不確かさというものが色々な物語を作り出すし、その物語が人を救ったり、傷付けたり、慰めたりもするし、世の中に暖かな笑いをもたらすこともある。
そういう〝人間性の不確かさ〟への想像力を欠いたまま、ネタとして楽しむ余裕というか、情報の余白を疑うこともなくマスコミやネット上の情報に安直に飛びつくことの多い現代人の知性は果たしてどうなの?
というのも裏のテーマのひとつなのかもしれません。
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