「求めるのは真実か事実か」ベートーヴェン捏造 マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
求めるのは真実か事実か
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン
(1770-1827)
ドイツの歴史上代表する作曲家
古典派からロマン派を発展させた
先駆者で影響を受けた作曲家は
数知れずの「楽聖」
その生い立ちは
テノール歌手ながら酒浸りの
父親によってスパルタ的に
音楽を仕込まれ10歳を前に
演奏会にも出演
ウィーンで会ったモーツァルト
をも「なんだこんなもんか」
と思ったほど
しかし20代後半には難聴を
患い自〇未遂もしながらも
音楽の情熱から活動を続けた
というベートヴェン
原作小説をベースに
いかに素晴らしかったかという
視点で伝記を執筆した元秘書
アントン・フェリックス・シンドラー
を主人公に彼が行った捏造改竄工作
どう行われたのか
何故行ったのかに迫った今作
どうだったか
まあいわゆる
以前観た「陰陽師0」でも出てきたが
実際に起こったことが「事実」
その人が信じているのが「真実」
というやつである
世間が英雄視している人物を
側近だった人物は果たして
家政婦に当たったり
息子カールを追い込んで自殺未遂
に追い込んだりした「事実」を
並べたらベートーヴェンの
名誉はどうなるか
皆が「真実」として信じたい
形に守り通すのが側近の
私の役目だとシンドラーは
「信者」としてスイッチが
入っちゃったのである
そりゃあ偉人研究というジャンル
がある以上ありもしなかった
事を並べてしまう捏造改竄は
もちろんいい事ではない
が「わからんでもない」
という気持ちにさせられる
そこには信者っぷりがウザすぎて
ベートーヴェンにクビになり
ホルツに秘書の座を奪われた
嫉妬などもあったと思うし
ホルツらはあいつの伝記は
デタラメだと新聞で批判の応酬
を繰り広げる中で
あっちが先に死んだらこっちの
勝ちみたいな変な勝負意識が
生まれてきたりする部分は
なんともリアル
(政治の話だって利害関係に
ある人間が死なないと
真相は出てこないとよく
言われます)
自分もしょっちゅう
Wikipedia鵜呑みにして
痛い目にあっております
結局ベートーヴェンの名誉を
護りたいシンドラーと違い
ホルツやシンドラーは
事実ベースで追いかけている
だけだから永遠に反りが
合わなくて当然なのである
マスコミが取材した事
(最近は取材すらしてるかどうか)
に自分らの論調に合うように
偏向報道するのと同じである
部分は現代と何も変わりがない
事実はよほどSNSの一般人の
投稿などで転がっている
それが都合が悪いから
マスコミは必死にSNSを
嘘だらけだと叩く
自分らが信用度を落として
コソコソSNSでネタ拾うのも
全然協力してもらえなくなった
からである
昨今の情報化社会
皆事実を知りたくなっている
風潮からは
シンドラーの感覚は理解されない
かもしれないが当時がどうだったか
というところ
ただちょっとくどくど長く
画面が飽きやすいかなと思う
ところもある
日本人キャスティングでやってる
とことか画面的には非常に
「舞台」っぽくなっているが
山田裕貴や染谷将太らの演技力も
あってそこはあまり気にならない
中学校の音楽室パートも
最初は面白い構成に感じたが
中学生が急に頭がよくなった
感じで不自然に感じるとこも
あった
ならシンドラーとあの音楽の先生で
いっそ転生的に話し合ってしまう
ファンタジー演出でも?
と少し感じたところ
でも悪くはなかったです
最後にこれだけは言いたいのは
ネットもなんもない19世紀の
偉人を称えるメンタルと
何でも調べれば真偽はどうあれ
誰でも手元に入る現代を
同じ目線で見るのは大間違いだと
いうことです
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