「愛ゆえの虚像」ベートーヴェン捏造 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
愛ゆえの虚像
■ 作品情報
監督は関和亮、脚本はバカリズム。原作はかげはら史帆のノンフィクション「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」。主演は山田裕貴、共演に古田新太、染谷将太、神尾楓珠など。
■ ストーリー
19世紀ウィーンを舞台に、音楽史に刻まれた天才音楽家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの実像と、後世に伝えられる崇高なイメージの間に横たわる真実が描かれる。難聴のハンディを乗り越え数々の名曲を残したとされるベートーヴェンだが、実際は下品で小汚い人物であった。彼の秘書であるアントン・シンドラーは、どん底にあった自分を救ってくれたベートーヴェンに対し、純粋な憧れを抱き献身的に仕える。しかしベートーヴェンの死後、その「真の姿」が世に出ることを恐れたシンドラーは、彼を「聖なる天才音楽家」へと捏造していく。この壮大な嘘は、若きアメリカ人ジャーナリストのセイヤーによって追及され、真実をめぐる情報戦が勃発する。
■ 感想
本作を観て、まず驚かされたのは、私たちが長年抱いてきたベートーヴェンのイメージが、実は一人の男の「捏造」によるものだったというセンセーショナルな事実です。この一点だけでも、映画を観る価値は十分にあります。その歴史的スキャンダルを、実にわかりやすいエンターテインメントとして昇華させている手腕は実にお見事です。
キャスティングも非常にユニークで、日本人俳優陣が西洋の人物を演じる絵面が、なんともシュールで笑いを誘います。ズラや衣装、そしてCGを駆使した背景が、どこか無理やり感を演出しつつも、それが作品全体のユーモラスなトーンと見事に調和しています。
そんなコミカルな演出の中でも、山田裕貴さん演じるシンドラーの心情の変化には引き込まれずにはいられません。ベートーヴェンへの純粋な献身から始まった彼の行動が、しだいに確執を生み、そしてベートーヴェンの死を経て、いびつな愛情から狂気へと変貌していく様は圧巻です。敵対勢力の死をきっかけに暴走が加速するシンドラーの熱演は、まさにこの映画のハイライトと言えるでしょう。
シンドラーの物語を軸に、古田新太さん、神尾楓珠さん、染谷将太さんの三人がリレー形式で物語を牽引していく構成も巧みで、歴史の真実と虚構、そして人間心理の深淵を、時に笑いを交えながら描き出している点はおもしろいです。
ただ、脚本がバカリズムさんということで、もっとシュールでコミカルな笑いがふんだんに盛り込まれているかと期待していたのですが、そうでもなかったです。むしろけっこう真面目な展開で予想とは少々異なる印象の作品です。
こんにちは^ ^
面白い作品でした♪♪山田裕貴君の静かだけど狂信的な熱さなシンドラー、古田新太さんの小汚いオッサンなベートーヴェンがピッタリはまり過ぎててw
共感ありがとうございます!
バカリズム脚本と聞いて、もっとコメディータッチな作品と思っていましたが、かげはら史帆原作という事は相当真面目に書かれた原作と擦り合わせるとこういう形の表現になるんだなと再確認しました。
邦画にあまりない内容の作品なので、キャスティングには苦労したのではないかとも思いましたが、実にピッタリくる配役で、そこもこの作品の見どころだと思いました。
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