劇場公開日 2025年9月12日

「【”シンドラーのリスト”今作はベートーベンを敬愛する秘書が真実を知る者が次々に亡くなって行く中で、息を吐くように彼の人生を捏造する様を、ナントキャスト全員日本人俳優で製作したシニカルコメディである。】」ベートーヴェン捏造 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【”シンドラーのリスト”今作はベートーベンを敬愛する秘書が真実を知る者が次々に亡くなって行く中で、息を吐くように彼の人生を捏造する様を、ナントキャスト全員日本人俳優で製作したシニカルコメディである。】

2025年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

斬新

ー 私は、歴史上の有名人物の逸話は、殆どが嘘だと思っている。
  例えば、戦で疲れ切ったナポレオンがベッドで寝ている鼻先に、家臣が悪戯でブルーチーズをぶら下げたら、”ジョセフィーヌ、今宵は十分じゃ・・。”と言ったとか(艶笑話で有名ですね。)、日本でいえば、織田信長が本能寺で炎に撒かれ最期を悟った時に、「敦盛」を”人生50年・・。”と舞ったという話などは、誰も観ていないし、絶対に嘘だと思う。
  本当は”あちちち!蘭丸はおらんのか!おのれ、光秀!”などと、見苦しくドタバタしたのだろうと思っている。
  あとは、これはある作家が書いていたのだけれども、板垣退助が何度も暗殺未遂されそうになった時に言ったという”板垣死すとも自由は死せず!”と言う格好良い言葉も、嘘っぽい。絶対に”イテテテ!医者を呼べ!”か”なんじゃこりゃあ!By松田優作”だと思う・・。-

■難聴という困難を抱えながら、名曲を多数残したベートーベン(古田新太:クスクス)に秘書として取り立てられたシンドラー(山田裕貴)。
 彼は、ベートーベンが想像より小っちゃくて小汚いオッサンだった事に驚きつつ、彼の秘書として誠心誠意、業務をこなしていた。
 そして、彼の死後、取り交わした会話をメモッたノートを参考に、彼の生前のマアマア酷い身勝手な人柄を、晩年の秘書ホルツ(神尾楓珠)に気付かれぬように改竄し、書物を出版していくのであった。
 だが、或る日、アメリカ人音楽ジャーナリスト、セイヤー(染谷将太)がにこやかにやって来て、彼の改竄を怪しんで行くのであった。

◆感想

・今作、この映画サイトの評価を見ると余り芳しくないようであるが、私は大変に面白く鑑賞した。
 何より、ベートーベンを演じた古田新太が、面白い。チビで小汚く、金にせこく、ダラシナイベートーベンを見事に演じている。シンドラーを”パパゲーノ”と小馬鹿にして呼んだり・・。あんな、ベートーベンは嫌だなあ。
 だが、シンドラー(どう見ても、彼の性的嗜好はドMである。)はそんな彼を敬愛し、その思いは徐々に狂気性を帯びて行くのである。そして、最終的には彼が望んだベートーベン像を三冊の大作に纏めるのである。凄いなあ。

・又、登場人物はドイツ人や、オーストリア人が殆どだと思うのだが、ナント今作では全員、平たい顔の日本人俳優が演じているのも面白いのである。
 特に、ベートーベンの友人であるヴェーゲラーを遠藤憲一さんが演じたシーンは、脳内爆笑であった。だって、あんな顔のドイツ人はいないでしょう!(遠藤さん、ホントスイマセン。)
 唯一、それらしく見えたのは、ベートーベンの弟でシンドラーに意地悪なヨハンを演じた(というか、意地悪そうな顔で笑うのみ・・。)小澤征悦さん位である。あー、可笑しい。

・シンドラーの天敵であり、真実を知る晩年の秘書ホルツが、彼の捏造に気付くも亡くなり、更に重要人物が次々に亡くなり(正にシンドラーのリスト、逆バージョンである。)、状況はシンドラーのやりたい放題になって行くのだが、そこにじゃじゃーんと現れたアメリカ人音楽ジャーナリストセイヤーは、シンドラーの捏造を疑い、調べて行くのである。ここら辺のせイヤーの脳内一人語りも可笑しいのである。

<今作はベートーベンを敬愛する秘書シンドラーが、真実を知る者が次々に亡くなって行く中で、息を吐くように彼の人生を捏造する様を、ナントキャスト全員日本人俳優で製作したシニカルコメディなのである。
 チョイと真面目に考えると、フェイクニュースが氾濫する現代を皮肉っている感じもするが、バカリズムはそこまで考えていたかなあ。只管におちょくっていたんじゃないかな。
 それにしても、CDの収録時間が74分だったのはベートーベンの”第九”を収めるためだったとか(実際にはカラヤンが駄々をこねたらしい。)、ベートーベン難聴の話も実は結構聞こえていたらしいとか、諸説があるのも面白いよね。じゃーね。>

NOBU
ふわりさんのコメント
2025年9月22日

共感ありがとうございました。
なんじゃこりゃby優作…面白い!ホントそう思います。
エンケンさんは私も笑いました。なんか一番似合ってなかったような。ついでに野間口さんもかなあ?

ふわり
映画LOVEさんのコメント
2025年9月21日

こんにちは^ ^
バカリさん好きなので鑑賞しましたw
ベートーヴェンあるある知れて良かったです♪♪古田新太さんのベートーヴェンだったら鍵盤の数にこだわりそうw
山田裕貴君のシンドラーをパパゲーノと呼ぶのも分かる気しますw
登場人物達も違和感なくクセ強な方々で豪華でしたw

映画LOVE
おつろくさんのコメント
2025年9月20日

共感ありがとうございます!

バカリズム脚本なのでコミカル全振りの爆笑作品かと思いきや、わりと真面目で良い作品だったと思います。

>チョイと真面目に考えると、フェイクニュースが氾濫する現代を皮肉っている感じもするが、バカリズムはそこまで考えていたかなあ。

実は私もそうなんじゃないかと考えていました。現代は捏造情報の速達性が高いので、注意喚起も含めたシニカルだと思いました。

おつろく