劇場公開日 2025年6月20日

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「表へ出ろ!か入って来いよ!か」罪人たち たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 表へ出ろ!か入って来いよ!か

2025年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

今年イチというかこれまで観たことのない傑作ブルースホラーミュージカルで監督のライアン・クーグラーが悪魔に魂を売ったことはほぼ間違いなくて観なければ映画人生にとって大きな損失であろう、「ババンババンバンバンパイア」を観ている場合では無いのだ。冒頭ちょっと不穏な雰囲気で教会に入って行く牧師の息子サミー(マイルズ・ケイトン)が血みどろでギターのネックを持っており音で驚かせる系の悪しきB級ホラーで始まるのだが、そこから1932年のミシシッピが舞台のめくるめくブルースミュージカルが展開する。サミーがチャーリー・パットンの(と言ってるけれど疑わしい)ドブロ・ギターでご機嫌なブルーズを聞かせてくれおそらくモデルはクロスロードで悪魔と取引したロバート・ジョンソンでもうギターは捨てろという親父の忠告に逆らってシカゴに流れてバディ・ガイになったというのだからたまらない。社会の底辺にいるプランテーションの黒人労働者がアイルランド移民のバンパイアによって救済されるのか?というかなり突っ込んだ悩ましいテーマを扱っており、彼ら(バンパイアチーム)の数が増えていくにつれ、くどくど説教を聞かされるにつれ、「もう噛んでもらって楽になれば?」と思ってしまうのだから恐ろしく、立場の違いは双子のスモーク/スタック兄弟と同様で表裏一体。バンパイア恐怖パニックの頂点で泥酔して吐いた男を間違えて店の外に追い出したり、バンパイアかどうかニンニクを一人づつ順番に齧るテストで笑いを取る姿勢が「カメラを止めるな!」をも彷彿とさせ、後半はKKK団との大戦闘もありサービス満点なのだが、何といってもブルース酒場で1932年と現代の音楽シーンが入り乱れるワンショット風長回しが見事!アーメン。

たあちゃん
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