ザ・ザ・コルダのフェニキア計画のレビュー・感想・評価
全17件を表示
今度は、ほぼミッションインポッシブルw
シニカルで知性を感じる台詞回し、能面演技、明度の高い色彩描写、幾何学的な画面内配置。One and Only のウエス・アンダーソン ワールド全開。個人的には好きな監督のトップ10には入るウエス・アンダーソンなんですが、コレは彼の作品の中でも上位に入るんじゃないかと。
およそ、人間的な部分が、ガッサリ切り落とされてるのではないかと思われるザ・ザ・コルダが、内面に隠し持っていた信念を実現する過程で、実の娘じゃない娘への愛で人間性をも取り戻す。フェニキア計画とは、彼の人間回帰の計画であった、と言うのが物語の建て付け。
なんですが。ですが。
能面演技なんですよね。セリフは一見難解、って言うほど難しくも無いけど、直接的表現は取らず、シニカル。なんで、物語のシリアス度は戯曲的に婉曲化されていて、リアリズムはほぼゼロな訳ですよ。
ここのところが、ウエス・アンダーソン作品の好き嫌いを分けてるのは間違いなく。独特の彩色表現で、今風の人や若い人の人気は高いと思われますし、業界内、特に役者さんからは絶大な支持を受ける彼。契約の場面に卓についてる面々の豪華さには、思わずニヤついてしまいました。
面白かった。
とっても。
ウエス・アンダーソンと紅塩出る・トロで寝てしまうとは!
ウエス・アンダーソンもベニシオ・デル・トロも好きなので軽く楽しみにしていました。
プライベート・ジェットの最初の墜落まではいつものウエス・アンダーソンでわくわく見ていたが、その先急失速。
一風変わったシチュエーションと人、そのやりとりと間となんとも言えない笑いの空気を楽しむ、のがウエス・アンダーソンの持ち味で、作りこみありありのパステルカラーの背景も好きなんだけど、今回は奇抜が過ぎてスベった模様。訳が分からず気持ちが付いていかない。
同じことをしつこく繰り返す(バスケットボールのシーンとか)、そもそもプライベートジェットが墜落するパターンも繰り返しで、墜落と墜落の間の話は突飛すぎるのに平板で間延びしており、飽きてしまった。
常連も新顔も俳優さんの顔ぶれは豪華なのに、宝の持ち腐れ(腐ってはいませんが)でいまいち活かされず。紅塩出るさんはさすがにまあ良しとして、スカヨハは特に彼女じゃなくても良いし、カンバーバッチの奇妙奇天烈な役はもはや無残の域で気の毒になった。なんじゃああれは。
私の誕生日でしたのに。。。
Wunderbar
ウェス・アンダーソン最新作、これまたクセが強そうで楽しみにしていました。
前作たちよりもザザコルダという1人の人物に強くフォーカスを当てている分見やすさは前作たちよりも良かったですし、シュールなコメディと独特な絵面もこれまたハマっていて良かったです。
タッチはいつも通りおしゃれなんですが、富豪であるが故に命を狙われる機会が多く、そのたび面白いくらい生き延びたりするので、ギャグテイストでありながらバイオレンスな世界観であるのも不思議さに拍車をかけていました。
久々再会の娘と家庭教師と共にフェニキア計画を行うために色んな場所を闊歩し、その中で面白い構図であれやこれやしていくのも楽しいです。
上から見渡す構図、正面から登場人物をまじまじと映す構図、スクロール式に進んでいく構図と、遊び心は過去作よりも更にマシマシで面白いですし、世界観の絶妙なカラフルさは今作も健在で観ていて飽きない絵になっているのも良く、オシャレに突っ走るのではなくしっかり笑いも取っていくあたりは流石だなと思いました。
基本的にはツッコミ役不在でボケとおとぼけと俯瞰が入れ替わり立ち替わりしながら進んでいき、ツッコミがほとんど存在しないのでよりカオスになってはいきますが、そのカオスさは満遍なく楽しめたので良きでした。
真面目かと思ってたリーズルが思っていた以上にノリが良く、酒にまつわる話になると一回キリッとなるのに、酒に負けて欲望に走るシーンは天丼連発でも面白かったです。
ギャグ漫画のような取っ組み合いも存分に盛り込まれており、名優たちが不思議な世界でポコスカという擬音が飛んできそうな勢いでボコし合っているのがシュールすぎてこいつぁ面白いわとニヤニヤしっぱなしでした。
電車バスケのシーンはめちゃんこお気に入りです。
正直言ってストーリーに追いつくのは完全には不可能で、しっかり観ているはずなのにいつの間にか振り落とされる現象が今作でも発生しており、怒涛の勢いで情報を叩き込んでくるので、時々?状態になってしまいました。
ザザコルダに集中して見ていればとは思いましたが、個性的な奴らを見逃すわけにもいかずといったところで、2回目しっかり観に行ったらもっと分かるんだろうなぁとは思いました。
一目でこの人の作品だ!と分かる強烈な作家性を持つ監督って現代では少なくなってきていると思うので、ウェス監督にはこれからも独特な世界を紡いでいってほしいなと思いました。
鑑賞日 9/21
鑑賞時間 18:50〜20:35
相変わらず
内容は分かりづらい。
でもこの監督はこういうものだと思っているw
魅力はテンポと間とカメラワークと各キャラの動き。
昔から非常に好みで、今作もまさにその通り。
豪華俳優を採用しているけど、それ以外のキャストも含めてこの作品は完成している。
今作は話の流れは割と分かりそうな気がする。理解までは出来ないんだけどw
それでも今作は割と好きな方かな。
まぁ相変わらずオススメはしづらいんだけど。
うっすい感想だなw
攻撃されてると感じるのか
ウェス・アンダーソン監督作はここ数年のはほぼ観ている。
今回は先が読みにくい展開でなかなか面白かった。
世界中で命を狙われる富豪が自分の娘と共にあちこちまわって支援者から金を集める話。
各章ごとに誰々から何%支援してもらうという数値表が出て実際に支援してもらえた数値が書き換えられていく見せ方が面白い。
冒頭から命を狙われ続け最初から部下が上半身吹き飛んで死んだりちょいちょい微妙なグロが入る。これもこの監督の持ち味。
そして主人公のおっさんは死にかけてはモノクロのあの世の世界に行くがすぐ現世に戻ってくる。この絶妙に緊張感がないゆるい展開、ユーモアもこの監督の味だ。
最初のタイトルを出す時点でなかなか観ない真上からの見下ろし構図。主人公が風呂につかっておりその周囲をお手伝いらしき人達が動き回る。床のタイルの模様に合わせたスタッフやキャストの名前表示。
冒頭からこれだけ「この監督の映画だ」と個性出せる人はそうそういないんだよな。
そりゃベニチオ・デル・トロもトム・ハンクスもスカーレット・ヨハンソンもベネディクト・カンバーバッチも出てくれるよ。
あの構図へのこだわりはなんなんだろう。毎回、あの静止する人々よね。
序盤で娘に対して靴箱を使ってこれからやる計画を説明する見せ方は良かった。
まあ死にかけるがどうせ生きてるだろう、という予想通りの感じで進む。が、バスケ対決、輸血しながら交渉、銃弾受けて腹から取り出し、沼に沈むところからの脱出、模型破壊おじさんなど「そうはならないだろ」という展開の連続で飽きさせない。
いや、観る人によっては「次から次へと意味不明な展開で何これ?」な気持ちになるかもしれない。それもこの監督の持ち味だ。
ラストは色々失ったけど小さい食堂をやりながら家族揃って生活しているよ、というほっこりエンドで強引にハッピーエンドに持っていく。落とし所としては綺麗なほう。そんな丸くおさまるのか。
ちょっと都合よく進み過ぎな感があるし題材の割に緊張感がなさすぎるが、でもこういう感じの映画を作れるのはウェス監督だけなんだよな。
あとなんでこの題材、この展開なんだろうと考えた時に。ふと監督が映画を作る資金を集めて映画を撮る時にこんな風に各所から攻撃されてると感じるのかな、と思った。
色々な知り合いに無理矢理言ってなんとか協力を得るも、予期せぬことが次々と起きて、結局最終的にできるのは壮大な計画からだいぶ縮小した街角の小さな幸せでギリギリ満足する話。
映画館で何度も観たくなるのがウェス·アンダーソン
冒頭の飛行機内のシーンは下半身だけになった秘書の足が痙攣してちょっとショッキングだった。
スタンダードサイズのスクリーンにかっちりシンメトリーのセット。絵画や小物、書籍や印刷物など、どこまで手が込ん出るんだと、ネット動画なら一旦止めて細部をよ~く観てみたいと思った。サナトリウムっぽいシーンは真上からの固定ショット、一度観ただけで細部まで追うのは難しい。
タイタニック女優の娘がオーディションで抜擢された修道女の娘は主役の父を超えて存在感が抜きん出てる。
見てる最中はストーリーや人物の内面をあれこれ思い悩む隙を与えられないウェス·アンダーソンのやりたい放題の最新傑作だ。
豪華なキャストにまったりとした時間を楽しみ、たまにツッコミを入れる程度の余裕のある心持ちで観れば楽しめる作品
劇場やいろんなところで流れた予告で「おっ?あの人やこの人も出るのか?」とただそれだけで鑑賞を決めた人は多かったんじゃないのかな?
私もそんな1人だったんですが80人ちょいの劇場が満員に埋まったんですが………そんなに入る作品なのか?と思いつつ始まったんですが……これは大半がハズレを引いたぞの空気を漂わす展開に。
あれ?おもろいのにほとんど笑わない。あれ?俺だけなのか?じわじわくるこのシュールさに計画の為とはいえ、神も信じず宗教も否定していた主人公が何度も墜落事故を乗り越え臨死体験や銃弾を受けたり大怪我を重ねるうちに少しずつ改心する。
ラストはほっこりするんだけど………あれ?みんな会場出る足取りや表情が………。
やはりキャストの豪華さが仇になったのか?
でもおもろかったで。
なんでその格好?
赦しはするけどビンタ張る。しかも2回も。
機長クビにするけど今飛ばす?
なんやねんカンバーバッチとのドタバタコント等など。
ゆったりとのんびりと時間を感じ作品を楽しむ寛大さを思い出させてくれました。
これこそ『映画』なんですから。
作品を作るにつれて…
ウェス・アンダーソン作品は全作見ているが、
グランド・ブダペスト・ホテル以降から(アニメと元ネタのあるヘンリー・シュガー除く)更に極めた美しい映像作りと監督の独特な解釈(観客に分かりにくい)に力が入っているのをとても感じる。
グランド〜はテンポが良く動きもあり、物語も分かりやすかった。近年のは、一段と台詞が長いし多いし、派手な動きがなく、淡々としている感じ。
今作だと出資がかかったファルーク王子の運命のラストシュート🏀と空中で暗殺者に襲われて飛行機✈️の墜落までと観客が見たい!と思う肝心のシーンを見させてくれないのは残念であった。
ヌバルおじさんとザザのぎこちないアクションは面白かったが、あっという間で、もっと見たかった。しかも性急でよく分からない結末を迎えるため、物語のクライマックスとしてはインパクトにかけ、あっさりすぎたと思う。
といったものの今作は現代を生きるクラシック映画🎥という感じで、親子の絆も描かれていた。
毎作だが、音楽センスと画作りと豪華キャストたちの集結はこの監督の右に出る者はいないと思う。凄いなと感じるシーンもたくさんあったので、個人的には楽しめました。
異常なくらい凝り過ぎ!クセ凄作品
先日、お腹の調子が良くなくて映画始まる前に施設内のトイレに行ったのよ。
終わってウォシュレットしたら最大MAX熱量のお湯が
私の大事なデリケ-トな部分に直撃!! (@_@;)ノォォォ~
思わず身悶えする・・・だっだれだ、いたずら設定したのは (-_-メ)
恐るべしウォシュレット・・・癖になるかも知れん (爆笑)(≧◇≦)
そんなこんなで 今日は「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」観たんだわさ。
最終上映枠なのでお客様は 少な目。
やっぱコアなファン層が楽しみに来てる感じ。
監督・脚本:ウェス・アンダーソン氏
-----------
ザ・ザ・コルダ(ヨーロッパの大富豪)役:ベニチオ・デル・トロさん
リーズル(娘後継人の修道女)役:ミア・スレアプレトンさん
他豪華俳優陣:(いつもの顔馴染み)
トム・ハンクスさん、ブライアン・クランストンさん、リチャード・アイオアディ、ジェフリー・ライトさん、スカーレット・ヨハンソンさん、ベネディクト・カンバーバッチさんなどなど
--------------------
(あらすじ・・・らしい)※違ってたらゴメンね
架空の独立国家「フェニキア」が舞台。
1950年代、ヨーロッパ有数の大富豪であるザ・ザ・コルダは、これまでに6度の暗殺未遂を生き延びた男だった。彼は30年かけて練り上げた、フェニキア全域の陸海3つのインフラを整備する一大プロジェクト「フェニキア計画」の実現を目指していた。この計画が成功すれば、今後150年にわたって莫大な利益がザ・ザに入ってくるはずだった。
しかし、ある妨害工作によって計画は赤字が拡大し、財政的に危機に陥ります。ザ・ザは計画を立て直すため、資金調達の旅に出ることを決意。
その旅に同行させるため、彼は長年疎遠になっていた一人娘のリーズルを後継者に指名する。リーズルは修道女見習いとして生活しており、月末には誓願を立てる予定だった。ザ・ザは彼女を連れて、資金調達と計画の推進、そしてリーズルの母の死の真相を探る旅に出発する。
旅の道中、ザ・ザとリーズルは次々と現れる暗殺者や裏切り者たちをかわしながら、出資者たちとの駆け引きを重ねていきます。この旅を通じて、冷え切っていた父娘の関係は少しずつ変化していく。
果たして、ザ・ザはフェニキア計画を成功させる事が出来るのか?
リーズルの母を殺したのは誰なのか? そして、二人は「本当の家族」になれるのか・・・・。
(感じた事)
まぁあれだな。ウェス・アンダーソン氏の作品はどれも字幕はきついわ。
文字量多くって凝ってて早くって。切り返しがトントンきて。
彼のどの作品もだけど。凝ってる演出200%だしw。だから英語力いるのよ。
最終レイトなので皆さん飯食った後。ほとんどの方 なんじゃコレ????
って事で 爆睡者続出。
私も必死に座る体制変えたり上半身体操しながら眠気を制止。
カフェインも全く利かないねぇ。(;^ω^)
多分 字幕翻訳がダメなんだね。そう思ったのは
横列あたりの客席で異常に笑ってるご年配の女性が居てね。
頭が?金髪系。どうやら帰国子女の模様。英語ネイティブで分かるのでしょう。
日本語字幕そっちのけで大笑い。
羨ましい限りでしたわ。
そういや 前作の
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊や
アステロイド・シティを字幕で観たが わけわからんかった。
その後の配信で吹替観たら 良く分かって面白かった。
つまり本作も吹替あったら きっとその方が良い筈!
しかし 実際は用意されてない。役者のセリフ感情を生で聞きたいしね。
その想いは私も同じだな。
と言う訳で、飛行機爆発する場面が一番驚いたぐらいで。
あとは 子供達?自分を恨んで狙ってくるwww
火のついたボーガンがインフラ計画箱?に突き刺さって そこはワロタ。
都度刺さった箱の計画のそれについての話~って事で進んでゆく。
兎に角、リーズル役ミア・スレアプレトンさんがとっても堅物でいい表情。
どんどんパパに似て変わって行く辺りが面白いかな。
最後の終わり方も おしゃれ?? イカしてるね。
なんせエンドロ-ルが横スクロ-ル。右から左へ。
ハハハ、しょうがない監督だなぁ・・・笑うしかない。
こんな アフォアフォ最前線 毎度変わった監督作ですが
ご興味ある方は
どうぞ劇場へ!!
ジャー・ジャー・コルダ(劇中ではこう聞える)
父娘2人の強烈なキャラ(とことん不死身な富豪父親と、ナイフを構えるのがやたら様になる尼僧娘)と、奇怪にして美麗な背景、そしてエンドロール(洋画で珍しい横スクロール!)まで決まりまくった劇伴を愉しむ映画。お話は割とゆるく一本道で、父娘の和解に終わるのでウェス・アンダーソン作品としては呑み込みやすい部類だろう。靴箱で章立てする意味が薄いとか、カンバーバッチとのラストバトルはなんなんだ…とか、そもそも父親の悪辣さが十分に描かれてない、とか文句のつけようはいくらもあるが、そういう細かい点はまぁいいじゃないか、と言いたくなるような、チャーミングな映画であった。豪華俳優による突然のバスケ勝負!
同監督作品の中では難解ではある。
ウェス・アンダーソン監督作品は5作、視聴してます。
前作フレンチ·ディスパッチに比べると少し難解ですね。
フレンチ·ディスパッチは人の内面や感情を丁寧に描いていて、本作とは別ベクトルで複雑ではあるのですが、本作はなんというか内容を詰め込みすぎというか面白さを表現するには時間が足りないのかなという気がしました。
本作主演のベニチオ・デル・トロも前作の役どころの方が良かったなぁ。彼は、理知的な外観とは裏腹に狂暴な演技が似合いますね。
前作の比較ばかりしてもしょうがないので本作のポイントを少しばかり。
本作は、大富豪でパブリックエネミーな父親が、今までろくすっぽ会ってない修道院に置いてきた娘をいきなり後継人にして、政治だの親類だのに妨害されながら家族愛に目覚める物語なのですけど、それと同時に娘の母親を殺した相手を探しにあちこちで情報を聞いて回るのも大きなプロットの一つで、ラストシーンでは真犯人と思っていた叔父(主人公の腹違いの兄弟)も殺したことを否定するし、実は娘の父親は主人公でもなければ叔父でも無いっぽいし、主人公は娘に対して嘘発見器を使って自身の潔白を証明するのだけど、この嘘発見器はスパイ(マイケル·セラ)から訓練すれば欺けると言われるぐらいには微妙な精度なんですよね。結果、娘は実の父親も母親を殺害した犯人も分からずじまいで、主人公は(多分)娘に隠し事したまま一緒にいる。
でも、主人公は最終的に富も名声も捨ててプロジェクト(フェニキア計画)を完遂することを選び、小汚いレストランで娘と(後、養子含めた息子らと)貧乏ながら一緒に暮らすことを選んだ。(まさに家族愛ですね。)
料理も皿洗いも苦手な男と自分を称していたのに最後は皿洗いを仕事にして、仕事終わりに娘と2人でウイスキー煽りながら黙ってトランプ遊びをする。そんな家族との幸せな一時を過ごしてるシーンで本作は終わるのですが、このラストシーンが素晴らしい!これ見るだけで本作を見て良かったなと思えるぐらい良いシーンでした。
当たりハズレが大きい印象の同監督作ですが、次作も是非劇場でみたいですね。
難解さと快楽の境界線
ウェス・アンダーソン監督の新作から、まず強烈に感じるのはその“レトロ感”。舞台は架空のフェニキアだが、スクリーンに広がるのは1950年代のヨーロッパを想起させる街並み、古い電話機やタイプライター、模型のように作り込まれた建物群である。映像フォーマットも横長のシネスコではなく往年のアスペクト比を選び、パンやズームといった昔のニュース映像じみたカメラワークを多用する。さらに音楽はシンセや低音重視のモダンなスコアではなく、室内楽的な弦が響く。これらの積み重ねが観客に「昔の映画を観ている」錯覚を呼び、作品世界をノスタルジーに包み込む。つまりこの映画は、単なるストーリーではなく「過去の映画を現在に蘇らせたかのような体験」が提供される。
その一方で、物語はきわめて断片的で難解。大富豪ザ・ザ・コルダが巨大インフラ計画を進めるが、暗殺未遂が繰り返され、娘との断絶、母の死の影、宗教的儀式が折り重なる。しかし背景説明はほとんどなく、観客は「なぜ暗殺されるのか」「なぜ娘は父を信用しないのか」を断片的な台詞や象徴的な映像から読み取るしかない。まるで何ページか抜け落ちた小説を読んでいるような感覚で、筋を追いたい人には不親切極まりない。だがアンダーソンは、わざとそうしている。観客に迷子感を与え、その不安や混乱自体を映画体験の一部として組み込んでいる。
絵画の使い方も象徴的。マグリットやルノワールといった実在の作品が壁に掛かる一方、宗教画はほとんどが架空の創作で、「どこかで見たようで、実際には存在しない」不思議な既視感を与える。これによって現実と虚構の境界がさらに曖昧になり、観客は歴史映画を観ているのか寓話を観ているのか判断を保留せざるを得なくなる。宗教画が母子像や受難図を思わせるのは偶然ではなく、父と娘の断絶や贖罪を視覚的に補強する仕掛けと理解した。
こうした仕掛けを“美術館的体験”として楽しめる人には向いている作品と言える。絵画の額縁ごと左右対称に配置された構図を堪能し、模型セットや色彩の退色感に「これは古いフィルムの再現だ」とニヤリとできる人たち。逆に、ストーリーの一貫性やキャラクターの心理描写を重視する観客には、唐突さや冷たさとして跳ね返ってくる。つまり、この映画は「わかる人だけわかればいい」作品であり、そこに割り切りがある。
興行的には大衆的ヒットは望めないが、ウェス・アンダーソンというブランドは世界的に確立している。過去作の『グランド・ブダペスト・ホテル』がインディペンデント映画としては異例のヒットを飛ばしたように、都市部のアートシネコンや映画祭を中心に十分な収益を確保できる。製作費も大作級ではないため、商業的には成立するし、むしろ難解さやレトロ感こそがSNSや批評家の話題を呼ぶ。わからない観客を置き去りにする冷たさを「芸術性」として売りにできるのが、この監督の強みとも言える。
総じて、『フェニキア計画』は「レトロに作られた難解な寓話」である。豪奢な美術と古風な演出を堪能するか、あるいは筋が飛んだと首をかしげるか。どちらの反応も作品の内に織り込まれており、理解不能さすら快楽に転化する。映画館を出て「よくわからなかった」と呟く観客もまた、この映画が描く“わからなさ”を体現している。そういう意味で、これは単なる物語ではなく、「映画とは何か」という問いをレトロな衣装をまとって投げかける実験なのだろうと解釈した。
後味が良い名作
監督の過去作品と同様、映像で韻を踏むような演出やシニカルなセリフなどは本作でも健在である。
キャラクター設定が上手く、欲や野望を剥き出し言動を取る人物ばかりが登場するにも関わらず、彼らに嫌悪感を抱かないで見ることができる。
ストーリー展開にはやや無理があるが、鑑賞後はいい気分で一日を過ごすことができるような作品だと思う。
実り多き豊かな…
…失敗譚。
権力と金儲けだけに邁進し、
今迄家族と云う愛に向き合ってこなかった…命を狙われるくらい周りから嫌われている大富豪が、
疎遠だった娘を伴って…30年間準備に費やしてきた計画遂行の為の資金調達行脚の過程で、
修道女の娘に叱咤されながら、
自分の人生を見つめ直すバディムービー。
お金はあくまで欲しいモノに使う為の道具で、
そんな道具に弄ばれ・使われ・支配される人生は、
いくら物質的に豊かでも、幸せとは喚べ無い程に、侘しいもんだなぁと。
やっぱ美味しいモンは、大切な人達と和気藹々しながら食った方が、旨いわな。
期待通りのウェス・アンダーソン的コメディ
ザ・ザ・コルダの命の狙われ方がエグいのだが
どんなピンチに陥っても死なないところが、もはやコメディであり、
面白さでもある。
娘の修道女リーズルの登場により、画面は華やぐし、
秘書ビョルンとの恋模様なんかも描かれて、
その結末にも目が離せなくなっていく。
修道女スタイルじゃないリーズルもとても魅力的。
やはり見どころは、さまざまな俳優との対峙シーン。
トム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチ、
もうこれだけでお腹いっぱい。
ウィレム・デフォーもちょこっと出ているし、他の豪華俳優陣の共演も楽しい。
この監督の作品は好みが分かれるとは思うが、
画面の構図や色味や舞台感・セット感など、目で楽しめるので、
これだけでも一見の価値あり。
ラストは、大富豪から料理店のシェフになっているザ・ザ・コルダと
いっしょに働く娘リーズルにほっこりした。
※リーズルを演じたミア・スレアプレトンは、ケイト・ウィンスレットの娘、、、
ということは、本作をきっかけに初めて知った。
私は心安らかだ
こないだ鑑賞してきました🎬
コルダにはベニチオ・デル・トロ🙂
相変わらず、悪人顔ですが演技は流石の一言。
娘リーズルを不器用ながら愛しているのも伺えます。
まあやってることはかなり際どいんですが、なぜか応援したくなる雰囲気がありました😀
リーズルにはミア・スレアプレトン🙂
ケイト・ウィンスレットの娘さんです😳
コルダに微妙に反発しつつも、ついていく。
修道女ならではの祈りを捧げるシーンもあり、一見冷たいながらも人間味のある女性を好演していました😀
ヌバルおじさんにはベネディクト・カンバーバッチ🙂
ストーリー終盤に登場ながら、なかなかのインパクト😳
いかにも怪しげな目つきで、強欲そうな男をこれまた魅力的に演じていました。
時々シュールな光景が繰り広げられるのは、アンダーソン監督の得意技でしょうかね🤔
言わずもがなのオールスターキャストも魅力で、それぞれキャラ立ちしています。
終わり方もスマートな印象で
「フェニキア計画」
の全貌がよくわからなかったのは私の理解力不足でしょう😅
デル・トロとスレアプレトンの共演は、いい相乗効果を生み出していましたよ👍
アンダーソン監督好きなら、見逃せない1本です🎬
【富に執着する大富豪、度重なる暗殺未遂を経験し、改心するの巻。ウェス・アンダーソン監督ならではの、登場人物が誰一人笑わない、相変わらずシンメトリックな構図テンコ盛り作品です。】
■大富豪のザ・ザ・コルダ(ベネチオ・デル・トロ)は、莫大な利益獲得を画策し、独立国フェニキアのインフラ整備プロジェクトを考えていた。
だが、ライバルの妨害により資金難に陥り、疎遠だった末娘リーズルズ(ミア・スレアブレトン:お初の女優)を後継に資、彼女と共に資金調達の旅に出る・・、が。
◆感想<Caution!内容に触れているかな?>
・相変わらず、大スターテンコ盛り出演である。トム・ハンクス、マチュー・アマルリック、スカーレットヨハンソン。絶品だったのはベネディクト・カンバーバッチであろう。
・トニカク、悪徳大富豪ザ・ザ・コルダのプライヴェート・ジェットが落ちる事、落ちる事。マア仕方あるまいなあ。
・だが、そんな経験をする中で何度も死にかけ、臨死体験をして天国に行ったザ・ザ・コルダは、少しづつ改心するのである。
□ウェス・アンダーソン監督作品あるある。
1.トニカク、構図がシンメトリック。今作で幾つ出て来るか数えるのも楽しい。
2.登場人物がトニカク、笑わない。笑わないったら笑わないのである。
3.美術が一見ゴージャスだが、よーく見ると意外と手作り感満載である。
4.トーンはシニカルコメディ。これを笑えない人はチョイ、キツイよ。
<資金集めに右往左往するザ・ザ・コルダの姿を揶揄して描くシニカルコメディであるが、ラストはチョイ、ホッとするね。
ヤッパリ、がめつく金を稼ぐより、大切な人と暮らすのが良いよね。>
■余計な事かもしれないが・・。初めてウェス・アンダーソン監督作品を観る方へ。
今作は、ウェス・アンダーソン監督作品としては、中位かな。(個人的感想です。)
もっと面白い作品もあるから探してみてね。じゃーね!
全17件を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。











