ザ・ザ・コルダのフェニキア計画のレビュー・感想・評価
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浮遊感のある映像美を楽しむ
「アステロイド・シティ」以来のウェス・アンダーソン監督作品でした。前作ではあまりに難解で玉砕しましたが、本作はそれなりにストーリーが掴みやすかったので、玉砕することはありませんでした。
何となく黄色掛った映像の見た目、登場人物の人形っぽい感じ、パラレルワールドにいる浮遊感などは前作同様で、意味不明だけど何となく惹かれる世界観に、魅力すら感じるようになりました。
お話としては、ヨーロッパの大富豪であるザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)が、中東にあるっぽい架空の国・フェニキアでインフラ整備の一大プロジェクトに着手するというものでした。しかしながら度重なる妨害に遭いプロジェクトが危機に陥る中、後継者に指名した娘であり修道女のリーズル(ミア・スレアプレトン)を連れて、フェニキアに赴き、父娘が危機に立ち向かうというもので、まあ難しい話ではありませんでした。
動きや展開が漫画チック、コメディチックではあるものの、爆笑を誘うというたぐいのものではなく、その辺はチト退屈ではありました。ただザ・ザ・コルダとリーズルのキャラクターは中々魅力的で、この2人を中心に、コルダの弟のヌバルおじさん(ベネティクト・カンバーバッチ)など、有名どころがおかしな役をおかしく演じていて、その辺も面白かったです。
そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。
映画が始まり、期待通りのオシャレでシンメトリーなセットに見惚れてい...
映画が始まり、期待通りのオシャレでシンメトリーなセットに見惚れていたら、ウェス・アンダーソンらしからぬ衝撃のシーンで焦った 笑
が、その後は相変わらずの展開で一安心
今回はベニチオ・デル・トロ在りきの映画
顔面アップはかなりの迫力だし、字幕を追うのが精一杯なセリフも難なくこなす、彼の存在感はさすが👏👏👏
相手役のケイト・ウィンスレットの娘ミア・スレアプレトンもうまくマッチしていたし、マイケル・セラも2面性のある役柄をコミカルに演じていた
あとは豪華な俳優陣がシュールにコメディを演じるところが楽しい
ベネディクト・カンバーバッチとベニチオのやり取りにはワクワクさせられたし、お気に入りのウィレム・デフォー、ビル・マーレイは見つけるだけで嬉しかった
キャストを調べたらシャルロット・ゲンズブールの名があったが、気づかなかった💦
情報量が多い映画だから見落としが多そう
もう一度観たい
映画館で何度も観たくなるのがウェス·アンダーソン
冒頭の飛行機内のシーンは下半身だけになった秘書の足が痙攣してちょっとショッキングだった。
スタンダードサイズのスクリーンにかっちりシンメトリーのセット。絵画や小物、書籍や印刷物など、どこまで手が込ん出るんだと、ネット動画なら一旦止めて細部をよ~く観てみたいと思った。サナトリウムっぽいシーンは真上からの固定ショット、一度観ただけで細部まで追うのは難しい。
タイタニック女優の娘がオーディションで抜擢された修道女の娘は主役の父を超えて存在感が抜きん出てる。
見てる最中はストーリーや人物の内面をあれこれ思い悩む隙を与えられないウェス·アンダーソンのやりたい放題の最新傑作だ。
豪華なキャストにまったりとした時間を楽しみ、たまにツッコミを入れる程度の余裕のある心持ちで観れば楽しめる作品
劇場やいろんなところで流れた予告で「おっ?あの人やこの人も出るのか?」とただそれだけで鑑賞を決めた人は多かったんじゃないのかな?
私もそんな1人だったんですが80人ちょいの劇場が満員に埋まったんですが………そんなに入る作品なのか?と思いつつ始まったんですが……これは大半がハズレを引いたぞの空気を漂わす展開に。
あれ?おもろいのにほとんど笑わない。あれ?俺だけなのか?じわじわくるこのシュールさに計画の為とはいえ、神も信じず宗教も否定していた主人公が何度も墜落事故を乗り越え臨死体験や銃弾を受けたり大怪我を重ねるうちに少しずつ改心する。
ラストはほっこりするんだけど………あれ?みんな会場出る足取りや表情が………。
やはりキャストの豪華さが仇になったのか?
でもおもろかったで。
なんでその格好?
赦しはするけどビンタ張る。しかも2回も。
機長クビにするけど今飛ばす?
なんやねんカンバーバッチとのドタバタコント等など。
ゆったりとのんびりと時間を感じ作品を楽しむ寛大さを思い出させてくれました。
これこそ『映画』なんですから。
作品を作るにつれて…
ウェス・アンダーソン作品は全作見ているが、
グランド・ブダペスト・ホテル以降から(アニメと元ネタのあるヘンリー・シュガー除く)更に極めた美しい映像作りと監督の独特な解釈(観客に分かりにくい)に力が入っているのをとても感じる。
グランド〜はテンポが良く動きもあり、物語も分かりやすかった。近年のは、一段と台詞が長いし多いし、派手な動きがなく、淡々としている感じ。
今作だと出資がかかったファルーク王子の運命のラストシュート🏀と空中で暗殺者に襲われて飛行機✈️の墜落までと観客が見たい!と思う肝心のシーンを見させてくれないのは残念であった。
ヌバルおじさんとザザのぎこちないアクションは面白かったが、あっという間で、もっと見たかった。しかも性急でよく分からない結末を迎えるため、物語のクライマックスとしてはインパクトにかけ、あっさりすぎたと思う。
といったものの今作は現代を生きるクラシック映画🎥という感じで、親子の絆も描かれていた。
毎作だが、音楽センスと画作りと豪華キャストたちの集結はこの監督の右に出る者はいないと思う。凄いなと感じるシーンもたくさんあったので、個人的には楽しめました。
傑作!!
壮大な内輪ウケ映画。あんまり面白くありません。
まず「ザ・ザ」(英語表記でzsa zsa)から。これはやっぱりザ・ザ・ガボール。1917年ハンガリー生まれのハリウッド女優です。出演作品はほぼ忘れられ9回結婚したことが知られている。相手はトルコの政治家、イタリアの貴族、イギリスの服飾デザイナーと手当たり次第。その中にホテル王ヒルトンがいたので彼女はパリス・ヒルトンの大叔母にあたる。ハリウッドの性的放埒さというのはもちろんそれ以前からあったけどヨーロッパの社交界までリーチを伸ばしたのは彼女を嚆矢とする。(最大の成功者はグレース・ケリーだけど)
そして苗字の「コルダ」。こちらは「バクダッドの盗賊」とかをプロデュースしたアレクサンダーとゾルタンのコルダ兄弟を連想させる。この人たちもハンガリー出身。
つまりザ・ザ・コルダっていうネーミングは映画関係者の匂いが強くするのですね。
そういう観点から見れば、「フェニキア計画」っていうのも架空の国家の国土開発計画っていうことになっているものの、映画製作の隠喩であるのかもしれない。結局、この作品は出資者を探すことと資本を巡っての陰謀や争いの話だから。
制作費は出資者たちに全部負担させて自分は収益の5%を受け取る契約なんて如何にも山師映画プロデューサーっぽいじゃあないですか。考えてみればウェス・アンダーソンとロマン・コッポラのコンビの前作「アステロイド・シティ」もTVプログラムの制作現場のドタバタを描いていた。だから、この作品も実は映画の企画制作の内幕の見立てだと言い切ってよいと思っている。
でもなんかそのあたりが見え透いちゃって、かつお話自体もごちゃごちゃしているだけで面白くない。デル・トロにしてもトム・ハンクスにしてもスカーレット・ヨハンソンにしてもベネディクト・カンバーバッチにしても、彼や彼女が出演するからっていうことでお金を引っ張ってくることに利用だけされて、そのお金を監督が撮影や美術で好き放題使っているっている感じがします。
例えばリーズルが母親の形見っていうことで受け取る宝石のパイプだけどあれはダンヒルの特注品で何万ドルもするそうです。目の保養にはなるけどなんか役者があんまり楽しそうじゃないんでね。やっぱり役者がまず反応するのは脚本なので。これはちょっとないかもと思いました。
「アンダーソン・パレット」
『フェニキア計画』は、豪華キャストと大規模なセット・CGで描かれる風刺的な寓話劇です。主人公は大富豪として巨大公共事業を推し進めますが、暗殺未遂を経て「金から信仰へ」と向かうように見えます。ただし、それは純粋な宗教的回心ではなく、どこか「リベラル化した信仰」ともいえる曖昧なものに留まっているのが特徴です。
特に印象的なのは修道女の娘の存在です。最初は清貧と信仰を象徴するような姿で登場しますが、物語が進むにつれて世俗化し、タバコやナイフを手にし、ロザリオまでも宝飾的に変質させていきます。それでも彼女は信仰を完全に捨てることはなく、むしろ主人公の変化と対照的に描かれているようでした。
コメディタッチの場面もありましたが、劇場では笑いが起きることはほとんどなく、観客を「これは笑うべきか、考えるべきか」と揺さぶる不思議なトーンの映画でした。テーマ性を強く訴えるというより、社会風刺を抽象的に示す寓話として楽しむのがよいかもしれません。
鑑賞方法: ユナイテッド・シネマとしまえん スクリーン6
評価: 62点
ベニチオ・デル・トロが出演するので鑑賞
ベニチオ・デル・トロが好きで観に行きました。
なんとなく知的な映画風でもあり、お馬鹿な映画風でもあり、何を目指したい映画なのか正直ピンときませんでしたが、退屈せずに最後まで観ることができました。
冒頭の飛行機墜落シーン、これは期待できそう!と思いましたが、以降の展開は意外と単調に感じてしまい、ギリギリ好奇心が失われない程度に最後まで鑑賞。
キャストが意外と豪華で、トム・ハンクス、ベネディクト・カンバーバッチ、スカーレット・ヨハンソンが出演しており、驚きました。
それから、スタッフロールが横方向に流れるのは、外国映画では珍しかったです。
30年前、「007消されたライセンス」で初めて知ったベニチオ・デル・トロは、若くて気味の悪いチンピラの若造でしたが、いまや大物の風格ですね。時々残念な役柄も演じますが、「ボーダーライン」の彼は最高でした。10月3日公開の「ワン・バトル・アフター・アナザー」も、彼が出演するという理由だけで観に行く予定です。
まあ、いつもながらの……
ウェスだもの。
フレンチディスパッチ以降、俗世を離れまくって独自の世界観をひたすら突き進んでいくウェス・アンダーソン。
今作もウェス節満載のウェスファンにだけ向けたような作品。
フェニキアって何?とか、飛行機落ちて生きてんの?とか、ストーリーの突然の展開とか、そういう事に疑問を感じたら、負けです。
絵本を広げたような世界が広がり、いちいち小物が可愛い!色がステキ!衣裳が良い!画面構成が素晴らしい!って、ワンシーンワンシーン、いちいちステキ!と思うだけで十分。
ウェスって、そういう楽しみ方だから!
だから血だらけのベニチオ・デルトロとかが出てきても汚く無いのだ。
そして、私だけかもしれないけど、誰が出てるとか関係無く観れるのもウェスならでは。
たぶん、俳優さん個人というより、俳優さんの集め方すらウェス・アンダーソンだし、俳優を超えた世界を作り上げてしまうんだろうな。
ってここまで書くとめちゃくちゃウェス信者みたいだけど、やっぱり、グランドブダペストホテルとか、ムーンライズキングダムみたいなのを期待してしまうんですよ。
最近のウェスはちょっと自分の世界を押し付けすぎかも…って思ってしまうのも事実。
自作こそは、と思って観に行ってしまうウェス作品。次作も、期待してますよ〜笑
俗が聖
画面に映っているものすべて、動いているものすべてがデザインされていて、可愛らしい、美しいものしかない。
テンポが恐ろしく良く、会話、視線、身体の動き、画面の切り替えの度にとてつもなく気持ち良い。
そんな、ウェス・アンダーソンならばそれなりにやってくれるだろうという期待にしっかり応えてくれながら、今回は冒頭からスリルを煽るリズムと共にドタバタ劇が始まり、そのテンションがずっと下がらずワクワクが止まらない。
父は俗物だが憎めず、娘は生意気で可愛く、ボーイフレンド(未満)はギャップ萌え。
最高。
それを踏まえて、今まで観てきたウェス・アンダーソン作品の中で一番グッときて好きな作品と思いました。
それは俗にまみれたおじさんを主人公にしているからと思います。
かつての学校や家庭になじめなくて良い子ではないが無垢な少年、悩むナイーブな青年としてのウェス・アンダーソンではない、圧倒的な自分事感をこの主人公に感じたからでした。
俗物で嘘にまみれ誰からも好かれず誰にも信用おけない中年主人公が、良きことをすると決心して醜く格闘する様は滑稽ですがとてもチャーミングで愛おしいものでした。
序盤、主人公はどこかトランプ米国大統領を思わせる拝金主義と冷酷さがあり、それがこう変わっていくといいな、というアメリカ人のファンタジー願望もある(そしてそれは現実にはないであろうという皮肉も)のかなと、現代性も感じました。
他の登場人物結局誰も聖ではないのも良かったな。
修道女見習いの娘も気を抜くと脚を可愛く組んだり、濃くメイクしたり、お酒飲んだり、可愛い装飾品に可愛いと言ったり、とても素敵でした。
必ずまた観たい!
さすがの映える映像
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