「相変わらずの難易度で結構厳しいか…。」ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
相変わらずの難易度で結構厳しいか…。
今年188本目(合計1,729本目/今月(2025年9月度)7本目)。
相変わらず、理系ネタに飛んだり文系ネタに飛んだりと、飛んだり度合いがすごいので、全部理解しきるのは難しいのではないかな…と思います(というか、理解できる方いるの?)
ただ、個人的には、何度か出る「水」について、「水利権」という語が何度も出てくるところに着目したところです(後述)。
この映画では「水」は大切なもので、映画内で何度か登場して、その権利を争うシーンがあります。映画では専ら字幕ですが、原文は water right (水利権)で、これを明示的に定めている国(砂漠国が多いが、アメリカ等にもある)と、慣例上存在するとする日本等では解釈が違い、この「水の在り方」という部分について触れているのではないかな…と思います。
ただ、アメリカとて砂漠は一部にあっても、いわゆる砂漠国(サウジアラビア等)ではないですし、まして日本とは事情が異なる(この点も後述)ため、この部分の理解がどうなっているかわからないと結構難しいのでは…と思えます。
採点は以下まで考慮しています。
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(減点0.4/相変わらず、何を述べたいか理解が難しい)
文系ネタどっさりできた(「分離不定詞」まで登場した)フレンチ・ディスパッチ、理系ネタだらけのアステロイド・シティと違って、こちらは文系理系両方登場しますが、逆に両方登場する関係でマニアックな展開になるのは避けられず、ここまで理解しきるのは無理なのではないかなぁ…という気がします。
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(減点0.3/水利権(原文 water right)について理解がないと詰む)
砂漠国では当然のように存在し、アメリカ、イギリス、フランスほか一般的な映画先進国でもこれを権利として明示的に認める国もありますが、日本では事情が異なるため、この部分の理解ができないと大半詰みます。
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(減点なし/参考/水利権とは何か)
以下は断りがない限り、日本民法を参照します。
(民法175条)
物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
(河川法87条)
第八十七条
一級河川、二級河川、河川区域、河川保全区域、河川予定地、河川保全立体区域又は河川予定立体区域の指定の際現に権原に基づき、(中略) 当該行為又は工作物の設置についてこの法律の規定による許可又は登録を受けたものとみなす。
いわゆる「灌漑用水」などは法律上、慣例に基づく「何らかの権利」であり、それをあえて根拠を求めると河川法に行きつくのですが、現在では「いわゆる」水利権(以下、「いわゆる」は省略)は新たに設置できません。日本で一般的な河川において、常識的な範囲で水を取ったり、あるいは灌漑用に取ってくるというのは上記の法律があるからにすぎません。そして水も「物」(ぶつ)で、慣例上認められた「みなし物権」として、民法175条としての適用を受けます(ほか、「ダム使用権」なども「みなし物権」)。
※ ただし、水を物質的にとらえて物権と解するか、物を介した債権(物権的債権)と考えるかは解釈にゆらぎがあります(いずれの解釈をとっても大半関係はしない)。
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(参考 河川法23条)
河川の流水を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、次条に規定する発電のために河川の流水を占用しようとする場合は、この限りでない。
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日本では、日本が島国でかつては渇水や取水制限が広く行われた事情から、水利権を否定的に取る立場もあったものの、同時に日本は農業国であるため、灌漑用水などを取水する権利を否定されると農業関係ににも支障をきたすため、民法上の扱いも適当で、「常識的な範囲でやる限り特に問題なし、何か問題があったら国土交通省に聞いてね」の扱いで、日本はこの点、問題になるのは地方の農業・農家くらいしかないのですが、それとて現在では第一次産業が衰退しているので、水利権を巡る争いもほとんどないに等しく(そして、数十年に一度かという極端な取水制限のときに忘れたようにやってくる)、現在にいたります。海外では、砂漠国(サウジアラビアほか)はもちろん、水利権(water right)を明確に定めている国、ない国とが混在しており、映画内で述べているのはこの事情の話なのですが、ここまで求めるのはもう無理なんじゃないか…と思います(想定できる視聴者が謎。一般に水利権は不動産とセットで登場しますが、水利権は不動産登記法で登記できる権利として列挙されていないため、登記してもアウト判定がきます。このあたり、大半は司法書士という職業のお話。外国人の土地取得に絡むと一部行政書士絡みにもなる)。
…というより、日本で水利権だの何だのと言われても、大半理解できないので(日本国内で、灌漑用水などをテーマにしたドキュメンタリー映画ってありましたっけ?)、ここで大半詰むような気がします(というより、「水利権」なんていう語を聞いたことがない方のほうが多いのでは?日本は漢字文化圏なのでそこから類推できるに過ぎない)。
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