劇場公開日 2025年7月4日

「歴史ではない。99%虚構ーーなのはいいけど、それでも杜撰。」ハルビン 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5歴史ではない。99%虚構ーーなのはいいけど、それでも杜撰。

2025年7月8日
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鑑賞方法:映画館

「インディ・ジョーンズ」がナチス・ドイツ相手に活躍する、みたいなのを目指した感じか。
「ジャッカルの日」・「ミッション・インポッシブル」・「ディア・ハンター」的要素も盛り込もうとしたかな。

虚構でもいいんだけど、
それが杜撰で、説得力に欠ける。

最初の方の戦闘場面は、まず「攻撃してください」と言わんばかりの日本軍幕営地。
そして戦闘は、千年前ですか、と言いたくなるようなグチャグチャの密集白兵戦。
しかも敵味方入り交じったところへ銃を撃ってみたり。

国際公法に則って「捕虜として釈放」っていうのも意味不明。
単純に捕虜でよかろうが。
でも、釈放しないと物語が始まらない、という都合があったんだろう。

日本語が話せないのに日本人になりすまして列車に乗ったり。
(本物は偽装も何もなしで列車移動してる)
7日前になって慌てて爆薬を調達することになったり。
「最大の馬賊の長」となった元義勇軍兵士が飲んだくれでしかなく(そんなんじゃ統率できないだろうに)、唐突にロシアンルーレットを強要しようとしたり。

そして「日本人」役の日本語のひどさ。
せめてキーパーソンの森少佐ぐらいは日本人の役者にしようよ。
ちなみに森少佐は、途中で韓国語を理解しちゃうし。
(実は通訳不要だった――という描写はなかった)

「アン・ジュングンはどこだ」という台詞(日本語)は何十回言っただろう。
しまいには笑えてきた。
(ちなみに事実は、無名の人だったので、日本政府はそもそもその存在じたい把握してなかった)

他にも枚挙にいとまがないが、
暗殺シーンが、杜撰の極致。

  *  *  *

きっと一番の意図は、
李舜臣――安重根――金九(キム・グ)という「英雄ライン」を示したかったんじゃないかな。

なお、
李舜臣は、文禄・慶長の役(壬辰・丁酉の倭乱)の時の朝鮮の将軍。のちに「救国の英雄」とされた。

金九は、のちの大韓民国臨時政府主席で「抗日の英雄」。昭和天皇の暗殺を指示したことがある。

島田庵
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