「もう少しテンポが良ければ…」ハルビン Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少しテンポが良ければ…
日本史の知識として「1909年10月に伊藤博文がハルビンで安重根(アン・ジュングン)に暗殺された」ということは知っていたが、その背景については「単純に祖国が侵略された怒りに任せてことに及んだのだろう」くらいのぼんやりとしたイメージを抱いていただけで、正直言って、特にこれまで意識したことすら無かった。
本作は事件の約2年前の戦闘をキッカケにアン・ジュングンがなぜ伊藤を狙おうと思ったのか、そして、実行に至るまでの過程に焦点を当てて描こうとしている。
もちろん韓国視点の英雄譚として描いているので、日本の観客としては手放しに爽快感が得られる訳ではないことには留意しておく必要がある。
それでも、一人の人間として、暗殺という行為に至るまでにさまざまな背景が重なり合ってどのように思い詰めて行くのかという点においては国籍などを問わずに普遍的な物語として観ることができるかもしれない。ただ、もう少しアン・ジュングン自身の心情の揺らぎなどを深掘りしてもよかったのではないかと思える。
映画としては、若干、冗長になっているのが残念。作品に重厚感を持たせたいという意図は理解できるが、もう少しテンポ良く編集をした方が緊張感が持続したまま一気に最後まで鑑賞できるのではないだろうか?
そして、どうしても違和感を拭えなかったのが、満州国の風景が砂漠として描かれていたこと。それじゃモンゴルになってしまうだろう…(エンドロールを眺めていたら、実際にモンゴルで撮影しているようだし)。
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