平坦な戦場でのレビュー・感想・評価
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多くの人に届いてほしい
現代社会が抱えている様々な問題が、日常の延長線上に描かれます
決して他人事ではない
現代の倫理観に左右されず、人間の三代欲求(食欲/性欲/睡眠欲)と真摯に向き合う監督の視線は、時代を超えて響き続けると確信しています
消費される性や性のトラウマ問題を軸に
愛の無いセックスや、お金で割り切るセックスを全否定していない視線が素晴らしい
抱き合う安心感や心地良さは、突き詰めれば哺乳類のコミュニケーションでもあると感じます
(『セッションズ』のセックスセラピストしかり)
今のご時世で言及するにはかなりリスキーな内容に果敢に挑む監督の勇気も胸熱!
誰しも目の前の人を傷つけたくは無いけれど、だからといって優しさにつけ込んで性を搾取してはいけない
そしてそれとは逆に、大切な人を傷つけたくない優しさは実は1番相手を傷つけることになる
ラストのヒロインの言葉に感動しました
誰も居ないと思わせるファーストシーンから引き込まれましたが“食べること”の描き方も素晴らしい。孤食から家族関係を匂わせる手腕!
とくにパンはキリスト教的なモチーフに感じました
ベンチでパンを食べる長回し
彼女と一緒に食べる筈のパン…
ラストのパンも印象的
座って一緒に食べることは、心を開く第一歩なのだと感じました
そして、握り寿司!
娘が以前「食欲が無くて食べたいものが思い浮かばない時でも、握り寿司なら食べられる」と言ってて、なるほどな。と思っていたので
公園のベンチで食べる握り寿司はすごくリアルに感じました
そこからの“バス停で眠るホームレス殺害事件”への流れも素晴らしい
安心して眠れる場所も人間にとっては大事なこと
ラストのメッセージは、現代に生きるクリエイター達へのエールにも感じました
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