劇場公開日 2025年6月27日

「どうしようもなく幸せになりたい ドニヤ」フォーチュンクッキー 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0どうしようもなく幸せになりたい ドニヤ

2025年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フォーチュンクッキーと聞くと一世を風靡したアイドルグループの歌のメロディーが頭をよぎる。当然この映画にはなんら関係がないが、フォーチュン=未来、と思い当れば、なるほどおみくじ菓子だから歌詞に「〽占ってよ」とあるのだなと腑に落ちる。
中華系経営者の営むクッキー工場。そのクッキーの中に入っている一枚のメッセージ。どこか東洋的なニュアンスも伝わってきて、何気ない言葉に格言めいた奥深さを感じてしまう。それは、その言葉に力があるのではなくて、言葉に縋ろうとする読み手の意志がそう思い込むのだろう。まるでTV番組の占いとか血液型占いの言葉をすっかり信じ込んでしまう人のように。でも、それでその人が前向きになるのであれば全然いいと思う。人は誰かに、または何かに頼ろうとする生き物だから。偶然さえも必然に感じてしまうのさえ、その人の力や励みとなるのであればいいと思う。少し意地の悪い用足しを言いつけられて遠出した先で出会った、ちょっとしためぐり逢いも。
そう、この映画でいい言葉はたくさんあった。いい言葉と思うかどうかは人それぞれの感性でもあり、気付きでもあるとは思う。一番可笑しいのは「お探しのメッセージは別のクッキーに」。一番思い当る節があるのは「港にいる船は安全だが、海に出なければ船ではない」。一番カッコよかったのは「あれこれ考える前にまず恋をしろ」。一番忘れられないのは、社長の言う「中庸は美徳」。

栗太郎
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