でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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いつだって最大の被害者は子供。
教師による児童への虐待、親による子どもへの虐待、学校•教育委員会による教師へのいじめ、親による教師へのいじめ、社会•マスメディアによる個人へのいじめ、子どもによる子どもへのいじめ、子どもによる教師へのいじめ…すべてのいじめ問題が連鎖して起こることを表したお話。
焦点が虐待を疑われた教師だったので他の登場人物の行動や心理などははっきり描写されていなかったが、親による少年への虐待は放置されている(と示唆される)描写で幕が閉じている。
虐待が虐待の連鎖を生む。学校教育を始め社会はその連鎖をどうやって止めるかにもっと力を入れ、個人はそのことをしっかり考える力をつけて行かなくてはいけないとあらためて思う。
映画としては、ドラマチックな場面が気になったのでせっかく実話のルポが原作なのだからもう少し淡々とした作りの方が良かったのではと個人的には思った。けど“センセーショナルに煽るマスメディア”を自作で皮肉る狙いなのか…?
胸が苦しくなる。これは
見ていて辛くなった。映画館でなければ、辞めたくなるほど。前半から厳しいのだが、後半の展開。昨年の名作「怪物」を思い出す。だが、一つ大きく違うことがあって、こちらは現実にあった話ということ。
大衆に流されてはいけない。マスコミに踊らされてはいけない。が、事実は各々の真実に書き換えられてしまう。
わからない事にやりたい放題できる世間に、ゾッとした。
綾野剛、良かったです。
最近よく聞くptsd 、でっちあげようとおもえば、いくらでも悪用できそうだなあと。。
三池作品ぽくなかったが、凄く面白かった。
あー楽しかったではないので、4.5
これは好みの話
冤罪は一部のマスメディアによって拡散される
福岡市で実際に起こった事件がベースの作品。(←ルポルタージュ未読)
この映画を鑑賞して思い出したことがあります。私が小学を卒業したのは、50年以上前ですが、卒業時の担任は女性のビンタ先生でした。我々児童が、悪いことをした時にビンタされましたし、廊下に立たされたりもしました。(←先生の言うことを聞かない、他の児童に迷惑をかける、女子のスカートめくりをするなど、我々児童が悪いのですが😅)それを体罰とは言っていなかった時代ですね。小学6年生にもなると性のこともわかってくるので、「○○先生は、今日はア○ネでイライラだからビンタされないように気をつけよう」といういい加減なことも男子児童間で言っていました。(○○先生ごめんなさい😓)今の時代、先生によるビンタも児童によるスカートめくりも完全にアウトですね😅。
また、モンスターペアレンツも登校拒否児童もいなかったと思います。余談が長くなってしまいました。
柴咲コウの演技が絶妙。無表情さが逆に怖いくらいです。綾野剛の先生役も当たりだと思います。苦悩に満ちた綾野剛の表情、演技がすばらしいかったです。彼を支える妻役の木村文乃も良かったです。光石研のこと無かれ主義の校長先生役もはまり役ですね。どこの組織にもいるでしょうね。綾野剛を弁護する小林薫にも拍手です。
物足りないなかったのは、柴咲コウと夫がモンスターペアレンツになってしまった経緯をもっと詳しく描写して欲しかったですが、実存の人なので配慮したかもしれませんね。映画の中での描写が精一杯だったかもしれません。
あと感じたことは、マスメディアのあり方です。現代はSNSが発達しているので誹謗中傷はもっと酷いでしょう。もうひとつ思い出したのが、松本サリン事件での被害者である河野義行さんに対する当時のマスメディアの報道の酷さ。裏付け確証のない段階での決めつけ報道、センセーショナルな見出しなど、報道のあり方は今もあまり変わってないと思います。また我々自身も誹謗中傷に加担しないように気をつけなければならないと思います。理不尽な誹謗中傷をすることは、人を傷つけるばかりではなく、ある意味冤罪に加担することになるかもしれません。
上半期の私的ベスト5に入る『でっちあげ』。もう一度観たい
主役への印象が、最初の30分とその後でこんなにガラリと変わるドラマも珍しい。
いや、TVのベタなサスペンスドラマでは有りがちかもしれないが、実話を元にした、しかも教師による児童へのいじめ(もはや虐待レベル)についての「日本初」と言われた裁判を元にしているからか、リアリティが半端ない。
まるで「再現ビデオ」のような陰湿なシーンが容赦なく続く導入は、子役のトラウマを心配してしまうほどであり、本当に胸糞が悪くなる。
鑑賞者はこうして例外なくその教師の所業に驚き、嫌悪し、演じる綾野剛という実在の俳優にすら、憎しみを抱いてしまうだろう。
そして、それに続く裁判シーンの罪状認否で教師が
「私は無罪です。すべて拓翔くんとそのお母さんの氷室律子さんのでっちあげです」
と供述するのを聞くに到って、鑑賞者の怒りは「この野郎、この期に及んで卑怯だ。素直に認めろ。絶対に赦せない」とマックスまで高まる。
・・・・・ところがその後一転して、薮下の優しく子ども好きな教師としての日常と、彼の妻(演:木村文乃)や一人息子との温かい家庭の様子が淡々と描かれて行くに連れ、鑑賞者は混乱し始める。
何なんだ、これは? この人物は二重人格のサイコパスなのか? そういうドラマか? 先ほどまでの悪辣な所業は悪夢だったとかいう設定か何かか?
・・・・・・・
無論、この落差は脚本と演出の巧みさによるものだが、何と言っても、まったくの別人に見えてしまうほどの綾野剛の演技力が、鬼のように突出しているということに尽きる。
そして不気味な、こちらこそサイコパスじゃないかと思える母親律子(演:柴咲コウ)、徹底的に権威と保身の権化である校長(演:光石研)、糾弾し社会正義の実現に酔う週刊誌記者(演:亀梨和也)のプレーヤーたちが、否応なく教師を絶望のどん底に叩き落とす。
550人もの大弁護団を擁した告発者の氷室家に対し、たった1人のベテラン弁護士、湯上谷(演:小林薫)が教師の弁護に立つ。ああ小林薫、また良い役をやってる(笑)。
この映画の演出のクォリティの高さは、鑑賞者の見立てを極限まで誤らせ、自分の理性と感情への信頼を揺るがせることにある。
それは同じように法廷ドラマだった『落下の解剖学』にも通じる。
鑑賞者は薮下の「殺人教師」ぶりを寸分違わず信じ込まされ、怒りに震えたと思ったら、それは母親律子だけが見ている異様な妄想に過ぎないようだ、と磁場が逆転してしまう。
そこで鑑賞者は自らの「思い込み」の誤りを突き付けられ、教師に抱いた嫌悪感の根源に差別とヘイトの存在を見てしまう。
だから、小林薫の弁護士と、夫・父を信じ抜く妻と息子の存在は、鑑賞者にとって免罪符のようにありがたい。
観ている方はついさっきまで週刊誌記者や記事を信じた世間と同じように教師を憎み、弾劾し、スクリーンを観ながら一緒になって心理的に集団リンチを加えていたからだ。
いやぁ、あれだけ教師がイジメていたシーンを最初に見せられれば、誰だってそう思ってしまいますよ。だってあれは、そもそも虚言癖のある子どもの嘘と母親の妄想と、それを拡大した週刊誌が生み出したものでしょう?
果たしてそうだろうか?
程度の差はあれ、私たちは日々似たような思い込みを無意識のうちにしていないだろうか。
週刊誌であろうとSNSであろうと「誰かが言っている」ことを自然に鵜呑みにして、わっしょいわっしょいと再生産していないか。
この作品が秀逸なのは、それを痛烈に投げつけてくるところにほかならない。
「でっちあげ」感じたままのレビュー
原作読後に鑑賞。
事件の経緯、当時の教育・医療関係者の実情、マスコミの過熱報道等、福田ますみの原作を忠実に映画化した作品。綾野剛、柴咲コウは熱演、小林薫もベテランならではの名演を見せてくれる。
事件の真相を描いた映画としては、十分納得のいく作品であった。原作では、あまり語られていない教師の家庭での会話のやりとり等は映画ならではで好感を持てたが、肝心の裁判シーンがあまりにも淡々とハイライト的に描かれており残念で仕方がない。
子供の母親が、自分の人生そのものをでっちあげてきた事を弁護士に追求される場面、彼女の幼女体験に基づくものからと示唆する数ショットのみで済ませており、納得どころか全然もの足りない。この部分をもっと深く掘り下げて欲しいと思ったのは、私だけだろうか。
一人の人間の人生がめっちゃくちゃにされたのに誰一人として罪に問われない。何と不条理な事だろうか。そんな事を考えていて迎えたラストシーン、時がいくら経っても、あの親子の幻を見てしまう教師の表情から同情というより、やるせない虚しさだけを感じた。
終始憤りながら...
綾野剛演じる薮下先生を追い詰める人、またそれに加担する人達(律子、父親、校長、教頭、教育委員会、医師、記者)に対する憤りをもって鑑賞していました。
特に校長と教頭。
結果的に救われる結末は良かったのですが、追い詰めた彼らをギャフンと言わせる場面が見たかったなぁ。
事実を元にしているし、そういうスカッとするエンタメ映画では無く理不尽な世の中を示す映画なので分かってはいるのですが。
やはり三池崇史監督は、上手い。 冒頭からタイトルが出るまでの不穏な空気の演出は、流石!
やはり三池崇史監督は、上手い。
特に、冒頭からタイトルが出るまでの不穏な空気の演出は、流石。その後も、三池監督にしては地味ながら、外さない堅実さがある。
最初は、黒澤明の「羅生門」のように、互い立場から証言を言い合う形で進行していくと思っていたが、映画のスタンスは、殺人教諭と言われた綾野剛扮する薮下先生の立場から描いていく(羅生門の原作の「薮の中」の「薮」が名前の中にあるのは意図的?)。
当初原告側の証言によるひどい教師と思わせる映像が流れてゆき、その後に薮下先生の供述が映像となって流れる。見る側は、とてもいい先生としか思えない。それが少しづつズレを学校側の圧力により認めてゆくうちに、殺人教師が形成される過程がリアル。
対する被害児童の母親(柴咲コウ)のなんとも言えない闇を抱えているような無表情の演技がすごい。これでは全く揺がない態度に、学校側も認めざるを得ないと思えた。
そしてマスコミに知れ渡り、薮下先生は「殺人教師」のレッテルを貼られる。
後半は、小林薫演じる湯上弁護士と出会い、原告側の不備をついてゆく。結果、薮下教諭の賠償責任は棄却され、市の責任のみを認定(民事訴訟なので、刑の確定のようなものはない。無罪、有罪ではなく棄却または責任の認定となる)。ただ「いじめ」の有無はうやむやに。
綾野剛は、市井の子供思いの先生を好演。その後のバッシングによる焦燥感もリアルな演技だった。こんなにやられてしまう綾野剛って結構見ものでした。で、その後の名誉回復した後の安堵感も良かった。
弁護士役の小林薫は定番の良さ。
妻役の木村文乃は、芯の強さと優しさがよく出ていたし。
そして何より柴咲コウが怖い。結局彼女は「闇」としか描かれていない。
(最近の柴崎コウは「蛇の道」など怖い演技が冴える)
実話だったということで、映画としては、様々な部分を切り落とし、2時間ほどにまとめられている。
今回、上映時間の制約から描かれなかった部分も気になる。
原作を読めということかもしれないが、ぜひNetflixなどでドラマ化して、あの児童の両親の闇や、学校側、それにエスカレートしていったマスコミについても描いて欲しいと思った。
その時の監督は当然、三池崇史監督で!
久々に三池監督のスマッシュヒットとなった作品。
やはり三池崇史は上手い!
事なかれ主義、現代のカスハラというでっちあげ。
お客さんは、神さまですか?
子どもは、嘘つかないの?
自分の都合のいい主張が通ると思うのは、顧客である生徒だから?
その主張を通して丸く納めようとする、校長をトップにする学校という組織。
学校組織に属する教師は、組織の為に事なかれ主義になり、身を守るつもりでいる。
最後は、事なかれ主義の組織が、個人を守ることはない。事なかれ主義の組織が身を守るのは、
組織よりも自分であるとあるという事実。
何故に事なかれ主義について行ったか?
何故に乗りきれると思ったか?
ただただ自分の良心に問いかける、守るべき組織とは自分を含めた家族である事を、自分の心である事を。
事なかれ主義が生み出し、"でっちあげ"にて、大惨事になったカスタマーハラスメントの代表事例である。
リチャードジュエルミーツハッチング
でっちあげみた。
リチャードジュエルミーツハッチングのオーディション仕立て。
このレベルでの嘘つきバケモノは、案外、その辺にいくらでもいると思う。
ojシンプソンとかはその極北だけど、こういう人って、嘘の上に嘘を塗りたくって、
なんていうか、自己洗脳に近いものがあって、その人にとってはそれが本当に真実になってしまっている。
だから人前で嘘つく時も真実を語っているのと同じなので、それを見た人は嘘だと見抜きづらい。
大事なのは自分がやってないなら、ハッキリ主張する事。
周りにいる現場の目撃者はハメられそうになってる人がいたら、
ちゃんと助けてあげる事。
こんなバケモノと関わりたくない、そんな風に思うのは当然だ。
だけど、いつ自分が獲物にされるかわからないんだぜ?
こういう奴らの常套手段てんこ盛りだった。
騙されない様にするには。
●やたらと正義だ正しさだと押し出してる。
インパクトが大事。強めな言葉に人は扇動される。
●何かにつけて、すぐ海外との比較を持ち出す。
良いとこだけ。悪いとこは言わない。
●世の中の7割8割の人がネットやテレビの情報を鵜呑みにする事を知っている。
殆どの人々は100ゼロ脳だし感情で行動しやすいし、よく考えない。
関係のない多くを巻き込んで、それをコントロールする手立てがある。
同調圧力、ネットリンチなど。
●どんな手段を使ってでも相手に認めさせる。
一度でも認めさせてしまえば、こっちのものだと知っている。都合が悪くなると、別の話にすり替える。
●弁護士は基本的に勝てる勝負しかしない。
特にこういうシチュエーションで大勢巻き込んでくるのは貧困ビジネス系と同じ類の奴ら。
こういうので、多くの飲食店やライブハウス、クラブが潰されていったのを忘れてはならない。
同じ手口だから。
映画の感想に戻る。
綾野剛が真に迫っていた…ま、本人もいろいろあったし…
1人の人生、その家庭が崩壊していくさまは、涙が…
三石さんのこういう使えないオヤジやらせたらもうピカイチ!
柴咲コウのサイコパス演技は素晴らしい!
ちょっと考えたらすぐ見破れる様な雑な嘘をつきまくる人。
いるよ、こういう奴。
気をつけないといけないのは、この作品は実話だが綾野剛側の視点て事。
真実はいつでもグレーって事。100ゼロじゃない。
変態教師も被害者も実際にいる訳で、感情で動いちゃいけない。
一度頭冷やしてよく考える事が大切だと思う。
129分では窮屈
期待していた作品ですが、あっさり展開過ぎて気持ちがついて行かなかったのが残念。129分じゃ短い。
もっとねちねち虐めて、教師=悪を植え付ける。殺人教師としてこれでもかってくらい追い詰められる。
徐々に親子の化けの皮が剥がれていく。
最終的には校長•教頭も報いを受ける。
という感じで、連続ドラマW5~6話で再編して欲しい。
綾野剛が良すぎる
ひきこまれました。
冤罪というテーマでストーリー自体の評価はわかれるところもあるかもしれませんが(個人的には非常によかった)なにより綾野剛の演技が圧巻すぎました。
後半の意見陳述シーンの懐の深い演技は特に揺さぶられました。
小林薫の良さも加わり、この2人の演技だけでも見る価値があります。
最後の冤罪の影響を背負って生きることの辛さを表すくだりは感情を揺さぶられました。
主題歌もよかったです。
原作読んでもう1回見ます。
こっわ〜
身近にありそー、というか、自分に降りかかってくる事だってありそー😱
今現在も似たような理不尽な想いをしている人もいっぱいいそー😱
冤罪の映画やドキュメンタリー見るとほんとに辛い!
最近は大河原化工機の冤罪が勝訴して本当に良かった😭
それにしても10年後の薮下先生、息子さんの年齢からしてまだ50代くらいだよね?ちょっと老いすぎな気がするんだけど、心労のせい? あと、戦友の奥様亡くなっちゃったのね😢
ほんと、冤罪って苦しい😰
現実ってこんなものよね
演出が少々大げさに感じたところがあったものの、全体的にはとても良かった。
【正体】の鑑賞時にも感じたけど、自分の職責に誇りと矜持を持つって、大事だよね…!
【アプレンティス∶ドナルド・トランプのつくり方】に出てきた、『勝利を主張し続けること』『非を認めないこと』を民間レベルで実行すると、氷室親子のようになるのかしら。
など、これまでに観た映画を改めてかみしめるきっかけにもなったり。
創作ベースのお話だったら、いじめられっ子の親が勇気を振り絞って薮下先生側の証人になったり、同僚の教師が校長&教頭の事なかれ主義を内部告発したりするのだろうけど、現実ってそう甘くはないことを、あえてあっさりめに描いたと思われる、10年後の結末シーンで感じました。
氷室たくと君の人生が、歪んだものになっていませんように、と祈る気持ちです。
綾野剛ファンとして
ずっと楽しみにしていて鑑賞。
一人二役的な演技でファンとしてはかなり楽しめました。
実話に基づく作品なので、冒頭の児童体罰シーンではかなり衝撃的でしたが、ラストで逆転〜本当に良かった!
豪雨の中のシーンは、事前情報でたまたま豪雨になって人工的な雨ではないと話されていたので、一発勝負での?演技だったのかな?雨でより一層懇願する必死さが伝わってきました。
今回は、綾野剛さんファンとしてのレビューになり☆☆☆☆☆5
バッシングという土砂降りの雨にさらされる恐怖
20年前、日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件という実話に基づいている点が、この作品に計り知れない重みとリアリティを与えている。見ている人間は、この物語が「人ごとではない」普遍的な恐怖を内包していることに気づかされるはずだ。
物語は、小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)が、教え子の母親である氷室律子(柴咲コウ)から凄惨な体罰を告発されるところから始まる 。この告発は、週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)によって「実名報道」され、薮下は瞬く間に「史上最悪の殺人教師」として世間の猛バッシングに晒される。彼の平穏な日常は音を立てて崩壊し、誹謗中傷と裏切りが彼を底なしの絶望へと突き落としていく。
本作を観て痛感させられるのは、「自分の信じたいものしか信じない」という人間の本質だ。劇中で象徴的に描かれる「土砂降りの雨」は、まさに世間の声、特にメディアが作り出すバッシングの嵐を視覚化したものだろう。薮下がどれだけ真実を訴えようとも、その声は土砂降りの騒音にかき消され、届けたい相手には届かない。週刊誌が簡単に「真実」を作り上げ、それを世間が鵜呑みにする構図は、現代社会における情報の危うさを浮き彫りにする。
映画はまた、現代社会における「責任」の所在にも深く切り込む。一度謝ってしまったらそれを認めることになり、悪くなくても悪いと認めてしまったらそれが事実になり、安易な謝罪が真実を歪める危険性を指摘する。
そういった日本人の「空気を読む」曖昧さが、時に悪い方向に働き、不用意な言動が「体罰」として事実化されてしまう恐ろしさを描いている。学校側が責任を恐れるあまり、無意識にクレーマーに加担してしまう構図は、教育現場の難しさと、複雑な世の中において教師への責任が過剰にのしかかっている現状を映し出す。
真実を見極めることの困難さも、本作の重要なテーマだ。藪下の弁護士は自分の足で証拠を集めたり、関係者に聞き取りを行ったりするなど、とにかく行動する。情報を精査する地道な作業をして初めて真実が明らかになる過程は、私たちが安易に情報を鵜呑みにせず、一歩立ち止まって考える勇気の必要性を教えてくれる。
最後の法廷での藪下の主張は、まさに今の教育現場に向けた、作り手からの切実なメッセージだろう。子供を真っ当に育てるのは大人の責任であり、ちゃんと叱る大人がいなければ、ろくでもない人間になってしまう。しかし、その「叱る」という行為が、いかに誤解され、一人の人間の命さえ奪いかねない恐ろしさを秘めているか。この映画は、私たちに「真実と嘘は表裏一体」であることを突きつけ、安易な断罪や、ものを考え続けることを放棄する人間の危うさに警鐘を鳴らす。
『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は、観客の心の奥深くに突き刺さる「衝撃のエンターテインメント」でありながら、同時に私たち自身の社会や価値観、そして情報との向き合い方について深く考えさせる、忘れがたい一本となるだろう。
氷山の一角
虚言癖のある親子と事なかれ主義の教育機関、無責任なマスコミによって人生を潰されかけた教師の話。作中で教師によるいじめという表現が使われたが、この状況は教師へのいじめと言える。
最初に児童母親の主張を映像化したシーンを流す演出は、当時の世間がこの事件の初期の報道に対すて世間がに抱く印象を観客に体験させる優れた演出だと思う。
テーマがテーマなだけに、決して気分が良くなる作品ではない。しかし、視聴後に観て良かったと思える作品だった。
原作のルポルタージュは…
そう言えばこんな事件もあった様なぐらいで原作になったルポルタージュは未読。三池崇史監督だからと観に行った。
三池崇史監督らしいおふざけやダラダラ感もなく被告となった教師と原告側の生徒の家族からの視点で描かれ果たして真実は如何に❓
事実を一つ一つ積み上げマスコミや被害者家族のでっちあげを崩して行く。
法廷劇が大半だけど淡々と描かれ柴咲コウがほとんど瞼を動かさない❗️
世の中には息をする様に嘘をつき嘘を自分で事実と記憶し理不尽さを感じない人間がゴロゴロいる怖さ❗️
柴咲コウの名演技❗️
綾野剛は実際、ガーシーから誹謗中傷を受けまくり半ば引退扱いにされていただけに映画と重ねて見てしまいまさに迫真の演技❗️
脇を固める俳優陣、中でも人権弁護士役の小林薫は重苦しいストーリーの光。
またもや名バイプレイヤーの光石研が実に嫌な役。
スリリングさや派手さはなくてもじっくり怖さや社会の理不尽さを観たい方には是非❗️
勿体ない
原作が実話のルポということで、多くの人に見て考えてほしい作品。
出演者の演技も、素晴らしく、上に従っただけなのに責任を押し付けられて蟻地獄に落とされるごくごく普通の人(主人公)、保身しか考えない校長、教頭、教育委員会、頭のおかしいモンスターペアレント、無責任なマスコミ、どれもすごくリアルでした。
それだけに、ゲームの「逆転裁判」かのような裁判シーンの
リアリティの欠如だけが、あまりに勿体ない。
せめて日本の民事裁判制度は調べて脚本書きましょうよ。
三池崇史監督にそこまで求めるのは、求めすぎでしょうか。
ちなみに福岡県教育委員会の教師を守らない保身、無責任体質は、この事件後も変わっていません。
冤罪を覆すのには少数派でも味方が重要
最初のくだりはあまりに綾野剛が嫌なやつで、辟易していて途中から立場が逆転になるも最初のインパクトの方が強すぎてそれを拭い去れないわ。
サスペンスとどんでん返しと法廷劇と面白要素が盛りだくさんなので十分失恋ながら楽しめる。四面楚歌の主人公に唯一、手を差し伸べる弁護士。秘密を知っているものの表に出れない主婦。
まあ、この展開で一番苦しんだのは主人公の子供だろうな。ラストの裁判での大逆転で、北村一輝の表情場読み取れたが、マスコミ亀梨和也の表情って写ったっけ? 見落としたか? 彼の表情もなんとも言えない様相になるわな。
実話だと思うと恐ろしい
誰が本当で誰が嘘か、週刊文春に載っている記事が
どこまで本当でどこまで、嘘か。
人のでっちあげの真実を暴くのって本当に難しいことだと思うし、この事件の実話の元になったニュースを当時報道されてた時に見たことが当方もありましたが、何気なく見ているニュースの情報は、疑うということよりもスッと頭に入ってきて、こんな教師がいるんだ、ひどいな、こわいな、で終えてしまっていました。
実際、犯人にでっちあげられた人が近くにいる人や、知り合いとかじゃない限り、聞いたものをそのままそうなんだと、見る人もたくさんいると思います。
それが冤罪だった時、人生が狂わされた人の気持ちなんて誰にもわからないものだなと思いました。
そして免罪は確実に知らないところでもたくさんあるんだろうなと。
一番最後、全ての罪がなくなった、
でも彼は、親御さんと子供が歩いている幻覚を見て
怯えるような目で、姿を追いかけます。
罪は無くなっても、彼が経験したことは心の奥でトラウマとして残るんだろうなと、あのシーンを見て感じました。
ハッピーエンドではあるけど、苦しい作品です。
諦めない弁護士に出会えたことと、ずっと諦めなかった先生と、全信頼を置いていた家族が素敵でした。
今は先生より親が上から物事を言えてしまうような環境の学校が多いと思います、コンプラや、世間体や、色々抱えてある人が世の中には溢れているんだろうなと思いました。
先生になるキッカケは、育児放棄されて外にいた兄妹に勉強を教えていて、教え方が上手いから先生になったらいいのにと言われて先生になった背景を見て、この人は本当に、先生になるためにたくさん努力して、なりたかった先生になったんだなと思うと、すごく心が締め付けられます。
あんなふうにたくさん大変な目にあった父親を見てたはずの息子が選んだ仕事が、教師でした。
そこにも感動しましたし、奥様は10年後亡くなってしまっていた(?)ようですが、本当にこの人に信じてくれる家族がいてよかったなと思います。
見てよかった作品でした。
綾野剛さんの演技は、同じ映画なのに別人がでできます、
素晴らしいなととても感じました。
裁判は戦争、お互いの正義と正義の戦い。
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