でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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薮下さんの奥様は?
最初、氷室律子が話した際の担任薮下の態度100%あり得ない、未知数の保護者に対して初対面であんな尊大な教師なんていない。
次の薮下の言う話は、今の教師そのものでよく調べているなと思うくらい自然に入って来る。こちらが正しいとすぐわかる。
ここまでで1時間、そう、観ているのが嫌になり、
時間を何回も見る。
薮下の言うことを聞き入れてもらえない時、
殺人教師、とかメディアで叩かれてどう挽回するのか、
と、イヤ〜な気持ちいっぱい。
小学校においてADHDと認定されるされないにかかわらず、周りの教師や子供の正しい判断による注意などを聞かず好き勝手に暴れたり同級生に乱暴をはたらいたりしながら家に帰れば、教師よりも怖い母親の前ではいい子になる知恵の働くヤツは大変始末が悪い。
そういう母親だから、体面を繕うことも染み付いているわけで、一つの物事を見る場合も自分に都合がいいようにしか取らない。親も始末が悪い。
親によっては、得てして低学年なら教師の言葉よりも子供の言い分の方を100%信じがちである。だんだん学年が進むにつれて親も頭を打ち学習して自分の子供の言い分をそのまま信じなくなる。
そうして子供も嘘がつけなくなり、親子共々成長するのだが。
拓翔は4年生、同級生にちょっかいを出してワルサをする。じゅんやがよく狙われていた。
身の回りの片付けが苦手なのか朝持って行った筆箱の中味が帰って来た時はほとんど入っていない状態。
母親は拓翔の手にメモしておくが、拓翔が見なければ意味がない。こういう子のお母さん、子供を連れて放課後教室に来て一緒に探すこともある。
拓翔は母親に詰問されて嘘をついた。
普通の母親なら担任がそんなことするはずがないから、子供特有のすぐバレる嘘だとわかりそうなものだが、律子母は信じた、というか、ねじ込む材料を見つけた、とでも思ったのか。
日本の司法制度で仕方ないのか氷室夫妻が薮下に賠償請求しているが、被害を受けたことを認めてもらいたいが為の賠償請求なのか、ただ単に担任イジメと金儲けを企んだのか⁉️
こう書いて合点がいった。
氷室律子の真の狙いは、
薮下イジメと付随する金儲けが目的だった、と。
いくら子供の嘘やら体面やらがあるにせよ、
動機•理由がわからなかった。
薮下をターゲットにしたのは、家庭訪問の際、
律子のミスだったが、認めたくなく、
夜に来た薮下の真意も律子のミスだとわかりつつ、
立場上、自分のミスと言う薮下にムカつき、
ヤッてやろうじゃないの、と考えた、納得。
(もちろん私の独断的な考えですが)
屋上での話。
律子が拓翔が自殺しかけて私が止めたから命が助かった、
薮下は殺人教師だ、とか言ってたが、
どこの屋上か?
学校なら施錠されている、子供一人で行けない。
校長も教頭もクズ、
担任薮下の話をとことん聞くのが仕事。
親の言い分と合わないところを言及しないと。
教育委員会、市役所からの回り持ち職員の集まり。
ほぼ数年で異動があり腰掛け的な人もいるだろう。
人にもよりますが。
課長補佐とか課長とか部長とか役職付くと、
ちょっとは子供の為とか言うけれど、
とにかく無難無難無難が第一。
新聞やらメディアを怖がり薮下のようにメディアに
追いかけ回される者を毛嫌いする。
そして、委員会独自の調査もせずして懲戒処分を下す。
メディアも悪いけど、薮下の家に貼り紙する輩を
警察は逮捕して欲しい。
一つわからないのは、停職6ヶ月で給料支給せず。
なのに教育センターで研修っておかしくないですか?
研修させるなら給料出さないと。
だからサボろうが、飲酒しようが、ほっといてくれ、
と思った。
余談ですが、
停職6ヶ月と懲戒くらうと、
大概その日付けで辞職、となるパターンをよく目にするが、その場合もちろん冤罪ではない。
いい弁護士が付いて良かった。
薮下さん、辞めずにくらいついて勝った、というか無実が証明されて良かった。
多くの人に見てほしい
期待を超えました。
年を重ねると、ホラー映画よりこういうのが1番怖い。実際にこんなモンスターに目を付けられたら、と不安になります。
20年前の事件とのことなので、時代はモンスター〇〇と言われ始めた頃でしょうか。正直この事件のことは知りませんでした。今の方がクリティカルシンキングが浸透しているので情報を鵜呑みにしないかもしれませんが、当時はマスコミの報道をみんな信じきっていたと思います。橋の下で撮られた写真なんてもう…切り取り方によって印象は180度変わりますよね。
俳優さん達の演技は皆素晴らしく、特に柴咲コウさんと綾野剛さんは見事でした。柴咲コウさんの感情のない目の演技は恐ろし過ぎて寒気がしました。綾野剛さんは間の演技が絶妙で、感情を押し殺したり爆発させたり、そして裁判での長回しのシーンは圧巻でした。
虚言癖のある方は、自分の嘘がだんだん真実だと思い込むことがあるようです。自分は虚言癖のある人からの直接の攻撃の対象になったことはありませんが、流れ弾が当たったことがあり、他人事ではありません。
律子の場合は生い立ちに原因があり説得力がありました。最初は我が子へ向かっていた攻撃も、簡単に先生へと矛先を変えてしまうのもリアリティーがありました。だから、他の保護者達も矛先が自分に向かわぬように逃げるんですよね。息子自身も、絶対に嘘を認められないわけです。
職場の校長達や教育委員会、そしてマスコミやPTSDを診断した医師等、一人一人のえぐみが抑えられて描かれているのもリアルで良かったです。
この映画の救いは、弁護士さんとなんと言っても家族です。奥さんが全力で味方してくれるし、お父さんの背中を追いかけてなのか教育実習中の息子とのやり取りも信頼し合っていて素敵でした。あえてアドバイスしないところに関係性が見えました。
面白かった!
ずっとしんどい…
目を背けたくなるようなことばかりで、初めて途中退出しようかと思ったほど心が張り裂けそうで辛かった…(基本メンタル弱々なので心が抉られそうだと分かるものは避けている)。
見終わったあともずっとモヤモヤ。
これを見たら教師にはなりたくないと思ってしまうなぁ。
世の先生方、本当に毎日お疲れ様です。
タクトみたいな子がずっと律子の元で適切な教育を受けることなく育っていくと思うとなんだかやるせない気持ちでいっぱいです。
はぁしんどかった…。
でも俳優陣の演技は皆んな凄かったです!
観ると心臓が痛くなります
「怒り」の描写が恐ろしい作品でした。
役者さんの演技力と演出が相まって、「感情を爆発させる怒り」が本当に怖かった…。
しかもこの作品、ずっ〜と誰かが怒ってるんです。
その怒りが登場人物を貫通して、スクリーンの前の視聴者に向けられ続けるので、私は恐怖で心拍が上がりっぱなしでした笑
大逆転劇や勧善懲悪などの痛快感は皆無で、数少ない反撃シーンも地味に演出されています。ずっと怒りを向けられて、追い詰められて、最後の最後に小さな救い(それも本来は当然のもの)があるだけ。
状況説明も最小限なので、辛いシーンが延々と続きます。
理不尽に晒され続けた先生の苦しみを、わたしたちが追体験するような作品と感じました。
すごい映画ですが、そんじょそこらのホラーより心臓に悪いです。
「ぜひ観てほしい」という気持ちと「心臓に悪いから観るの止めておけ!」という気持ちがせめぎ合う、そんな作品でした。
追い詰められていく恐怖・・・
「でっちあげ」というタイトルからして、どちらが嘘をついてるかってのは明白で、そこに重点をおいた作品じゃないんだろうなとは、予想がつきました。
でも、役者さんってホンっとスゴイですね。
予告編でお馴染みの綾野剛さんが、子供をいたぶるシーンでは、心底、震えが来ます。こんな最悪な教師(っていうより人間)が本当にいるのか?ってくらいに、腐った表情でニヤけます。
まぁ、元々がイメージシーンではあるのですが・・・
そしてもう一人、柴咲コウさんがまたスゴい。
無機質な顔で、平然と嘘をつく。全く感情を表に出さずに睨みつける。あんな人が身近にいたら、それだけで震えが来るような。
勿論、この2人を取り巻く周りの役者さん達の助演があってこそです。
亀梨さんを筆頭とする真実を捻じ曲げるマスコミ、体裁だけを取り繕う光石さん達の学校。全てが綾野さんの先生にとって、悪い方へ悪い方へと流れていく。
心底イライラがつのり、やるせない気持ちに包まれていくドラマでした。まぁ、それだけドップリと作品の世界に引き込まれたってことですが・・・
真実が正されるまでに10年も係る裁判制度。誤りのないよう、慎重に行っていることは理解できますが、その期間誤りが真実のような顔をする。人の想いも、最初こそ向き合ってはいるものの、時を得て単なる出来事の一つとして風化してしまう。やっと掴み取った真実も、あぁそうだったんだの一言で終わってしまうような・・・
真実が捻じ曲げられていく恐怖、そしてそれが誰からも信じられない孤独、また一方的な正義(必ずしも真実とは限らない)を盾に弱者を追い詰めていく第三者。
深く考えさせられる一本でした。
いつ、何時、自分がどの立場にも、陥ると限らない。その時に誤った行動だけはしないよう、真実を見極める力を身に着けたいものです。
それはそうと、最後まで語られなかった柴咲コウさんの家族は、その後どうなったんだろう?あの追い詰められた子供は大丈夫だったんだろうか?
夫婦揃って強圧な人たちは、世間からどう扱われるんだろう。結局、言ったモン勝ちの世界って事なんだろうか。
奥さんと息子が最後まで味方でいてくれたのが救い
オープニング、綾野剛扮する教師が生徒に体罰を行う場面が続き教師に対して嫌悪感を抱いたが、それは生徒の母親側の見方であって実際はそれが母親のでっちあげであり裁判が進んでいくにつれて母親の経歴がうそであったり生徒のPTSDの診断が確実性がなかったり生徒に対する教師のいじめの具体的な目撃証言がなかったりなど結局はいじめを立証する証拠不十分なため教師の冤罪がほぼ認められたこととなり安堵感を覚えた。
柴咲コウ扮する母親自身も育児放棄を経験しており 理想の母親を演じたかったがためのでっちあげなのではと思われた。父親役を迫田孝也が演じていたが出演が少ししかなく活かせてないなと思った。
週刊誌の記者役が亀梨和也でチャラそうな出で立ちで悪者感十分、本人も楽しんで演じていたのではと思われた。
物語の中で救いだったのが小林薫扮する弁護士と木村文乃の教師の妻が教師を見捨てずに最後まで味方でいてくれたこと。弁護士は職務だから当たり前としても妻は離婚を切り出されても教師を信じて一緒にいてくれたのが良かった。
滑稽なのが物語の中では柴咲コウの家族(原告)に550人もの弁護団がついたこと。結局損害賠償請求が棄却され面目丸つぶれ。彼らも母親に振り回された被害者か。
それにしても校長も教頭も教育委員会もひどい。事実かどうかよりもいかにして事を丸く治めるかしか考えてないように思われる。
全体を通して綾野剛の演技がとても説得力があって良かったと思う。
ここは焼肉屋か❓
つい先日、○野家に行きました。
後から隣に、4人家族が座りました。
そこは期間限定で
「牛タン定食」を販売してました。
隣の家族の母親が注文しました。
暫くして配膳されました。
するとその母親が店員を呼び、
「ハサミありますか❓」
若い店員は戸惑います。「ハサミ❓」
母親は「固くて噛みきれないので」
すると店長らしき人が現れ、
「そういうものは用意してございません」
そらそーよ(岡田監督調)
そしたらその母親、
「じゃあ違うのに変えてもらえませんか❓」
私思わず「マジで❓」呟きました。
我が家は先に食べ終わったので、
その後の結末を見ておけば良かった気もしますが、
今作を観て、
その事実を真っ先に思い出しました。
あーゆー人って、
ホントに悪気なく、いや確信犯かも、
そーゆー発言する。
自分からしたら、
「ネジ足らねえなコイツ」
言わないけど思う事ある。
実際身近でも、
別の女性職員を虐めてる女性がいて、
見かねた責任者が辞職勧告したら、
その勧告が心的ストレスだ、
慰謝料払え❗️、
と会社を訴えたらしい。
で会社は長引かせたくなかったのか、
慰謝料払ったらしい。
モンスタースタッフだったという事実。
今作での律子の幼少期に同情の余地はあるが、
虚言癖は死ぬまで治らない。
息子の将来を案ずるばかりである。
父親何してんねん❗️💢
サコっちゃん❗️セリフ少ないて❗️
黒過ぎるって‼️🤣
元々綾野剛て悪い役が多くて、
前半部分がめちゃめちゃ合ってるなーと、
綾野剛本人とファンの方、ごめんなさい🙏
序でにハビテルバルテムもごめんなさい🙏
見事なミスリードでした。
小林薫が鎮静剤になるくらい。
柴崎も亀梨も光石も大倉も憎らしく、
久々に悔しくて涙する映画でした。
でもラストの綾野剛は老け演技過剰🤣
本当に悪いのは誰か?
原作未読。
伏線にしているのかどうなのか分からないが台詞の中に「1番悪いのは誰なのか?」という言葉が出てくる。
薮下の冤罪は最後には晴れる訳だが決して最初から正しい人ではない。正しい人ならば教師である以上、生徒が見ていない所でも教師であるべきだった。校長や教頭に対してやってない事はやってないと断固2人の要求を蹴るべきだった。例え職を失う結果になっても…
氷室律子は裕福な家に嫁いだことが画面でも分かるが決して夫の拓馬とは上手くいっていない雰囲気を醸し出している。が、薮下を責める時だけはその分裂した細胞は一体化する。
そして我が子に対する異常なまでの愛情。次第に想像や妄想が迷走を始める…
その母の重過ぎる愛情を背負いきれずに持病と相まってつい先生に虐められたと嘘を吐いてしまう息子拓翔。母の愛は牙と化して薮下に向けられる。憎悪、復讐心が膨張していく…
最悪なのは綿密な取材も裏取りもせず安易に薮下を悪人に仕立てようとするマスコミ。
それらに煽られる人々。
550名と異常な人数とも思える原告弁護団。
大した診察もせずにPTSDと診断した利益主義の担当医。
結果、薮下の味方はこの時点でどこにもいない。後悔しても時は戻らない。
氷室律子ただ1人の言動に当事者達も世の中も踊らされる。何故そこまで?という疑問は残るがそんな事は鑑賞後に整理しろと言わんばかりにこの作品はどんどん観ている者を引き込んでいく。
果たして1番悪いのは誰か?感情移入の仕方によって答えは変わってくるが、もしかしたら1番悪かったと自覚しているのは冤罪を晴らした薮下本人なのかもしれない…
唯一の救いは被告弁護人と薮下の家族。特に被告弁護人は神様に見えた。
薮下の細君は亡くなったの?
上手く世渡りしたのは校長と教頭…
この2人の存在があるからこそ、この実話により真実味を持たせている訳だが…
現在も20数年前と全く変わっていない不条理な世の中…
自分だけは御都合主義に流される事なく生きていかなくてはと思えた意味のある作品でした。自分自身を信じて生き切る事は死ぬ事よりも辛い世の中ですが…
1番良かったのはこの作品に出会えた事…
きっと世界のあちこちにある「出来事」。
「自分の中の何かを暴かれてしまいそう、踏み躙られてしまいそう。恐ろしくて怖いけれど観たい」、そんな心持ちで観に行きました。
以下、映画内で使用された語句や言い回しを含む文章となりますので念の為にネタバレありとさせていただきます。
どの部分についても余り書くとネタバレになってしまいそうなので私には上手く書けませんが、ずっとハンカチを握り締めていて、喉が渇くのに水も上手く飲めない時間が永遠と続くようでした。きっと綾野剛さんが演じた主人公―――基、私が知らないだけで「実際に起きた『事実』に基くひとたち」が沢山居て、「行方の知れないあの家族」も沢山居て。それらを消費コンテンツのように流している「私」が沢山居るのだと、思い知らされました。
実際、当時未成年とは言えど充分物心が付いた年齢に起きていたはずの出来事なのに全く覚えが無い自分を酷く恥ずかしく思いました。
真実とは何なのか、傍観者でしかないけれど傍観者のままで良いのか、溢れる情報から何を読み取るのか、大小関わらず自分の傍にもきっと絶えず起きているこの「出来事」に今後どう向き合っていけばいいのか。稚拙な感想となりますが、そういったことを考えるきっかけをいただきました。
本当に有難うございました。
信念を曲げたらいかん。
裁判は勝ち負け。真実も悪意も関係ない。勝つか負けるか。
真面目で優しい教師が巻き込まれて失意のどん底に叩きのめされていく。
その表情に感情を素晴らしい演技をしてくれた綾野剛には感服します。
言ったモン勝ち。今はそんな感じが世の中に溢れています。
その場しのぎで事を進めよう、周りがそう言うからとか世間が言うから見てるから………。
曲がるよね。曲がる。まるで粘土のように形は変わるね。
変わるのは悪くない。だって誰もが強く硬い訳じゃないから。
でもやっぱり嫌だな。こんな世界。
でも……でもやっぱり戦わなきゃ、戦わなきゃならない。信念を貫くならしっかと戦わなきゃ。
人生は戦いの連続です。
今は特に正義と悪は簡単に入れ替わり方向性を見失いがちになってます。
鏡を見て頬を叩いて自分を律せましょう。
この作品としては悪役?(不適切かな?)の校長と父母が際立ち過ぎて今後印象が残りそうなぐらいにダークでした。
その反面、奥さんの言葉と弁護士のやんわりとした強さと優しい笑顔にはほっとしました。
「児童=声を上げられない被害者」という先入観があったかも
実話が元になっており、最終的に教師の言い分が認められたのは知っていたが、気が重くて観る気になれず、でも綾野剛を買っているので義務のように観に行きました。
さすが三池監督、掴みから見せる。
なんという最低な教師、と見せておいて、でもタイトル「でっちあげ」だった、と思い出した。法廷劇にして双方の言い分を再現映像のように見せていくのも上手い作りだ。
薮下先生はちょっと気が弱そうで強く言えないところはあるが、それでもしっかり「私はやっていない」と言い続けている。にもかかわらず、「この場を収めるため」と言われて謝罪をしてしまう。してもいないのに謝罪は最悪手だ。
でも、校長や教頭にあれだけ圧力をかけられて逆らえる教師はいるんだろうか。
そして保守的な組織ではありがちな事なかれ主義で自分たちが命じておきながら手のひら返すのはさもありなん。
冤罪は、やっていないことをやったと自白させることで出来上がる。
なので、どんな圧力があろうと、やっていないことはそう言い通すのが自分を守る術だと強く思った。
長野サリン事件で犯人と決めつけられた河野さん一家は、一貫してやっていないという態度を取り続けたことで冤罪を免れた。
校長、無事に定年退職しちゃって、後から法廷で詰められてしどろもどろで少し溜飲が下がった。
氷室一家は余裕で「脅迫」しているのに被害届を出すより言いなりになるほうを選ぶ学校現場。少し前に実の親に殺された野田市の児童虐待殺人事件を思い出した。学校、という組織では、この事件から10年以上たった時点でも同じような過ちを犯していたのだと思った。
ごく平穏に暮らしているのに、青天の霹靂でこんな災難に見舞われる。
いつ我が身に降りかかってきてもおかしくないのが恐ろしい。
身に覚えがないことをでっちあげられ、あれよあれよと大悪人に仕立て上げられる怖さに息が詰まりそう。マスコミに決めつけられたら個人の声はどこにも届かないという絶望感を、薮下先生と一緒に私も味わっていた。妻と一人息子がバッシングされるシーンがなくてよかった。あったら最後まで観ていられなかったかも。
氷室一家はいったい何がしたかったんだろうか
特に律子は、すべて嘘だというのは自分が一番よくわかっていながら、裁判まで起こす考えが分からない。脅すのが得意そうな一家なので、力で周囲を言いなりにできる自信があったのだろうか、現に証言を抑え込んでいたし、マスコミも味方につけており、気が大きくなって勝って大金ゲットできると踏んだのか。
実際の事件では、一方的に児童側の話だけを信じた報道の記事に疑問を呈して独自取材した報道機関がいくつかあり、実際にクラスの児童に聞きこんで、この教師による暴力の現場を見たものが皆無なのを調べ出すなどしており、少しほっとした。
綾野剛の演技力が圧巻。律子の供述のなかでの血も凍りそうな暴力教師とその後の本人としての薮下のふり幅がすごい。そして長い間の苦悩と気持ちの揺れをそれぞれの場面で演じ分ける。教育委員会の、処分取り消しの報を聞いた時の表情は、一緒に涙が出そうだった。
木村文乃の妻も好演。夫がそんなことするはずないと確信を持ち深刻になりすぎず、時には夫のケツを叩いて一緒にがんばる心強い味方なので陰々滅々とした雰囲気にならず救われた。処分取り消しが確定する前に亡くなっていたのか。
小林薫の、あのひょうひょうとして動じないがベテランらしく抜け目なさそうなところ、クライアントに心から寄り添うところ、弁護士として抜群の安定感で、500人の弁護団よりも頼もしかった。
そして、柴咲コウが、めちゃめちゃ怖い!
精神科医の判定や判断がいい加減なのが衝撃的。
昭和の時代に子供だった人ならわかると思うが、昭和には理不尽にハラスメントする教師は普通にいた。気分次第で拷問もどきの体罰をする、暴言吐いたり、大勢の前で児童を笑いものにしたり、特定の子供に嫌がらせしたり、変態は露見すればさすがに問題になったが、密室の暴君としか言えないような教師が堂々と存在した。そういう記憶がある人たちには、教師への経験的な不信感があり、児童寄りに偏った報道を自分の経験に照らして一気に信じ込んでしまう傾向があるのではないか。
被害者の言い分だけで裏付けもないにも関わらず暴走記事を書き続けた雑誌記者も、時代的に子供のころから暴君教師を見てきて、「教師=暴君」「児童=もの言えない被害者」という先入観にとらわれていたかもしれない。もしくは自身が被害に遭って、その恨みを知らず知らずにぶつけていたかも、などと思ってしまった。
観せ方が卓越した監督作品
不謹慎かもしれませんが、面白かったです。
実話に基ずくという事だけの知識で鑑賞。
あの番宣広告の綾野剛さんの表情とキャッチコピーからの、あのオープニング。
……100%騙されました!
ほとんどの人が同じ経験をすると思えました。
三池監督の得意な表現がバイオレンスのようなのですが、……あの導入映像はまさに恐怖感や怒りを植え付けられ、どうしようもない「先入観」が確立し、そこからの180度真逆のストーリー展開開始に、ずっと見逃すまいと、夢中にさせられました。
多くの映画が監督の得意分野に左右されることが多いと思いますが(当たり前ですが)、三池監督がバイオレンスだけという訳ではなく、人物描写や映像の観せ方そのものが素晴らしいと思いました。
しかも変に内容を混濁させず、鑑賞者の期待を裏切らない進行。
なのに面白い映画。中々に貴重です。
ちょっとした「違和感」の観せ方も、創造の範疇で気持ちよく鑑賞できました。
話は変わり、実話を基にしている物語である事に関しては、何とも曖昧な世の中に簡単に壊される人生なんだなと思わされました。
誰が悪いとかは議論にならない点だと思い、いかに「でっちあげ」に対し、当事者が積極的に反論と行動を論理的にしかも強い精神で諦めず、曲げず訴え続けられるか。
しかしそんなことが現実的にできない人も多いとは思いますが(自分もどう行動するかわからない)、法律的に倫理的に「でっちあげ」の被害を受けたら、何とか奮い立って正面から突破する気持ちを諦めないで行動すれば、「敵」と描かれているメディアは、むしろ味方になるのかもしれないと思えました。
……ただし、そこには加害者を徹底的に叩くメディアの構造がどっちに向けられるかが変更するだけなので、「メディアの有り方」というのが、まさに怖く、防ぎようがない媒体。
SNSも然り、声を表現する人間によってどうとでもなる可能性が高いので、やはり倫理観が一番重要であるとも思いました。
現代のメディア市場は、人類史上恐らく最も拡散される時代なので、影響力のある人間の拡散力はどうにも強いです。
もしその対象になってしまった時は、同じようにメディアを大いに利用し、法律的にも圧倒的な証拠固めをして説き伏せる忍耐と精神力で、自信を持って反論し続ければ必ず救われるという事でもあるかなと。
なぜなら、「でっちあげ」だから。
被害者はつらいと思いますが、何とか諦めず、周囲の助けを借りながら必ず打ち勝ってほしいと思い、また、周囲の倫理観のある人は、しっかりと手を差し伸べなければならないかなと思いました。
手を差し伸べる方法は、劇中に描かれているような、保身を伴っても良いと思うので。
最後に描かれていた加害者側のその後も気になるし、やはり倫理観をしっかりと持たないと人生が狂うと思わされた映画でした。
加害者当人の人生苦が描かれている部分も重要で、「親」のあり方も、最重要である事が言える作品でした。
被害者側の「親子関係」と加害者側の「親子関係」が、相対性をもって描かれていると思えましたので、親の子供に対する教育や愛のあり方が非常に重要とのメッセージ性もあるのかなと思いました。
良い作品でした。
演技力
律子目線と薮下目線での互いの演技力が際立ちました。
また構成もよかったです。
律子の供述による凄惨ないじめの描写から始まり、その後の薮下の苦悩。
どんどん引き込まれました。
演技力を最初に書きましたが、柴咲コウさんと綾野剛さん以外にも小林薫さん、木村文乃さん、亀梨和也さん。それぞれ素晴らしかった。
黒光りの旦那も、いかにもなモンペ感(笑)
アメリカ人の血が虚偽だと指摘された時の北村一輝さんの表情なども目を引きました。
文春を正義のように崇めている人に見てほしい作品ですが、その人たちには響かないかなあ?
何をしたかったのか
三池監督、ずいぶんおとなしめの作品でした。豪雨の中薮下さんが慟哭するシーン、あの激しい風雨はこの映画のテーマなのでしょう。
暑い日、避暑の為にもオススメです。
それにしても氷室律子は薮下誠一を告発してどうしたかったのか?5000万円を請求していたが、たかだか公立小学校の教師相手に無理だろう。
自分の息子拓翔に対する虐待を他人のせいにしたかったのか?
校長、教頭、医者はそんな態度で許されるのか?
向井市の教育委員会はどこを見て何を守っているのか?
週刊誌ライターの鳴海はあんなものかな。因果な商売だよな。
処分取消に10年がかかり、その喜びを共にする愛する奥さんをその間に亡くしてしまうなんて理不尽過ぎるだろう。
法廷劇はラストで「よしっ!」となるのだが、請求が棄却されて「ほっと」はしたが、スッキリとは行かなかった。そもそもの告発自体が何をしたかったのか解らない。
レビュータイトルは冒頭に書きます!!
タイトル=結論部分はネタバレになるのでここで書きます。
観たくない方はここで閉じておいて下さい。
結論
①薮下先生みたいな先生が増えて欲しい!!
②言葉は時に凶器になる!取扱う際は
十分に注意しなければならない!!
③マイノリティの中、真実を伝える難しさの
怖さを痛感した!!
以上
観ようとしたきっかけ
どこかで「地面師たち」のようだと書かれていたので、どの様なものなのかを確認したく拝聴した。
あらすじ
映画の流れとしては、最初に原告側の律子の主張が映像として表現される。
次に被告側の薮下の主張が映像として表現される。
その上で、前半は原告と被告がどちらが真実を述べているのかを観賞者側に考えさせるような流れでストーリーは進んでいく。
そして、起承転結の承の部分で薮下がマスコミ、教育機関及び世論からバッシングを受け家族諸々被害に遭うところが描かれる。
心折れかける薮下であったが、妻の支えもあり一念発起し無実を訴えるために戦う事を決意する事によりストーリーは転換していく。
そして、薮下や律子の過去を交えながらストーリーは結末に向かっていく。
果たして、真実とは一体なんなのか。この辺りが監督の観賞者に問いかけたかった事だと感じた。
感想
薮下先生は優しい。本当に子供が好きで子供を良くしたいと言う思いがとても伝わってきた!!だから①のようになれば日本の未来も明るくなると感じた。
②でも述べたとおり、言葉は時に暴力にもなる。取扱う人が正しく使わなければ、それは時に凶器となる。
だから言葉を発する時は、吟味して発する必要があると感じた。
③マイノリティの言葉は届かないと言うことが、このストーリーの根底の部分だと思われる。
③は特に日本では起こりやすいように思う。
真実も曲がり通されマジョリティの意見が通る。日本人の持つ協調性が悪い方向に出てしまった結果であると感じた。
以上の事からとても考えされられる映画であり、ポップコーン片手に観るような映画ではない!!と言うことは伝えておきたい。(とは言え僕はポップコーンとドリンクセツトを頼みました。)
映画の見せ方もキャストの演技も素晴らしいので皆さんも映画館で是非!!
これは私たちのものがたり
映画レビューが久々すぎて緊張…若い女性がたくさんいた!女の子に綾野剛人気なんやなあ。
保守的な組織あるあるで見ていてとても苦しくなる作品。
社会人って誰しも理不尽な目に遭うことはあると思う。これは理不尽の最上級である。私自身、自分の身を犠牲にしてまで部下を守るという管理職にまだ会ったことがない。みんな自分がかわいい。だからこそ、自分を守る術は持たないと生きていけない。そう思っている。
この主人公は普段から自己主張しないタイプなのだろう。周りからの圧に負けて言ってしまったことが取り返しのつかない事態へとつながっていく。痛いほど伝わってくる苦しみに胸が締め付けられる。
発言には責任を持つべき。やけど、管理職2人にあれだけ詰められて、いや!違う!とあの場で感情的にならずに論理的に説明できる人はどれだけいるんやろうか?主人公とともに絶望的な気持ちになる。そして、当事者でもない者たちが追い詰めていく。教皇選挙でも印象に残った「確信と疑念」という言葉をふと思い出す。本質を見るには常に疑念を持つ。周りに流されず見極められる大人になりたい。
この事件とは比べ物にならないが、私は以前、どうしても許せないと思うことがあり必死に組織と戦ったことがある。その際重要だったのは日々のログだった。それのおかげで時系列が明白となり、向こうの主張が論理破綻していることが明らかになった。どこにでもおかしな主張をしてくる人間はいる。映画の中でも出てきていたが孤立無援状態やと、本当に自分は悪いことをしたのでは?と不安に感じる。その時に自分を信じて闘いなさいと味方になってくれた人は本当に恩人だ。
これから社会人になる方にはぜひ自分の身は自分で守るしかないと強く伝えたい。本当はそんなことをしなくてもフェアな社会になってほしいと願う。2003年から組織という魔物は変わっていない。この物語は他人事ではなく自分にも起きる可能性がある。だからこそ恐ろしいのだ。
怖い映画です
ホラー映画ではないが、日常で実際に誰にでも起こりえる(まあ実話なんですけど)怖い話でした。
薮下先生も、どうのように動いても無傷ではいられないというのが、本当に怖い。
罪として認めなければ、学校に居場所がなくなる。認めれば、それはそれで居場所がなくなる。
裁判に勝っても、教育委員会や学校や教員という組織から煙たがられ、居場所がなくなる。
どうあがいても、勝目がない。
裁判も9:1で勝っても1負けると結果、相手の弁護団も体罰が争点の裁判だったから俺らの勝ちって言うだろうしね。
チョット疑問なのが、本当に誰も疑わなかったのか?という点ですね。流石に弁護団も雑誌の記事や母親の証言だけで100%信用してはいないと思うんですよね?
自分がこういう立場になった時には、マスコミに出て真実を話して、自分側についてくれるマスコミや弁護士を探すって方法は無理なんだろうか?と思いました。
いろいろ考えさせられすぎる
平日の休暇の日にイオンシネマで
タイトルである程度筋が想像できて
ルポルタージュが原作だと知り
そういうのが観たいと思って
あえてそれ以上の予備情報を入れずに臨んだ
傑作だった
綾野剛は好きな役者のひとりなのだが
さすがだった
リビングの木村文乃を前にした絶叫シーン
ホンモノ リアルにもほどがある
現実はあぁなってもおかしくないのだが
常識を超えた演技
木村の受けにもとまどいがあったような
リアルな泣き笑いみたいな感じ
柴咲コウ目線からのスタートで
怪物と似たテイストの
羅生門とか藪の中的な展開だったが
綾野と柴咲の両面演技がスゴすぎ
10年後の場面で
年取った綾野が息子と連絡を取るシーン
何だか家の様子がちがうなぁと
洗濯物が室内に干してあるし
あぁそういうことか という場面
年月の経過を感じつつ
あんな目に遭って心労半端なかっただろうし
というような気持ちにさせられた
光石研の円満定年退社のシーンが
さりげなく織り込まれているのも巧み
最後の方で向井氏って誰だっけと混乱
あ 向井市だったと整理がついた
うーんいろいろ考えさせられすぎる
こんな人物に関わられたらホント大変
でも綾野側の目線の原作だから
そういう感想になるのか とか 藪の中
そういえば監督は三池崇史
スクリーンで観たのは初めてかも
日本の役者うまいなぁ
本日もいい休日だった
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