でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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問題提起の映画と見るなら難易度が高すぎてこれはきついか
今年150本目(合計1,691本目/今月(2025年6月度)13本目)。
内容そのものは何ら行政書士持ちとは関係のない映画なのですが、展開が見事なまでにそれら試験で学習するような内容がどんどん出てくるので、ある程度の知識がないと理解で詰まるというタイプかなという印象です。ドキュメンタリー映画ではないですが、実際の事件を参照にして作られているため、一部ドキュメンタリー映画という側面もあり、また実際の裁判展開などは原則そのままなので(あまりに難しい内容はカットされている)、ここの知識で、問題提起型の映画とは考えても理解にかなり差がでます。
そこそこの理解を要求する映画なので、ある程度理解の助けになる部分は以下に書いておきます。
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(減点0.8/内容がそこそこ高度であり理解が難しい)
法律系ネタ映画といえば、「シャイロックの子供たち」(不動産登記法ほか。行政書士のお隣の司法書士という職業が扱う不動産の登記を扱う趣旨)を頂点に難易度高めな映画が多いですが、こちらの作品もなかなかで、一般のテレビ他の刑事ドラマで扱うような内容ではないので(後述)、かなりの理解が求められます。ある程度の知識がないと「理解の面において」返り討ちにされそうな気がします。
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(減点なし/参考/映画内で描かれている展開全般について)
まず、大半を占める裁判に関する部分は、国家賠償法によるものです(行政事件訴訟法ではない)。このため、民事訴訟法の適用があります(※)。この点、民訴法までフルフルに理解するのはそこそこ難しく(行訴法は規定が少なく、「規定がないものは民訴法による」とあるため、資格持ちはある程度は知っている程度)、そもそも「民訴の話か刑訴の話か」の部分で理解がつまります。
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(※) 国家賠償訴訟は、国・都道府県等の違法な行為や不作為(知っていて状況を放置すること。例えば、薬に重大な副作用があることを知っていてそのまま放置する等)に対して国の責任を問う意味で、「行政と個人との関係での裁判」になりますが、適用されるのは、私人間のトラブルを解決する民事訴訟法です。
(参考/国家賠償法4条)
国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
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ラスト以降の採決による取消しは、これはわかりにくいですが、行審法(行政不服審査法)になります(こちらも行政事件訴訟法ではない)。この部分はかなりマニアックで、行審法自体を深く扱うことが一般の方は少ないし、不服のあるものは行政事件訴訟法で争えますから(行審法による採決の取消しは、行政機関による「準司法作用」にあたりますから、それを終審とすることは禁止されます(換言すれば、不服があるものは必ず裁判所による裁判を受けられる。日本国憲法参照))、ここはきちんとした理解がないと詰まるのですが、実はこの法律はその事情があるため(不服があるものは行政事件訴訟法で争えるため)、行審法「のみ」を扱った最高裁判例は数が極めて少なく(地裁・高裁判例も少ない)、条文をひたすら暗記するだけのドライな分野です。
このあたり、一般的な刑事ドラマで扱う内容ではおよそないし(見たことがない)、全般的に内容がどうみても行政法分野に偏りすぎで、理解が難しいかなぁ…(資格持ちにとっての常識は、そうでない方の常識ではおよそない。ズレているケースが大半)といったところです。
かといって、国家賠償法は時々ニュースで取り上げられる一方で行審法が出てくることはレアであり(2025年6月時点の、日本郵便に対する配達トラック等の使用禁止は、行政処分であり、これは「行政手続法」という別の法律から発動する「不利益処分」。混同注意)、こりゃまぁ6月も終わりかけのところで超マニア展開だなぁ、といった印象です。
少なくとも、
・ 民事訴訟法と刑事訴訟法の違い(常識ライン)
・ 国家賠償法とは何か
・ 裁判所とは異なる「行政不服審査法」に基づく「審査会」といったものがあること
…等は頭の中に入れておかれたほうが良いかなと思います。
(減点なし/参考/被害者が、教育委員会の個人を訴えることはできるか)
この点触れている方もいらっしゃいますので触れておきます。結論からいうと「不可能」です。
これらの職員は公務員ですが、公務員の職務に対するトラブルは個人を被告にとって裁判を起こすことはできません(業務と離れて、自宅でアルコールトラブルで人を殴った等は、単なる個人間トラブルなので民事訴訟で争うことは可能)。これは、国・地方自治体が公務員を雇用している以上、その公務員個人ではなく、その雇用した国等が「責任を代位する」という考え方であり(「代位責任説」というもの)、これにより、公務員の軽微な過失まで問われないようになっています(このことは重過失・故意であっても同じ。あくまでも責任を取るのは雇用主である国・地方自治体。もちろん、故意によるものは裁判の確定とともに、責任を取って辞職してね、ということはあり得ます)。
ピノキオ、アンパンマン、ミッキーマウス
火付け役は朝日新聞である。平成15年6月27日の西部本社版に、「小4の母『曽祖父は米国人』教諭、直後からいじめ」という大きな見出しが踊った。その時点ではまだ、単なるローカルニュースに留まっていた。
これを一気に全国区にのし上げたのは、同年10月9日号の「週刊文春」である。
「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した史上最悪の『殺人教師』」。目を剥くようなタイトルと教師の実名を挙げての報道に全国ネットのワイドショーが一斉に飛びつき、連日、報道合戦を繰り広げる騒ぎとなった。
(以上、新潮文庫の原作ドキュメンタリー『でっちあげ』の冒頭から抜粋。)
このモンスター母の証言は矛盾だらけでアメリカ人というのも曽祖父だったり祖父だったり、コロコロ変わる。
原作を読む限り、下記のようなことが客観的に確かめられている。
①原告のモンスターペアレンツは虚言癖と言えるほど、平気でバレるような嘘をつく
②校長、教頭ともモンスターペアレンツの剣幕に押され、苦情内容の事実検証を行うことなく、穏便に事態を済ませることしか考えない無能な事勿れ主義者
③PTSDの診断をした医師のCAPS検査はかなり杜撰でPTSDの判断自体が誤り
④各種メディアとも書きっぱなし、放映しっぱなしで、のちに検証や謝罪を行なっていない(冤罪を受けた教師への直接的な謝罪だけでなく、他の保護者へのヒアリングなど基本的な裏付けも行わないまま、センセーショナルに煽るような報道を行なったことへの公的な検証結果の振り返り報道等はたぶんなされていない)
この映画は、自分が社会的にどの程度他者への影響力があるのか、自分が身の処し方を間違えたらどのような悪影響をどう広げてしまうのか、という認識や自覚によって、何をどう戒めとして受け取るのか、相応に変わってくると思います。
※原作に出てくる体罰三種
ピノキオ…鼻をつまんでぐいぐい引っ張る
アンパンマン…両方の頬をグリグリする
ミッキーマウス…両方の耳を引っ張り宙に浮かす
校長、教頭、杜撰な医師、無責任に煽った記者…
「さて、ピノキオ、アンパンマン、ミッキーマウス。
お前はどれにする?」
将来、閻魔大王からそう選択を迫られることになるかもしれないですね。
映画の演出として、ひとつ気になったこと。
モンスターペアレンツの家庭訪問の時と別の保護者宅でインターホンを鳴らした時。どちらもあんな暴風雨は必要無かったと思うのですが…こんな異議は監督から却下されるのかしらん。
柴咲コウが怖い
当事者でも無い連中が誰かの金儲けや悪意の元書かれた情報を鵜呑みにして
正義を掲げて見知らぬ誰かを叩く
その異常性をもっと皆、理解した方がいい
2025年現在も似たような騒動は常に起こるけど
情報ってヤツは疑え
映画については柴咲コウが恐ろしい
何故そんな事をするのかが一切明かされないからマジで不気味過ぎる
最後の陳述は原文そのままなんだろうか?
面白かったけど
映画館でやる必要あったのかは疑問?
まぁでも二時間ドラマなんかでやったら
その辺のドラマに埋もれちゃうから
そういう意味では映画館でやらないといけない作品なのかもな
間違った情報を流し続けたメディアも
間違った情報を鵜呑みにして嫌がらせを続けた善良な一般人も
特に反省も後悔もしないまま
今後も次の攻撃相手を探し続けては同じ事を繰り返すんだろうな
綾野剛
実話の重みを終始感じて観てた
綾野剛×柴咲コウの化学反応に圧倒される!
氷室律子視点の冒頭、そして薮下誠一視点における
綾野剛と柴咲コウの演技の変わりようが圧巻である。
もはや別人レベルで演じ分けていることに、両俳優の凄みを感じた。
事実をもとにした作品ということで、
冤罪のつくられ方が実に怖い。この怖さを肌身で感じるほどの臨場感がある。
薮下の苦悩、やるせなさ、焦燥しきった状態は察して余りある。
薮下の妻・息子においても。
※薮下の家にひどい落書きや貼り紙がされている(だいたいこういう作品では見かける)が
本当にこんなことをする人の気がしれない。マスコミに踊らされる世論の恐ろしさ。
そして踊らされる人々。この人たちも薮下を相当に苦しめている要因というのは忘れては
いけない。
一方、氷室の異常性もその生い立ちからすると、こういう人がつくられていくことも
理解はできなくもないが、ここまでやる動機はやはり理解できない。
氷室の夫は全部嘘だとわかっているはずなのに、あそこまでするのか?は甚だ疑問というか
人格を疑わずにはおれない。
薮下の救世主となった弁護士である湯上谷との出会いは運命だと思うし、
正しい道を歩んでいれば、ちゃんと救いがあるのだと思う。そう信じたい。
演じた小林薫も真摯さ・静かな賢明さ・誠実さ・力強さの演技が、実に素晴らしかった。
木村文乃演じる妻にも救われた。
マスコミの報道を鵜呑みにしてはいけない。
これは、『フロントライン』を観たときにも感じたこと。
亀梨和也のクズ記者っぷりも見事。
教育委員会などの実態をもっと知りたい。腐った組織体質でないことを切に願う。
自分が加害者になっていないか、
マスコミに踊らされ愚かな行為に至っていないか、
自分の身が引き締まる作品であった。
ぜひ、多くの方に鑑賞いただき、少しでも私と同じ思いに至る人がいるとうれしい。
でっちあげ‼️殺人教師と呼ばれた男
賞とかとは無縁だろうけど
三池監督作品は
ただただ悪趣味なだけとかもあるから
どっちだろ…と思ったら
これは面白かった
綾野剛うまいね
嫌な感じも、気弱な感じ、
繊細なシーンもブチ切れシーンも上手いし、
特に大雨のシーンとか迫力あった
(いかにもな人工雨だったけどw)
撮影難易度、総合演技難易度とかでいったら
『国宝』の方が圧倒的と思うし、
正直この作品は意外性もそこまではないけれど、
面白さでいったら個人的にはこっちかな?
(客観的に総合力で言ったら『国宝』が遥に上と思うけど、
個人的に、二時間でテンポ良くて見易かったってのもある。
『国宝』は吉沢亮の圧倒的演技力に加えてオールスター、
こっちはほぼ綾野剛だよりだけどもw
(いじめられっ子の母親役と小林薫もよかったかな?))
ただの胸糞映画かな?と思ったら、
後味も悪くないし
(りんを鳴らしたシーンはちょっと切なかったけど)
「最近面白い映画ある?」って聞かれたら
「けっこうおもしろいよ」って
ふつうにすすめやすい作品かな?
国宝の方はすでに話題だしね
個人的には、
金のかかり具合、
難易度、斬新さより、
別にぜんぜん映画通でもないから
賞とは無縁だろうなぁとおもう作品でも
単純に面白ければいい
もちろん予算や拘りや意外性が
面白さに繋がることもあるから
ぜんぜん無駄とも思わないけども
まぁそれぞれいろんな映画があっていいね
好きなものを真似たものほどひどいものもないから
ずっしりと重い作品。救いようのない度重なる理不尽な出来事にどん底の...
実際の事件がモチーフ。ある意味下手なホラーより怖いです。
2003年に起こった福岡市「教師によるいじめ」事件を題材にした作品。
日常的な教師からの暴力に、子供を自殺にまで追い込まれたと主張する両親の主張。
そんな事はしていないという教師の主張。
立場変われば見方も変わる。
ちょっとした行き違いによるもつれなんだろうなと思っていましたが、そんなかわいいものではありまけんでした。
オープニングからかなり衝撃的でこんな教師がホントにいるのかとショックを受けました。
作品通して感じた事はとにかく気分が悪くなる。
でっちあげられる側の心境。マスコミの影響力。
思い込みというのは、本当に怖いなと感じました。
また、どちらが嘘をついているにしても、何の為にここまでするのか目的が分からない。
そんな疑問が最期までつきまといました。
観終わった後もいまいち理解できていません。
はっきり言ってこういうのをサイコパスっていうんだろうな。考え方が常人をはるかに超えてくる。そこらのホラーよりよっぽど怖いと感じました。
事実を元にしているとはいえ、いくらなんでもありえないだろうと、鑑賞後に実際の事件を検索したところ、ほぼ映画そのまんまの事が現実には起きていました。
ある意味そこが一番衝撃的だったかもです。
実話をもとにした一種のホラー
有名な事件をもとにした映画。
当時、アンパンマンやらミッキーマウスで新聞で大々的に取り上げられたことは覚えていますが、真実のことは正直何年も経ってからネットで知りました。 報道のあり方も考えさせられました。
布団たたきのおばさんも、あんなにニュースになっていたのに、真実とされていることは報道されない。
今ごろ、この事件の家族はどうしているのか。海外ででも生活しているのかな。
映画としては…正直、期待していたほど面白くはなかった。
綾野剛さんの演技の振り幅に驚愕!
舞台挨拶で監督のみならず綾野剛さんや亀梨和也さんから「目が怖い」と言われて「全然怖くないよー」と可愛く発言していた柴咲コウさんですが、中々どーして、歪な内面をそのまま瞳に映した様な黒い目は迫力満点でした。
そして、それ以上に裁判での感情が伝わらない無表情の恐ろしさと言ったら…、目の恐ろしさなど軽く超える怖さがありました。
更に、柴咲コウさんの隣で瞬きもせず口を横に結んだ夫を演じる迫田孝也さんの演技と相まってマジで歪んだ人物にしか見えなくなっていきました。
本物の多動症にしか見えない息子の演技も抜群で、「関わりたくない家族No.1」というのが、いやが上にも伝わってきちゃいました。
そんな中、1番感心させられたのが綾野剛さんによる表現力。
演技の振り幅が尋常じゃありません。
綾野さん本人が楽しく観れると言っていた導入直後の体罰教師などは見ていて殺意が湧くレベル。
子供と目も合わさず暴言を吐く演技に背筋が凍り付きました。
にも関わらず、物語が進むに連れて様々な表情を作り出し、こちらの同情を誘う演技へとシフトできちゃう凄さと言ったら、他の共演者、名バイプレイヤーたちが霞んでしまうほどでした。
間違いなく綾野剛さんを代表する作品の一本になったと思います。
向かっ腹の立つ描写や怖くなる様な描写もある作品ですが、それを凌駕するだけの「魅力」が演じる人々から溢れ出している作品。
劇場で観る事ができて心底良かったと思いました。
余談ですが、柴咲コウさん演じる律子の部屋にエドワード・ホッパーの絵画「ナイトホークス」が飾ってありました。
ダリオ・アルジェントの「サスペリア PAPT2」に出てくるBARのモデルとなった絵画なので思わずニンマリしてしまいました。
思ったより
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