でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男のレビュー・感想・評価
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何とも歯痒い結末が絶妙の感慨深い作品に!
綾野剛、柴咲コウ
両者共に被害者、加害者、善人、悪人の演技が良かった。2人の敵対するキャストがそれぞれの2つの役どころを見事に演じきった。ストーリーはよい意味で分かりやすい展開、ここから反撃に出るのか、と言う所で反撃にでる。日本人に受ける展開ではあるものの、
ラストはそれでもなんか歯痒い結末でスッキリと悪者を退治しきっていない所が絶妙。
世の中に溢れる真実と嘘について考え深いテーマも浮き彫りになった、奥の深い作品になったと思う。
セレブリティ志向の強い虚栄心の塊のようなサディスティック女が裁判の持つ魔力に取り憑かれ…… 実話に基づく社会派ホラー?
ポップ•アートの旗手と呼ばれたアンディ•ウォーホルが言ったとされる有名な言葉に「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるであろう」というのがありますが、世界的とまではいかなくても15分間よりはるかに長く、そこそこ有名になれる方法があります。社会的に注目を浴びそうな案件で誰かを訴えて法廷闘争すればいいのです。
私の知人(友人と呼べるほどではない)にある裁判で原告団に加わった経験を持つ人がいます。彼は善良で地味で物静かな四十男(当時)で強く自己主張をしたり、積極的にリーダーシップを取ったりするようなタイプではありません。そんな彼にとって裁判は一生に一度の晴れ舞台で、出廷しただけで舞い上がってしまうような素敵な出来事でした。賃金をめぐる争いでしたが原告団は被告側が提示した和解案を蹴り、一審では勝訴します。「勝訴」と墨で書かれた紙といっしょに記念写真におさまり、彼も嬉しそうでした。でも、二審では雲行きが怪しくなり、結局のところ、弁護士と相談しつつ、和解案をのんで手打ちとなり、彼の晴れ舞台は終わったのでした。この場合では、原告団は最初は裁判という状況に舞い上がりつつも結局は経済的合理性に基づいて判断して手打ちとしました。でも、世の中にはそんな合理性などこれぽっちも持ち合わせてなくて、ただ他人を貶めて優越感にひたり、おのれの虚栄心を満たすために裁判を利用する人がいるんですね。心底、怖かったです。
そう、この事実に基づく物語に、小学生の息子を持つ母親として登場する氷室律子(演: 柴咲コウ)はセレブリティ志向が非常に強く、虚栄心の塊のような女で自分についても数々の虚言で塗り固め、いいイメージを作ろうとしています。そんな女が格好の餌食を見つけてしまいます。息子 氷室拓翔(演: 三浦綺羅)の担任の教師 薮下誠一(演: 綾野剛)です。彼女は夫(演: 迫田孝也)とともに学校に怒鳴り込みに行き……
経緯を見ていてため息が出てしまったのは、薮下先生が氷室夫妻にやってもいない体罰を認めて謝罪するところです。確かにこの「でっちあげ」裁判の元凶は、自分が特別な人間であることを見せつけたいと常に考えている氷室律子にあるのは明白ですが、裁判にまでなってしまった原因のかなりの部分は、厳しい言い方になりますが、この薮下先生のトラブル対応に際しての初動ミスにあると思います。校長(演: 光石研)、教頭(演: 大倉孝二)の命令に逆らってでも「やってません。証拠はあるのですか?」と突っぱねるべきでした。私も元サラリーマンのはしくれ、上司と部下が喧嘩したら百パーセント上司が勝つくらいのことはわかっています。まあでも今回はこの上司ですからね。よくいうところの「上司が部下を見抜くには3年かかるが、部下が上司を見抜くには3日もあれば十分」で薮下先生も校長や教頭がどんな力量の持ち主かよくわかってるはず。また、薮下先生は日頃の行ないがよく人望もあるみたいな感じでしたから、"この時点なら" 自分のクラスの児童やその保護者、同僚の教師たちの多くも彼の味方になってくれたはずです(安藤玉恵演じるあの母親もこの時点なら、そんなはずはないと言ってくれたと思います。そんな彼女でも、あの時点だとあれが精一杯になりますが)。
結局、校長/教頭の命令に逆らうのは既知のリスクです。でも、体罰を認めて氷室夫妻に謝罪するというのは未知のリスクになります。あの予定も入っていなかったにもかかわらず夕食後の時間に呼びつけた家庭訪問の件で氷室律子は要注意保護者リストの筆頭になっていたはず。返す返すもこの初動のミスは痛かったと思います。私もなんとか定年まで逃げ切れましたが、トラブルもいろいろとありました。この映画を観て思ったのは、私に関して言うと、正直言って折り合いの悪い上司もいましたが、幸いなことに、この校長/教頭のような無能な上司についたことはありませんでした(まずは部下の話をよく聴き、その後に現場に行って子供たちの話を聞いて事実確認してから対応を考えると思うのですが、それもせずに、ただ謝れって……)
あ、これ、映画のレビューでしたね。私は三池崇史監督とはあまり相性がよくないと思っていました。露悪的なところとか、演出に品がないところとかが気になって。でも、この作品では程よく抑制された品のなさがうまく機能して、そこそこ面白いエンタメ作品になっていたように思いますし、事実に基づいた物語ということで、いろいろ考えさせられることも多かったです。
事実は小説よりも奇なり
実際にはもっと複雑で入り組んでいる事件なのだが、2時間の映画ですべてを描き切るのは難しい。だからこそ、物語の展開が分かりやすくまとめられている。結果として、映画としては十分に面白い作品になっていると思う。
演者の話。
綾野剛は二つの顔を見事に演じ分けており、その演技力には改めて感銘を受けた。
また、柴咲コウの演技には、ドラマWシリーズ『坂の上の家』での役柄が重なって見えた。感情がないサイコパス的な人物を演じさせると、彼女の表現力の高さが際立つ。あんな目をできる役者はなかなかいない気がする。
小林薫さんは言うまでもなく素晴らしい。役どころも一番いいポジションだったので、彼が演じたのは良かった。
まとめ
あんなセンセーショナルに訴えられると、たとえ冤罪だとしても二度とそれまでの日常に戻れない可能性さえある。メディアや報道のあり方を改めて考えさせられた。
観ると心臓が痛くなります
「怒り」の描写が恐ろしい作品でした。
役者さんの演技力と演出が相まって、「感情を爆発させる怒り」が本当に怖かった…。
しかもこの作品、ずっ〜と誰かが怒ってるんです。
その怒りが登場人物を貫通して、スクリーンの前の視聴者に向けられ続けるので、私は恐怖で心拍が上がりっぱなしでした笑
大逆転劇や勧善懲悪などの痛快感は皆無で、数少ない反撃シーンも地味に演出されています。ずっと怒りを向けられて、追い詰められて、最後の最後に小さな救い(それも本来は当然のもの)があるだけ。
状況説明も最小限なので、辛いシーンが延々と続きます。
理不尽に晒され続けた先生の苦しみを、わたしたちが追体験するような作品と感じました。
すごい映画ですが、そんじょそこらのホラーより心臓に悪いです。
「ぜひ観てほしい」という気持ちと「心臓に悪いから観るの止めておけ!」という気持ちがせめぎ合う、そんな作品でした。
追い詰められていく恐怖・・・
「でっちあげ」というタイトルからして、どちらが嘘をついてるかってのは明白で、そこに重点をおいた作品じゃないんだろうなとは、予想がつきました。
でも、役者さんってホンっとスゴイですね。
予告編でお馴染みの綾野剛さんが、子供をいたぶるシーンでは、心底、震えが来ます。こんな最悪な教師(っていうより人間)が本当にいるのか?ってくらいに、腐った表情でニヤけます。
まぁ、元々がイメージシーンではあるのですが・・・
そしてもう一人、柴咲コウさんがまたスゴい。
無機質な顔で、平然と嘘をつく。全く感情を表に出さずに睨みつける。あんな人が身近にいたら、それだけで震えが来るような。
勿論、この2人を取り巻く周りの役者さん達の助演があってこそです。
亀梨さんを筆頭とする真実を捻じ曲げるマスコミ、体裁だけを取り繕う光石さん達の学校。全てが綾野さんの先生にとって、悪い方へ悪い方へと流れていく。
心底イライラがつのり、やるせない気持ちに包まれていくドラマでした。まぁ、それだけドップリと作品の世界に引き込まれたってことですが・・・
真実が正されるまでに10年も係る裁判制度。誤りのないよう、慎重に行っていることは理解できますが、その期間誤りが真実のような顔をする。人の想いも、最初こそ向き合ってはいるものの、時を得て単なる出来事の一つとして風化してしまう。やっと掴み取った真実も、あぁそうだったんだの一言で終わってしまうような・・・
真実が捻じ曲げられていく恐怖、そしてそれが誰からも信じられない孤独、また一方的な正義(必ずしも真実とは限らない)を盾に弱者を追い詰めていく第三者。
深く考えさせられる一本でした。
いつ、何時、自分がどの立場にも、陥ると限らない。その時に誤った行動だけはしないよう、真実を見極める力を身に着けたいものです。
それはそうと、最後まで語られなかった柴咲コウさんの家族は、その後どうなったんだろう?あの追い詰められた子供は大丈夫だったんだろうか?
夫婦揃って強圧な人たちは、世間からどう扱われるんだろう。結局、言ったモン勝ちの世界って事なんだろうか。
これがフィクションなら…
奥さんと息子が最後まで味方でいてくれたのが救い
オープニング、綾野剛扮する教師が生徒に体罰を行う場面が続き教師に対して嫌悪感を抱いたが、それは生徒の母親側の見方であって実際はそれが母親のでっちあげであり裁判が進んでいくにつれて母親の経歴がうそであったり生徒のPTSDの診断が確実性がなかったり生徒に対する教師のいじめの具体的な目撃証言がなかったりなど結局はいじめを立証する証拠不十分なため教師の冤罪がほぼ認められたこととなり安堵感を覚えた。
柴咲コウ扮する母親自身も育児放棄を経験しており 理想の母親を演じたかったがためのでっちあげなのではと思われた。父親役を迫田孝也が演じていたが出演が少ししかなく活かせてないなと思った。
週刊誌の記者役が亀梨和也でチャラそうな出で立ちで悪者感十分、本人も楽しんで演じていたのではと思われた。
物語の中で救いだったのが小林薫扮する弁護士と木村文乃の教師の妻が教師を見捨てずに最後まで味方でいてくれたこと。弁護士は職務だから当たり前としても妻は離婚を切り出されても教師を信じて一緒にいてくれたのが良かった。
滑稽なのが物語の中では柴咲コウの家族(原告)に550人もの弁護団がついたこと。結局損害賠償請求が棄却され面目丸つぶれ。彼らも母親に振り回された被害者か。
それにしても校長も教頭も教育委員会もひどい。事実かどうかよりもいかにして事を丸く治めるかしか考えてないように思われる。
全体を通して綾野剛の演技がとても説得力があって良かったと思う。
ここは焼肉屋か❓
つい先日、○野家に行きました。
後から隣に、4人家族が座りました。
そこは期間限定で
「牛タン定食」を販売してました。
隣の家族の母親が注文しました。
暫くして配膳されました。
するとその母親が店員を呼び、
「ハサミありますか❓」
若い店員は戸惑います。「ハサミ❓」
母親は「固くて噛みきれないので」
すると店長らしき人が現れ、
「そういうものは用意してございません」
そらそーよ(岡田監督調)
そしたらその母親、
「じゃあ違うのに変えてもらえませんか❓」
私思わず「マジで❓」呟きました。
我が家は先に食べ終わったので、
その後の結末を見ておけば良かった気もしますが、
今作を観て、
その事実を真っ先に思い出しました。
あーゆー人って、
ホントに悪気なく、いや確信犯かも、
そーゆー発言する。
自分からしたら、
「ネジ足らねえなコイツ」
言わないけど思う事ある。
実際身近でも、
別の女性職員を虐めてる女性がいて、
見かねた責任者が辞職勧告したら、
その勧告が心的ストレスだ、
慰謝料払え❗️、
と会社を訴えたらしい。
で会社は長引かせたくなかったのか、
慰謝料払ったらしい。
モンスタースタッフだったという事実。
今作での律子の幼少期に同情の余地はあるが、
虚言癖は死ぬまで治らない。
息子の将来を案ずるばかりである。
父親何してんねん❗️💢
サコっちゃん❗️セリフ少ないて❗️
黒過ぎるって‼️🤣
元々綾野剛て悪い役が多くて、
前半部分がめちゃめちゃ合ってるなーと、
綾野剛本人とファンの方、ごめんなさい🙏
序でにハビテルバルテムもごめんなさい🙏
見事なミスリードでした。
小林薫が鎮静剤になるくらい。
柴崎も亀梨も光石も大倉も憎らしく、
久々に悔しくて涙する映画でした。
でもラストの綾野剛は老け演技過剰🤣
抵抗できない独り歩きする言葉の怖さ
事実に基づく話
しかも描きようによっては本作に出てくるマスゴミと同じ穴の狢になってしまいかねない。
そのため、なんともすっきりしないラストになってしまったことは否めない。
この事件に発想を得て事実ではない話としての方が自由度が増したろう。
胸のすくような後味のいいラストにできたのではないかと惜しまれる。
とは言え、ずっと相性の良くない三池監督作品にしては違和感なく観賞できた。
モンスターペアレントはもちろん、
マスゴミや人権派を称する弁護士の恐ろしさが存分に感じられて戦慄した。
最近粗製濫造されているホラーより遥かに怖い。
学校や教育委員会の体質もよく表現されていた。
綾野剛の熱演や柴咲コウの素の姿も胸に迫った。
PTSDと聞いてずっとフジの中居騒動が頭から離れなかった。
場面は違えどこの状況酷似してない?
裁判で真相が争われることがない状況に追い込まれている分、さらに薄寒いけど。
事実に基づかない話としてどこか映画化しない?
本作同様マスゴミはできないだろうけれど。
平板すぎ
最初の二十分くらい、綾野剛が虐待してるところは不謹慎ながら、ちょっと面白かった。「いくらなんでもそんなことするか?」と心の中でツッコミつつ見ていた。
が、そこから冤罪話になると全然面白くない。というか見るべきものがなかった。キャラクターもシーン(隠蔽体質の校長とか保護者説明会での吊し上げとか)も是枝監督の「怪物」で見たようなものばかり。
途中からは何かと言えば綾野剛が泣いてた。
冤罪だけに話をふったのが失敗では? もっと別視点を加えて羅生門システムを徹底し、「あれ、これはどっち? ほんとに冤罪なの?」とこちらの心を揺さぶる展開にしたほうがよかったか。そうなると原作とは話が離れてしまうが。
いずれにしても三池監督の中では駄作の部類だろう。こちらの予想を1ミリたりとも超えてこない。監督には悪いがお仕事としてこなしたということなんだろうね。
追 綾野剛が追い詰められてるのに「悪手」ばかり指すのは原作のモデルがそういう人だからだ。ただ、モデルの人はあんなに泣かないだろう。鈍感すぎて危機意識が低く、ドツボにハマった感じの人だったので。
最初に答えありきの怖さ
本当に悪いのは誰か?
原作未読。
伏線にしているのかどうなのか分からないが台詞の中に「1番悪いのは誰なのか?」という言葉が出てくる。
薮下の冤罪は最後には晴れる訳だが決して最初から正しい人ではない。正しい人ならば教師である以上、生徒が見ていない所でも教師であるべきだった。校長や教頭に対してやってない事はやってないと断固2人の要求を蹴るべきだった。例え職を失う結果になっても…
氷室律子は裕福な家に嫁いだことが画面でも分かるが決して夫の拓馬とは上手くいっていない雰囲気を醸し出している。が、薮下を責める時だけはその分裂した細胞は一体化する。
そして我が子に対する異常なまでの愛情。次第に想像や妄想が迷走を始める…
その母の重過ぎる愛情を背負いきれずに持病と相まってつい先生に虐められたと嘘を吐いてしまう息子拓翔。母の愛は牙と化して薮下に向けられる。憎悪、復讐心が膨張していく…
最悪なのは綿密な取材も裏取りもせず安易に薮下を悪人に仕立てようとするマスコミ。
それらに煽られる人々。
550名と異常な人数とも思える原告弁護団。
大した診察もせずにPTSDと診断した利益主義の担当医。
結果、薮下の味方はこの時点でどこにもいない。後悔しても時は戻らない。
氷室律子ただ1人の言動に当事者達も世の中も踊らされる。何故そこまで?という疑問は残るがそんな事は鑑賞後に整理しろと言わんばかりにこの作品はどんどん観ている者を引き込んでいく。
果たして1番悪いのは誰か?感情移入の仕方によって答えは変わってくるが、もしかしたら1番悪かったと自覚しているのは冤罪を晴らした薮下本人なのかもしれない…
唯一の救いは被告弁護人と薮下の家族。特に被告弁護人は神様に見えた。
薮下の細君は亡くなったの?
上手く世渡りしたのは校長と教頭…
この2人の存在があるからこそ、この実話により真実味を持たせている訳だが…
現在も20数年前と全く変わっていない不条理な世の中…
自分だけは御都合主義に流される事なく生きていかなくてはと思えた意味のある作品でした。自分自身を信じて生き切る事は死ぬ事よりも辛い世の中ですが…
1番良かったのはこの作品に出会えた事…
私と勇気はあなたの味方
予告編で気になっていたので9:40から観ました。いやぁ~良かった。舞台は2003年の地方都市。小学校教諭薮下は、保護者の律子に息子の体罰で告発され、聞きつけた週刊誌記者の鳴海が実名報道をしたために、世間の格好の標的になる。律子が薮下を訴えた民事裁判の場では両者の主張は真っ向から対する。教師は叩いてもいいんだとなればメディアが作り上げる「真実」に乗っかってとにかく叩く時代。本作は、福岡での実話をもとに書かれた原作を映像化したもの。教員が対象となっていたが、どんな職業に就いている人にも起きうる可能性があることが恐ろしい。メディアリテラシー、教育、司法、医療の在り方までを問う作品に仕上がっている。キャスト陣の演技が良かった。綾野剛の演技が素晴らしかった。観て損しない作品です。日本中の教師は観るべき映画です。
きっと世界のあちこちにある「出来事」。
「自分の中の何かを暴かれてしまいそう、踏み躙られてしまいそう。恐ろしくて怖いけれど観たい」、そんな心持ちで観に行きました。
以下、映画内で使用された語句や言い回しを含む文章となりますので念の為にネタバレありとさせていただきます。
どの部分についても余り書くとネタバレになってしまいそうなので私には上手く書けませんが、ずっとハンカチを握り締めていて、喉が渇くのに水も上手く飲めない時間が永遠と続くようでした。きっと綾野剛さんが演じた主人公―――基、私が知らないだけで「実際に起きた『事実』に基くひとたち」が沢山居て、「行方の知れないあの家族」も沢山居て。それらを消費コンテンツのように流している「私」が沢山居るのだと、思い知らされました。
実際、当時未成年とは言えど充分物心が付いた年齢に起きていたはずの出来事なのに全く覚えが無い自分を酷く恥ずかしく思いました。
真実とは何なのか、傍観者でしかないけれど傍観者のままで良いのか、溢れる情報から何を読み取るのか、大小関わらず自分の傍にもきっと絶えず起きているこの「出来事」に今後どう向き合っていけばいいのか。稚拙な感想となりますが、そういったことを考えるきっかけをいただきました。
本当に有難うございました。
祝・三池崇史、新境地作品で完全復活
生徒への体罰、自殺強要の疑いで社会的に破滅させられた小学校教師の裁判をめぐる社会派サスペンスの力作です。硬派な内容なんで、てっきり監督は藤井道人かと思ったら、なんと畑違いの三池崇史でさらに出来の良さに二度ビックリで嬉しくなりました。被害者児童の母親の視点から教師の非道振りを徹底的に描きながら,裁判の口頭弁論で教師が全面否認するところでタイトル画面、一転して教師の視点からお話しが展開する語り口のうまさが絶妙です。羅生門スタイルかと思ったら、一人の男が周囲によって極悪人に仕立て上げられると言う誰にでも起こり得る恐怖と絶望に焦点を絞っているのが、この作品の見どころです。役者では、綾野剛、柴咲コウの二人の演技の切り替えがうまく、引き込まれました。主人公を支える弁護士の小林薫も人情味溢れる名演でした。
冷酷な柴咲コウさん
全426件中、141~160件目を表示










