「多くの人に見てほしい」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 SING SINGさんの映画レビュー(感想・評価)
多くの人に見てほしい
期待を超えました。
年を重ねると、ホラー映画よりこういうのが1番怖い。実際にこんなモンスターに目を付けられたら、と不安になります。
20年前の事件とのことなので、時代はモンスター〇〇と言われ始めた頃でしょうか。正直この事件のことは知りませんでした。今の方がクリティカルシンキングが浸透しているので情報を鵜呑みにしないかもしれませんが、当時はマスコミの報道をみんな信じきっていたと思います。橋の下で撮られた写真なんてもう…切り取り方によって印象は180度変わりますよね。
俳優さん達の演技は皆素晴らしく、特に柴咲コウさんと綾野剛さんは見事でした。柴咲コウさんの感情のない目の演技は恐ろし過ぎて寒気がしました。綾野剛さんは間の演技が絶妙で、感情を押し殺したり爆発させたり、そして裁判での長回しのシーンは圧巻でした。
虚言癖のある方は、自分の嘘がだんだん真実だと思い込むことがあるようです。自分は虚言癖のある人からの直接の攻撃の対象になったことはありませんが、流れ弾が当たったことがあり、他人事ではありません。
律子の場合は生い立ちに原因があり説得力がありました。最初は我が子へ向かっていた攻撃も、簡単に先生へと矛先を変えてしまうのもリアリティーがありました。だから、他の保護者達も矛先が自分に向かわぬように逃げるんですよね。息子自身も、絶対に嘘を認められないわけです。
職場の校長達や教育委員会、そしてマスコミやPTSDを診断した医師等、一人一人のえぐみが抑えられて描かれているのもリアルで良かったです。
この映画の救いは、弁護士さんとなんと言っても家族です。奥さんが全力で味方してくれるし、お父さんの背中を追いかけてなのか教育実習中の息子とのやり取りも信頼し合っていて素敵でした。あえてアドバイスしないところに関係性が見えました。
面白かった!
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