「追い詰められていく恐怖・・・」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
追い詰められていく恐怖・・・
「でっちあげ」というタイトルからして、どちらが嘘をついてるかってのは明白で、そこに重点をおいた作品じゃないんだろうなとは、予想がつきました。
でも、役者さんってホンっとスゴイですね。
予告編でお馴染みの綾野剛さんが、子供をいたぶるシーンでは、心底、震えが来ます。こんな最悪な教師(っていうより人間)が本当にいるのか?ってくらいに、腐った表情でニヤけます。
まぁ、元々がイメージシーンではあるのですが・・・
そしてもう一人、柴咲コウさんがまたスゴい。
無機質な顔で、平然と嘘をつく。全く感情を表に出さずに睨みつける。あんな人が身近にいたら、それだけで震えが来るような。
勿論、この2人を取り巻く周りの役者さん達の助演があってこそです。
亀梨さんを筆頭とする真実を捻じ曲げるマスコミ、体裁だけを取り繕う光石さん達の学校。全てが綾野さんの先生にとって、悪い方へ悪い方へと流れていく。
心底イライラがつのり、やるせない気持ちに包まれていくドラマでした。まぁ、それだけドップリと作品の世界に引き込まれたってことですが・・・
真実が正されるまでに10年も係る裁判制度。誤りのないよう、慎重に行っていることは理解できますが、その期間誤りが真実のような顔をする。人の想いも、最初こそ向き合ってはいるものの、時を得て単なる出来事の一つとして風化してしまう。やっと掴み取った真実も、あぁそうだったんだの一言で終わってしまうような・・・
真実が捻じ曲げられていく恐怖、そしてそれが誰からも信じられない孤独、また一方的な正義(必ずしも真実とは限らない)を盾に弱者を追い詰めていく第三者。
深く考えさせられる一本でした。
いつ、何時、自分がどの立場にも、陥ると限らない。その時に誤った行動だけはしないよう、真実を見極める力を身に着けたいものです。
それはそうと、最後まで語られなかった柴咲コウさんの家族は、その後どうなったんだろう?あの追い詰められた子供は大丈夫だったんだろうか?
夫婦揃って強圧な人たちは、世間からどう扱われるんだろう。結局、言ったモン勝ちの世界って事なんだろうか。
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