「かなり胸糞悪い展開だが、これが事実と聞いて更に震える」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 プリズナーN0.6さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5かなり胸糞悪い展開だが、これが事実と聞いて更に震える

2025年7月5日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

予告編を見て是枝裕和監督の「怪物」を思い出した。「あれとはかなり違うのかなぁ…」と思いながら朝イチの上映回に出向く。そしてすぐに朝から見たことを後悔する(笑)

前半で全く異なる二つの展開が示される。これは真実は最後まで「薮の中」と言うパターンか…と思ったらさにあらず、どうやら児童虐待を疑われた教師の方が正しく、目がガンギマリの母親が事実をねじ曲げており、こちらが子供を虐待しているらしい。

何より気持ち悪いのは、「体罰をした」という確固たる証拠もないのに1人の教師をどんどん追い詰めてその人生を狂わせていくというえも知らぬ恐怖。そして俗にいう「マスコミ私刑(リンチ)」は我々の日常には溢れかえっており、「文春砲」などと称して、マスコミやSNSは世間の悪しき好奇心を拡大増殖させていく。

この件については、当然ながら自分自身も含めて常に自己批判するとともに、皆で考えなくてはいけないと再認識した。

さて映画に戻るが、結局のところモンペである母親が虚言癖と残虐性を持っているという事だよね。あのコワモテの相手を威圧する日焼けダンナもどこかしら攻撃的な異常性があり、まあ少なくともマトモではない。

最終的に薮下が体罰を加えていないという事実からすると、生徒を途中で待ち伏せしてデコピンした事や「自殺の方法を教えてやるよ」などは全て母親の創作(実際にやったのかは不明)って事だよね。だとしたら本当に本当に気味が悪い。

ラスト近くで、教師に好意的な保護者が教えてくれたネタって母親がハーフではなく純ジャパという事なのかな。あのスナックの母親を弁護士が尋ねたのは裏取りか。でももっと何か破壊力のあるネタかと思った。以前も似た事件を起こしてるとかかと思った。ここはちょっと肩すかし。

あの週刊誌の記者もなんやかんやあって最後は教師側につくと見ていたが、いつの間にか途中からフェードアウト。もちろん責任は取らない。

そして同僚で薮下に好意的な若い先生も何事もなくスカされた。何か言いたそうな感じだったのに。結局味方してくれたのはPTSDの診断に疑いを持って資料を渡してくれた女性医師だけだった。

何かいろいろと伏線回収がおざなりな気がする。まあそれが事実だというなら仕方ないんだけど。

結局、あの母親の目的と言うのは何だったんだろう?
単に5800万円と言うお金目当てなのかな。
それとも何か病的なものを抱えていたのかな。

PS あの校長と教頭は最低最悪で自己保身しか考えてないクズなので、藪下先生に2,3発は殴られてもオレが許す。

プリズナーN0.6
プリズナーN0.6さんのコメント
2025年7月6日

確かにおっしゃる通りだと思います。物語は教師vs母親という対立構造が示され、「教師が冤罪」という前提で進んでいき、その線で結んでいます。
ただ母親の血統が虚偽だったことから全てが瓦解していくのもどうなのかと。判決もその方向に流れたようですし。
ただ最後に一瞬だけ映る母娘と息子の映像(旦那無し)はなんだったのだろう。
その後の行方は分からないとあったが、ノンフィクションなのだから、それはないだろうと思ってしまう。

プリズナーN0.6
uzさんのコメント
2025年7月5日

恐ろしいのは、(実際にやったのかは不明)と書かれているように悪魔の証明であることですよね。
劇中では状況証拠や相手の嘘の露呈(信憑性の喪失)で勝ったにすぎない。
また、本作が事実や判決を基にした、教師側目線の作品であることも忘れてはいけないと思います。
鑑賞後に単純に律子を叩いてしまっては、何も学べていないことになる。

uz
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