「職人芸のたまもの」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5職人芸のたまもの

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

これは昔原作を読んでいた。映画を見ていてディテールがちょっとだけ先行しながら頭に浮かんできた。それからするとかなりフィクションに、つまり、ドラマにしている感じがあった。描かれていることが、ではなく「役者のドラマ」になっている。キャラクターを作ってキャラクターを演じている。言ってみたら「巻き込まれ型気の弱い教師VSサイコパス型モンスターペアレンツ」でキョドってる綾野と瞬きしない柴咲コウの対決。三池崇史監督といえばサイコパスバイオレンス映画全盛期のその筆頭みたいなイメージがあるが、そのやり方に、実録ヒューマンを混ぜ込んだ形か。

三池以外のサイコパスでいうと『黒い家』というのもあったが実話ゆえにそういう振り切りはできないので割と丹念に職人技をまとめあげていく映画になっていて、更に役者陣も、もうすっかりベテランな綾野剛と柴咲コウと超ベテランの小林薫の安定感のある映画になっている。特に綾野剛は本当に達者だな、と思える作り込み。

とはいえメッチャ面白いかというとやはり三池崇史と綾野剛ならもっと別なフィクションをやった方が良さそうな気がした。こういうのは白石和彌監督とか吉田恵輔監督とかのほうが向いてる感じ。

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ONI