「本当の悪は教育委員会にいる」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 セイコウウドクさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の悪は教育委員会にいる
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子ども同士のケンカでも、子ども自身によるケガでも、学校の対応が気に入らないと教育委員会に訴えたり、裁判による解決をチラつかせたり、実際にそうしたりする保護者は普通に存在する。氷室母のように、幼少期にネグレクトがなくても、虚言癖がない人間でもだ。また、よく調べもせず、教員に聞き取りをしても、結局は親の言いなりになる教育委員会も存在する。例え匿名であったとしても、「知らない人が呟いているんだよ」という、ACジャパンのCMの決め付けデカのように。訴えられた方が悪いという考えでは、子どもにも、同僚にも満足な指導は出来ない。校長や教頭が事なかれ主義の人のように描かれているが、問題を早期に解決させないと、再任用や校長昇任にも影響する。その評価をするのは教育委員会だからだ。本当にマトモで熱心な教員ほど被害者になり、学校を去っていく構造を、教員委員会が作っている。本作では、氷室親子の訴えを鵜呑みにし、薮下の声をしっかりと聞こうとしなかった教育委員会の責任は重い。トカゲの尻尾切りは、政治や企業のトップだけではない。10年後に停職処分が取り消されるが、教育委員会が守りたいのは、学校や教員、子どもではなく、自分たちの立場だったのではないか。薮下だけでなく、教え子も被害者であることを、教育委員会は分かっていないのではないか。薮下が教育委員会を相手に訴訟をしたら、氷室親子に支払った300万円の10倍は取れるだろう。
この映画は、全国の教育委員会の教育長に見てほしいと思う。
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