「小林薫さんいてくれてありがとう」でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男 chiliさんの映画レビュー(感想・評価)
小林薫さんいてくれてありがとう
怖いエンターテイメント系映画、と軽い気持ちで鑑賞、間違いでした、重い社会派ドラマでした。
そんなことある?と冒頭数十分はデフォルメしすぎだろう、と思っていたのですが、これがあとで効いてくる。認知の違いの世界を大きなスクリーンで見せつけられると、背筋が凍ります。
嘘、ではあるけれど、柴咲コウさん演じる母にはこういうふうに認知されてるんですよね。彼女には現実、作られたものだけど、体感は現実。だからあれほど貫けるし、恐ろしい。
歪みは周りも、自分の子も傷つけるでしょう。
わたし自身はこれほどには歪んでないつもりですが、他の人から見たらどこかしら歪んでいるかもしれない。違うふうに認識しているかもしれない。気づかないうちに誰かを、自分の子を傷つけているかもしれない、とこわくなりました。
綾野剛さんについては皆さんがおっしゃっている通り、身を削る熱演ですし、報道のこわさも、信じたいものを信じる無責任なうねりの迫力を突きつけられる。三池崇史監督には新しい手法の恐怖演出だなと思いました。
楽園、とかその同時期の綾野さんにぞっとした記憶があります。反対にテレビドラマでは最高の離婚が印象的で、つかみどころのないフワーッとした感じが素なのか演技なのか微妙な後味を残す役者さんだなと。
そのうちいい人の役もたくさんされてて、少しホッとしたところにまた狂気を放り込んでくる…怖い!勘弁して!笑
関係ないけど迫田さんのゴルフ灼けとBostonの発音のとこはちょっと笑っちゃいました。
あと小林薫さんの好感度が凄すぎです、胸糞悪い人ばかりで辛かったので後光がさして見えました…
なるほど、こっちが現実、という表現でなく供述、という言葉を使ったのは妙味ですね。実はわたしはラストまで、まだひっくり返るんじゃないかと疑っていました。信用できない語り手の作品もありますから…
律子パートは、印象を操作するために大袈裟に語る様が映像としてよく出ていたように思います。
ただ逆に、誠一パートも冤罪を晴らすために良く言ってる可能性もあるわけで…
回想ではなく“供述”という形で演出したことも、テーマに沿った意味のあるものだと感じました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。