劇場公開日 2025年11月14日

「トランスジェンダー問題を当事者目線で考えさせられる「社会派映画」です」ブルーボーイ事件 天空住人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 トランスジェンダー問題を当事者目線で考えさせられる「社会派映画」です

2025年11月15日
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鑑賞方法:映画館

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斬新

東京オリンピック開催当時の1960年代、街の浄化を目指した警察は「売春防止」を目指していたが、性別適合手術により「男性」から「女性」に性転換した風俗(嬢)は既存の「売春防止法」では取り締まることが出来ないため、性別適合手術そのものを「優生保護法違反」として逮捕された「医師」の罪の有無を裁判で争われた「1965年ブルーボーイ事件」を、史実に一部フィクションを交えて映画化したのが本作である。
・裁判では、「証人」として様々なトランスジェンダーの発言があるが、弁護側、検察側双方も1960年代の社会規範や価値観で「トランスジェンダー当事者の証人」を質問していき、証人の「幸福感」「生きがい」などは二の次にされてしまうので、当事者はとまどってしまうばかりである(映画では裁判に反発する証人や、裁判後自殺する証人などが登場します)。
(例)検察側「男だった頃、射精はあったか、勃起したか」「手術後、生理はあるのか」のような質問をする。
・この映画の主人公であるトランスジェンダー証人の「サチ」(中川未悠)の「手術をして後悔はしたが、私はわたしです。今は幸せです」という発言の中に、この映画は「当事者目線」でトランスジェンダー問題を観客が考えさせるように演出がされています。
・撮影は群馬県内で行われ、うち8割は昭和の風景が残されている「前橋市」で撮影が行われたそうです。裁判所場面の大部分は「群馬県民会館」で撮影されています。
・トランスジェンダーを扱った映画には「ミッドナイトスワン」のような作品がありますが、本作は、尊厳をかけて司法や世間と闘った人々を描く「社会派エンターテイメント映画」であると言えるでしょう。

天空住人
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