「破産した妻に嘘の告白をするまで、凡作とは思わないがせいぜい佳作だと思っていた。」黒い瞳 4K修復ロングバージョン いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
破産した妻に嘘の告白をするまで、凡作とは思わないがせいぜい佳作だと思っていた。
本当にマストロヤンニの演技は素晴らしい。三島由紀夫や辻󠄀邦生と同年で、今年生誕100年となる。(私事だけど、母も生きていれば100歳)
若い頃は普通の美男子だった。歳を重ねると硬軟どちらでも演じる貴重な役者となった。フェリー二は
マストロヤンニを自分の化身のように考えていたのではないか。
タイトルにあるように、終盤まで佳作程度の作品だと考えていた。勿論、マストロヤンニの演技は文句無しだし、笑える場面も一杯ある。しかし、嘘の告白以後の物語は、人間の悲喜劇の重みがまし、綱渡りで一歩間違えれば「谷底の人生」を思い起こせてくれる。もしかして、ロシア商人の妻は?
とか、マストロヤンニは最後まで、でまかせの又嘘八百のペテン師を演じ、チェーホフの世界そのものではないかと私を感動させた。
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