劇場公開日 2025年6月20日

「教室の解像度が高い」中山教頭の人生テスト わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 教室の解像度が高い

2025年6月29日
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己の職業柄、こういう作品のリアリティーラインにはうるさいタイプですが、これはかなりリアルだと断言できます。教室内ヒエラルキー、表には見えてこない陰湿さ、決めつけたことによる子どもや親のトラブル、保護者説明会のヒリヒリ感、そして何より教頭先生の何でも屋加減。お見事でした。強いて言うなら教頭先生が代わりに担任に入るんだから、名前覚えてもらえるように学校内では名札してあげて〜って感じ。

教頭=中間管理職とはまさにこのこと。校長の窓口も平教員の窓口もPTAの窓口も。家に帰れば思春期の娘の感情に左右され、妻への悔恨。とことん挟まれる境遇を渋川清彦が見事に演じきってたと思う。

教員を志す場合、対子どもに何かをしてあげたいからがほとんどなわけで。管理職は対大人になるので、強烈な出世欲がないとなり手が少ないのが現状。この主人公は教頭より校長のほうが仕事の融通が効くからというのは、家庭への罪悪感が大きいとは思うけれど、それでは貪欲にはなれないよなーとは思う。

映画でスローモーションになる数少ないシーンが効果的。妻に会えるシーンもフィクションならではの面白さ。後半のネタバラシパートの痛快さ。大人は間違えるからの道間違いのきれいさ。

良いお話で終わりきれない『死ね』の連呼も、この監督らしいなと。

わたろー
トミーさんのコメント
2025年8月23日

蛍光灯を替える作業が教頭でなければって何なんですかね。クレーマーは上席を出せ!が決まり文句ですが。

トミー