劇場公開日 2025年6月20日

「とにかく教頭は大変だ」中山教頭の人生テスト Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5とにかく教頭は大変だ

2025年6月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

舞台は山梨県の田舎の小学校。何でもかんでも雑用を押し付けられる教頭の中山先生は、ひょんなことから5年生の臨時担任を持たされることになり、校長試験の勉強もままならなず……。

校長、教員、生徒、教育委員会、そして保護者や近隣住民といった諸々のステークホルダーたち、そして家庭内では娘との関わりの中で葛藤する中山先生の姿はおかしくもあり、哀しくもある。

学校の現場としては、それはありな得ないだろうと思える話と、よくありそうと思う場面が交錯して描かれる。

中盤過ぎまで、こんな話を若い連中が観ていたら、そりゃあ教職に就こうなんて考える大学生は激減して、教員不足はますます加速されるだろうな、と思いながら観ていたのだが、最終的にはわりといい話に着地していた。

ただ、そんな感じに着地させてしまって良いのだろうか?という懸念も拭えない。学校の問題は社会全体が抱えている問題であり、それを学校に押し付けて自分は知らんぷりみたいな人間が多いことが最大の問題なのではないか。教師であろうがなかろうが、あるいは大人だろうが子どもだろうが、一人ひとりが抱える自分の弱点や苦悩、問題点にもっと対峙してもいいのかも知れない。

ルールに従ってさえいれば人生を間違えないという訳ではない。ポスターにある「先生や大人がこうしなさいって言うことは全部まちがってる」というセリフには劇中では「君がやりたいと思うことは全て正しい」という続きがある。先生が生徒に言うセリフではあるが、ちょっとするとこれは中山先生が自分自身に語りかける言葉だったのではないだろうか。そして、自分のやりたいと思うように行動することが正解なのかこそが彼の人生テストなのだろう。

Tofu
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