「学校のリアルがここにある」中山教頭の人生テスト ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
学校のリアルがここにある
渋川清彦主演で学校がテーマになっていることから興味を持ち鑑賞。
冒頭から、絶え間なく次々と起きる教頭を取り巻く怒涛の出来事に圧倒された。
些事ではあるものの、ひとつひとつに対応する中山教頭に感服する次第である。
とはいえ、ちゃんとしているのは中山教頭となぜか担任をはずされた椎名先生だけっぽい。
椎名先生の後任の黒川という教師はもう存在自体が子どもにとってパワハラだ。
こんなヤツいるのか!?と思うほど。ここはリアルなんだろうか?非現実的では?と感じたところ。
正直、観ていてつらいというか、きついというか、息苦しくなる展開に、少々嫌気が差したものの
中山教頭のキャラクターが少しゆるいというか、コメディちっくでもあり、鑑賞に耐えうる流れになっていて
ちゃんと学園ドラマというか、そういう要素も入れていて、安心できるところもあって良かったと思う。
前半の出来事についての謎が解き明かされる後半が実に面白い。
面白いが愛里沙が黒幕だとわかると、ギョッとするというか、
無邪気な悪意ほど恐ろしいものはないなとあらためて感じた次第。
また演じている太田結乃が秀逸だ。教室内で最もビジュアルが映えている子だが、それゆえに黒幕だとわかると
天使が悪魔に見えてしまう。これは最後の最後まで不変であった。
太田結乃は今後も活躍するに違いない俳優になるだろう。本作を機に覚えておきたい(『見える子ちゃん』にも出演している)。
中山教頭の奥さんは4年前に亡くなったという設定だが、
娘との関係性がうまくいっていない最中に、車の中で現れる奥さんと中山教頭とのやりとりが
実にファンタジーではあるが、物語が前にまわっていくために必要な演出だったのだろうと思う。
学校や教育にまつわる組織・人の旧態依然とした体質へのアンチテーゼも感じる社会派なところも良い。
先生たちが見えている世界が全てではない。子どもたちを子どもと侮ってはいけない。
これはいろいろな世界・社会にも通じるのではないか。
因果応報ではあるものの、思いは通ずるというメッセージも込められているかなと。
しかしドッと疲れた。
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