劇場公開日 2025年8月22日

「シリーズ延命の新たな手法」バレリーナ The World of John Wick 不敗の魔術師さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5シリーズ延命の新たな手法

2025年8月24日
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まずこの作品の位置付けについて。
ジョンウィック5や6と続けていくよりは、4でサッパリと「主人公の死」という形で強制的に終了させ、共通の世界観で主役を交代した上で、元になるシリーズの主役を(時系列を戻して)2つのシリーズのブリッジとして登場させる、というのは実にエレガントでクレバーな人気シリーズ延命策だと思った。考え出した人に拍手を贈りたい。

で、この映画、たしかにノンストップキリングアクションの名の通り、息もつかせぬアクションシーンの鶴瓶撃ちで構成されてます。
しかし、あんなド新人なのに強過ぎでしょ。結構やられるシーンもあったけど、ジョンも1作目からあんなもんだったし。イメージほど無敵じゃないんだよねジョンも。
でもそんなド新人がバッタバッタと敵を薙ぎ倒していく訳で、相対的にジョンの価値が下がりかねない所、キッチリとタイマン張る展開を用意して、虎が子猫をいなすような場面を見せて来たのは、やはりクレバーだなぁと思った。
結局のところ「world of JOHN WICK」な訳で、不用意に看板の価値を下げる愚は犯さなかったんだなと。

序盤の訓練シーンで「男と張り合うな、女の子として戦えば勝つ」という大変興味深い教えが出て来るんですが、結局のところ「女ジョンウィック」で片づいちゃうのはちょっと残念だったかな。
まぁお色気戦法を多用とかされても困ったけど、もうちょっとなんかやり方なかったのか。とは思っちゃいますね。
自分で出して来ておいて、片付けもせずうっちゃってくのは違うっしょ。何だったのアレ、とはならざるを得ないかな。

中盤取ってつけたように出て来たノーマンは動きモッサリ目だったけど、スピード感のあるアクション出来なかったのかな?ウォーキングデッドのダリルとかデスストのサムもスピード感のある立ち回りはしてなかったし。
でも、それにしても出番短すぎだろとは思いましたね。
正直、今作のアナはあんま可愛くなかった。
まぁそりゃそういう作品でもなかろうが、ぶっちゃけ「じゃあなんでアナデアルマスをキャスティングしたのか」となる。アナデアルマスといえば演技とかアクションとかのイメージよりは「現実離れした圧倒的可愛さ」が売りの女優だろうと。
あくまでアクションを中心に据えたせいで可愛い女優を十分には可愛く撮れないなら、そこを補える存在として、スターオーラ全開のノーマンと並び立つなら十分画面映え的にも保つし、単なる女ジョンウィック化も防げただろう。
ダブルスターのバディものにすべきだったと今でも強く思っている。デススト2とかもあったし、トレーニング期間を含めた十分なスケジュールを押さえ切れなかったのかな?実に惜しいなぁ。

グレネードの接近戦使用を畳み掛ける感じとか、敵の火を躱しながら戦う「火炎放射器による撃ち合い」とか、アクションについては、きちんと新味あるアイディアをまだ入れようという意思があり、実際に上手くいっているのは偉いし凄い。ここまでシリーズ続いてると、枯れて惰性の繰り返しになっててもおかしくないのに。
皿の投げ合いとかのコメディ感も良かった。アクションと笑いを融合させるというのは実はシリーズ通してやってる取り組みなんだよね。

ラストがジョンウィック1作目と同じ流れになったのは綺麗といえば綺麗。既視感アリといえば既視感アリ。

ところで3作目の「パラベラム」に裁定人という、かなりムカつく悪役がいて、倒さずに終わるんですよね。当時の感想にも書いたんですけど、「次回作で決着するんだろうけど、怒りはそんなに持続しないんで作品中で倒して欲しかった」のに、なんと4作目「コンセクエンス」では綺麗サッパリ出てこないという噴飯物のやらかしをしてて、シリーズ唯一の瑕疵だと思ってるんで、是非バレリーナをシリーズ化して次作はノーマン&アナのコンビで裁定人を倒す展開にして欲しいですね。

不敗の魔術師
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