「それは自ら選んだ修羅の道か、それともそれが彼女の運命なのか。」バレリーナ The World of John Wick レントさんの映画レビュー(感想・評価)
それは自ら選んだ修羅の道か、それともそれが彼女の運命なのか。
殺人カルト教団に属する暗殺者の父を持つイヴ。その父は娘だけは同じ道を歩ませまいとして教団から彼女を連れだそうとするが追手の前にあえなく命を落とす。父の死にざまが脳裏に焼き付けられた幼きイヴはベラルーシ系暗殺組織のルスカ・ロマに保護され、そこでアサシンとなるための訓練を受ける。
娘に普通の人生を送らせようとした父の思いは皮肉にも娘を暗殺者への道へと導いてしまう。これは彼女の運命だったのだろうか、それとも父の敵を討つためにあえて彼女が選んだ道だったのだろうか。
彼女には暗殺者としての素質があった。たとえ目の前で父を殺されたとしても復讐を考えず普通の人生を歩む選択もあり得た。しかし彼女の中の復讐の炎は消えることはなく、それを糧につらい訓練に耐えて暗殺者として認められるようになる。
彼女には生まれながらに暗殺者としての素質があったのだ。父の死はただのきっかけに過ぎず、そのきっかけが彼女の中に眠る素質を呼び覚ましたにすぎない。彼女は暗殺者になるべくしてなったのだ。
復讐を遂げるためにルスカ・ロマと教団との間の不戦協定を破ってしまうイヴ。長きにわたり保たれてきた闇の二大勢力の均衡が破られ戦いの火ぶたが切って落とされた。
「主宰」はイヴによって葬られたが、彼を殺された教団は彼女の命を狙い続けるだろう。誰かを殺せば、必ずその誰かの身内が復讐にやって来る。そんな復讐の連鎖が延々と続く殺し殺される修羅の道。自らの命が尽きるまで終わりのない戦いの世界に彼女は足を踏み入れていく。それは伝説の暗殺者バーバヤガが生きる世界でもあった。同じ世界で生きる者同士彼らは再びいつか相まみえる日が来るのだろう。
ジョン・ウィックシリーズなのでやはり脚本は少々大味。「ディレクター」や「主宰」など、含みを持たせた呼び名が相変わらず目立つ本シリーズだが人物造型は浅くて、物語もスラブ神話をモチーフにしてはいるがやはり浅い。アクションが売りのシリーズだけに人間ドラマは端から期待しない方がいい。
今作の売りは当然主演を演じるアナ・デ・アルマスの魅力なんだろうが、残念ながら今作ではお色気は封印。彼女の本来の魅力が本作で生かされていたとはいいがたい。
女殺し屋ものとしては過去作の「ニキータ」や「悪女」と比べると映像のスタイリッシュさや目を見張るアクションという点でもこれらの作品には及ばない。
女殺し屋ものとしては少々華がないキャラクター、正直言ってクレイグ版007でボンドガールを演じた時とは雲泥の差。「ノータイムトゥダイ」での彼女の出演シーンはごくわずかだったが生足をさらけ出したドレス姿での激しいアクションに本作は到底及ばない。
女殺し屋だけにハニートラップを使いこなすところも見たかったし、ジョンウィックとの絡みは予想できたので彼とのラブシーンも見てみたかった。
アクションなどもほぼ過去作の焼き直しでクライマックスの火炎放射器での戦闘シーンもいまいち盛り上がらない。
もしシリーズが続くのなら、再度ジョン・ウィックとの対決も見てみたい。今回みたいな生ぬるい立ち合いではなく、それこそ雌雄を決するかのようなハードなやつを期待したい。
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