「題名は「バレリーナ」だが」バレリーナ The World of John Wick 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
題名は「バレリーナ」だが
確かに、つかみは「バレリーナ」、流れる音楽は、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、バレエの場面では、ロシア語が聞こえる。しかし、実態は熾烈なアクション映画、カンフーの現代版か。
一番、素晴らしかったのは、何と言ってもキヌア・リーブス、手足が長く、立ち姿が見事で、偉大な「ダース・ベイダー」の父性が感じられた。
イヴに扮したアナ・デ・アルマスも、よくやっていた。小柄で、こっぴどい打撃を食らうが、素早い動きと応用力があり、女性しかできない技を次々に繰り出す。ただ、火炎放射器の場面は、少し長かったかな、エネルギーの切れるのを気にするところにリアリティーを意識していたが。放水の場面も、水の量には、制限もあったろう。一番切れ味がよいのは、日本刀というのは、サービスか。
限界は、登場人物の描き方が類型的であったこと、二度出てくる主宰と、中間に出てきたウィンストンは、同じ役柄にみえた。イブの12年後のコピーがエラで、イブの父とエラの父パインは相似形。イブには同時代のコピー(姉レナ)も存在するが、劇中で、予め仄めかされることはなかった。
確かにCGは使ってないが、ゲーム機、アニメの世界を、スタントマンと築き上げたということか。
心に残るのは、プラハのヴルタヴァ(モルダウ)河畔の石畳の道、それから何と言っても、狭い渓谷の湖畔に切り拓かれた世界遺産の村、オーストリアのハルシュタット。ブダペストでもロケを行ったようだが、地名を特定するに至らず。
中欧のこれ以上ないシチュエーションを背景にしたアクション劇だったのだろう。それにしても暗殺集団の村があるなんて、江戸時代には、日本にも泥棒集落があったと言うが。
