劇場公開日 2025年8月22日

「上手に焼けました〜」バレリーナ The World of John Wick おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5上手に焼けました〜

2025年8月24日
iPhoneアプリから投稿

『ジョン・ウィック』のスピンオフとして、格闘アクションの質は相変わらず映画業界最高峰レベル。
新鮮でド派手、キレッキレなアクションばかりで、これだけでも料金分の価値は十分あった。

今回は女性主人公で、最初はフィジカルな迫力に欠ける感じもしたが、その分、銃火器の場面が大量に投入されていた印象。

個人的にまず最初に驚かされたのは、上空から撮影しているライブカメラのような映像が出てくる場面で、画面には一本の車道が縦長に映し出され、主人公イヴの運転する車が画面下から上に向かって走っていると、上から猛スピードで別の車が体当たり。
そのままイヴの車は画面下まで押し返され、車が停止した瞬間にイヴが飛び出し、突撃してきた車の運転手とそのまま銃撃戦を開始。
この一連の流れが、突然始まったと思ったらワンカットでシームレスに展開していき、度肝を抜かれた。
どうやって撮影しているのか不思議で、まるでイヴが本当に事故に巻き込まれたようにしか見えず、『ジョン・ウィック』シリーズの凄さを改めて思い知らされた場面だった。

イヴが大量の武器の中から手榴弾を選択し、それを駆使した過激なアクションの数々も新鮮で楽しかった。

終盤のイヴのメインウェポンは火炎放射器。
テレビゲームならまだしも、実写映画でこれは珍しい気がした。
次々と火だるまにされる敵を見て、映像技術の進化を感じた。

一方、敵が火炎放射器を使ってきたら、イヴは武器を「大量の水を放出するホース」にチェンジ。
火炎放射器VS放水ホースの場面は、まるで「かめはめ波」と「魔貫光殺砲」のぶつかり合いのよう。
漫画的な発想を実写映画で実現していて、とんでもない映像だった。

アクションは見応え十分だったが、ストーリーはいまいち楽しめなかった。
話が無駄に複雑で分かりにくい。
話自体は一本道なので、細かいことを気にせずアクションシーンだけを楽しめばいいのかもしれないが、納得できないことが多く、個人的にはどうしても気になってしまった。

そもそも、本作の敵である暗殺教団は、その行動がずさんで稚拙、油断しすぎているため、畏怖すべき集団とは感じられず、わざわざ休戦協定を結ぶ価値のある存在には思えなかった。

あと、やたら多く出てくる登場人物たちの行動原理も謎に感じることが多かったが、その中でも特にイヴを抹殺するために送り込まれる「伝説の殺し屋」が、何しに来たのか本気で意味不明だった。

バレリーナと雪国の組み合わせで、去年の日本映画『ぼくのお日さま』を思い出したが、映画の雰囲気は真逆だなと思いながら観ていた。(ちなみに個人的に『ぼくのお日さま』は最低最悪のクソ映画だと思っている)

そもそも、主人公がバレリーナであることに、どんな必然性があったのだろうか?
映画を最後まで観ても分からなかった。

おきらく
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