「イヴの背中の文章「Lux In Tenebris」の意味を知りたければ、「ヨハネによる福音書」第1章5節をググってみてね」バレリーナ The World of John Wick Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
イヴの背中の文章「Lux In Tenebris」の意味を知りたければ、「ヨハネによる福音書」第1章5節をググってみてね
2025.8.22 字幕 MOVIX京都
2025年のアメリカ映画(125分、G)
『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ作品
父の復讐に燃えるバレリーナを描いたアクション映画
監督はレン・ワイズマン
脚本はシェイ・ハッテン&エメラルド・フィネル
原題は『From the World of John Wick: Ballerina』で、「ジョン・ウィックの世界から:バレリーナの章」という意味
物語は、ヨーロッパのとある場所にて、組織から逃げるハビエル(デヴィッド・カスタニェーダ)とその娘イヴ(Victoria Comte、成人期:アナ・デ・アルマス)が描かれて始まる
複数人が海から屋敷に侵入し、そこで銃撃戦が始まってしまう
イヴは隠し部屋に隠れるものの、父の危機に際して声を出してしまい、組織の主宰(ガブリエル・バーン)に見つかってしまった
その後、父は屋敷に仕掛けた爆弾を起動し、何とか娘を逃すことに成功した
警察に保護されることになったイヴだったが、そこにコンチネンタルホテル・ニューヨークの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)がやってきた
彼はイヴをコンチネンタルに招き、そこでルスカ・ロマのデイレクター(アンジェリカ・ヒューストン)に遭わせた
イヴはルスカ・ロマと共に生きることを決め、そこから暗殺者としての修行は始まっていく
それから12年後、修練を積み重ねたイヴは最終段階まで駒を進めていく
指導者のノギ(シャロン・ダンカン=ブルースター) に鍛えられたイヴは、最終試験として、元ルスカ・ロマのペトラ(Rila FUkushima)と相対することになった
その試験をクリアしたイヴは、ようやく初めての任務を言い渡されるのである
映画は、ジョン・ウィックの生きている世界線の物語になっていて、そこで父を殺されたイヴが暗殺者となって復讐を果たそうとする様子が描かれていく
父を殺したのはオーストリアの山奥にある村を牛耳っている「教団」で、その主宰が黒幕となっていた
イヴはその地で生まれ、本来ならば教団の暗殺者となるはずだったが、運命とは皮肉なもので、不干渉相手のルスカ・ロマの暗殺者になっていた
彼女が暗殺者になるのは彼女自身の選択であるものの、主宰はそれは運命だと言い、イヴの敵は自分自身だと言い放つ
彼女はそれを否定し、劇中で偶然絡むことになった少女エラ(Ava Joyce McCathy)をその道から救うことになったのである
基本的にサクサクと殺していくアクションものなので、それをどれだけ堪能できるかという作品になっていた
イヴ自身が軽量の女性のために、男に投げ飛ばされまくるのだが、異常なタフさで何度も復活を果たしていく
殺し方も色々と凝っていて、本作の見どころと言えば火炎放射器対決だろうか
主宰の右腕であるデックス(David Robert Maaser)との対決があるのだが、ぶっちゃけ「スタントマン大変だなあ」と思って見ていた
誰も怪我しなかったのかな、と不安になってしまうほどで、火炎放射器でトドメを刺すシーンもエグいし、手榴弾で木っ端微塵にしてしまうシーンも結構ある
なので、このテイストを楽しめる人にとっては十分な仕上がりになっていると感じた
スピンオフとしても可もなく不可もなくといったところで、ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)もガッツリ登場するし見せ場も十分にある
彼がイヴに肩入れする理由はわからないが、主宰との直接対決をさせることを重視していたので、そのための援護をしているのだろう
最終的に主宰をどうするかというのがイヴの最終決定となっていて、それは教団の的になる覚悟を持つかどうかというところにかかっていた
そして彼女は選択をして、ダニエル(ノーマン・リーダーズ)に追加された賞金よりも高額なものが賭けられることになったのである
いずれにせよ、劇場で楽しむ作品となっていて、ゲームのように人が殺されまくる映画となっている
R15+は残酷シーンのレーティングなので、間違ってもイヴのエッチなシーンを期待してはいけない
微塵にもそう言ったシーンは皆無なので、ある意味振り切っているようにも思える
ちなみにハビエルの背中に刻まれていたのは「Vincit Qui Se Vincit(自分自身を制する者が真の勝者である)」という言葉で、イヴの背中に刻まれたものは「Lux In Tenebris(暗闇の中の光)」だった
これは新約聖書の「ヨハネによる福音書」第1章5節に由来するものだが、そこに字幕がないのは不親切だなあ、と思った