劇場公開日 2025年5月17日

能登デモクラシーのレビュー・感想・評価

全13件を表示

3.0最初から議員が町長側に付いた議会に違和感

2025年7月6日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

過疎化により人口が7000人を切り、若者と高齢者の数がともに減っている、人口減少の最終段階、に入った石川県穴水町。元中学校教諭の滝井元之さんは2009年から手書きの新聞、あした塾だより、を発行してきた。2020年から、あした塾だよりから発展した、紡ぐ、を発行し、利益誘導型の政策への批判、町の未来に警鐘を鳴らし続けてきた。
石川テレビにより、惰性と忖度がはびこる役場と町議会の関係を浮き彫りにしていった。
そして2024年の元日、能登半島地震が発生し、その復興への取り組みも紹介したドキュメンタリー作品。

まず、いくら高齢社会と言っても、滝井さん指摘の議員平均年齢72.9歳、というのはいかがなものかと思った。86歳の議員がまだ権力を持っているし。その後、2023年の町議会議員選挙の様子が紹介され、トップ当選した候補者を前町長と現町長が訪ね封筒を渡している場面も違和感。後で石川テレビから指摘されてたが、公職選挙法違反らしい。後に字幕で町からのお祝いと紹介されたが、もらってないと発言する議員もいたし。やれやれ。
町の箱物建設に前町長の土地を賃貸し、現町長の運営する会社が受注してるのも違和感。ここもやれやれ。
とにかく癒着だらけの穴水町だったが、議会で前向きな質問が出たりして少しは前進するのかも、と期待を抱かすラストとはなってた。
ま、継続して追っかけてないと元の木阿弥だろうけど。

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りあの

4.5悪人はいない

2025年7月1日
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「能登・穴水町に蔓延る忖度と欺瞞を暴く」…実はそんな簡単な話ではなかった。たった一人で手作り新聞を発行して民主主義を問いかける滝井さんと、事なかれ主義の中で選挙も会議もすすめていく穴水町の首長と議会。そんな図式的な対比で進むかと思いきや、現実はフィクションより悩ましい。
能登震災によって、ある部分では手を取り合ったりお互いへの歩み寄りも生まれるが、それによって不正や忖度がなくなるわけではない。
ジリジリと、我慢強く進むしかないけれど、そこからしか民意は生まれないのだ。

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yama

5.0デモクラシーを終わらせてはいけない

2025年6月29日
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鑑賞方法:映画館

石川県穴水町の中でも、特に奥へ行った集落に住む、元教師の滝井さんの生活と手作り新聞活動を通して、町議会の現状が描かれたている。
穴水町の選挙の投票率は高いが、実際の町議会は惰性と忖度、疑惑に溢れていて、見ていて悲しくなった。こういう町、全国にたくさんあるだろう。
ただそこに希望を捨てずに、地元の為にコツコツとボランティア活動や手作り新聞の活動を続ける滝井さん。撮影期間に震災も起こり、自分だってめちゃくちゃな状況なのに、すぐにボランティアへ走っていたのに頭が下がる。
新聞やボランティアの部分に、心を動かされたが、一番感動したのは夫婦の関係性。信頼と心配と感謝。家族のことを考えた。
穴水町には選挙法違反や利益誘導などおかしなところはあるが、心底悪いやつはいなく、惰性と忖度の成れの果てなのではないか。そうであれば、この映画を機に変わってほしいし、変われると思う。
今後の穴水町が気になる。
もう一つ気になったのは、滝井さんの息子さんもチラッと映っていたが、父の活動をどう思っているか聞きたかった。

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邦画好き

4.0ありがとうございます、かな。

2025年6月23日
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鑑賞方法:映画館

大きく取り上げられている、滝井さんがすばらしい。
信じる道を実直に歩む姿が潔いです。
「ボランティアの滝井です」と言いながら仮設住宅を回る姿に頭が下がります。
音楽(音響効果?)もいいよね、というのも今回の収穫でした。
こんな奥能登を全国に紹介していただいた監督に感謝します。

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ぜん

4.0民主主義(デモクラシー)を「生きる」ということ

2025年6月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

多くの人々は、民主主義を深く意識することなく、その恩恵を享受しているように見える。

しかし本来、社会学の視点ではこう言われる——「民主主義を支えるには、フリーライド(ただ乗り)は許されず、労力や時間というコストがかかるものだ」と。

では、そんな「手間のかかる民主主義」を実践している人は、どれだけいるだろうか?

石川県・能登半島の小さな町、穴水町に、まさにその体現者とも言える人物がいる。滝井さんという方だ。

彼は、手書きの新聞を自ら作成し、それを1軒1軒「お変わりないですか?」と声をかけながら、町の人々に配って歩く。

情報発信者であると同時に、まるで保健師のように人々の暮らしに寄り添う——そんな活動を、すべて無償で行っているのだ。

タイパ、コスパ、映え——現代において重要視されること全てが真逆である。

天才社会学者と称される故小室直樹氏は「社会が廃れれば、人が輝く」と述べたという。能登は震災があり、穴水は限界集落であるのだが、滝井さんはその言葉を地で行くような存在に思える。

頭が下がる思いとともに、ただただ尊敬の念を禁じ得ない。

この映画は、民主主義を「制度」としてではなく、「日々の営み」として生きるとはどういうことかを、私たちに突きつけてくる。

一人でも多くの人に観てほしい作品である。

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スー(ジェーンじゃない方)

2.5紡ぐ

2025年6月22日
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鑑賞方法:映画館

伝統はいつまでも伝え続けていくことも必要だとは思うけれど、良くない風習は、やはりどこかで断ち切っていかないと、良くなるものも良くならない。
でも、それは違うよ!間違ってるよ!と声をあげていくのも勇気と労力がいるだろうなぁ……
町の復興と共に、町民と議員と行政の気持ちの復興をしていければ、住みやすい町……つまりは若い人たちも住みやすくなるんだろうなぁ……がんはって!と応援したくなった。
それと、メディアがきちんと記録して伝えていくことも大切だよな。

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yoccy

4.5【批判だけに終わらない取材姿勢に共感】

2025年6月21日
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鑑賞方法:映画館

『はりぼて』『裸のムラ』に続く五百旗頭監督作品鑑賞。甚だしい公私混同の地方行政に、多選高齢議員で占有され空虚な承認機関に成り下がっている議会、日本に蔓延する閉塞感と諦観を突き付けられたようで途中暗澹たる気持ちになったが、図らずもオンブズマンの役割を果たす元教師の尊敬に値するバイタリティに、町長や一部議員の現状からの行動変容、そして監督の取材姿勢に加えて批判だけに止まらない編集で微かに光明を見出せるような⁉︎エンディングが◎で救い。次回の五百旗頭監督作品にも期待。

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Chang Koh

4.0能登デモクラシー

2025年6月19日
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鑑賞方法:映画館

元旦の震災という、望まぬ形で知れ渡った穴水町。
そこで連綿と続いてきた悪習。
前町長の土地を町が賃貸として借り上げ、現町長が理事長を務める団体が、町の予算で箱物を建てる。
それを、この時代に当たり前の様に続いてきた町政。
テレビカメラの前で、堂々と行われた買収行為。
声を挙げない町民と議員。
たった1人、問題提起する男性。
そして、あの震災。
それを契機に団結し、少しずつ変わろうとする議員や町長、そして町長。
見応えのあるドキュメンタリーでした。
石川テレビのクルーも天晴。

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映画館難民

ここから始めねばならないのかと暗澹たる思い

2025年6月8日
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鑑賞方法:映画館

 老齢化・人口減少が続き、このままでは消滅も遠からずと思える石川県の穴水町の政治を見つめたドキュメンタリーです。

 役所から一本釣りされる様な形で町会議員選挙にトップ当選し、前回のトップ当選議員は町長になり、前町長の仕事を引き継ぐ。そして、新町長が理事を務める施設を前町長の土地を借りて町と国の資金で新設するという余りに分かり易い利益誘導。それを監視する筈の議会を、この20年間一度も質問した事がないという37年職歴の長老議員がが取り仕切る。行政・議会・役所がこれ程あからさまなズルズルの馴れ合い関係で、選挙の投票率も高く住民に承認され続けている事に驚きます。

 民主主義という事を、こんな所から始めねばならないのかと暗澹たる思いがしました。でも、これは地方だから分かり易いだけで、都市部ではもっと巧妙に同じ様な事が進んでいるのだろうな。これが、80歳を迎える日本国憲法を頂く国の姿だ。

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La Strada

5.0いつもの地方政治(地方=田舎ではない。東京も地方)の醜悪さを見せら...

2025年5月31日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

いつもの地方政治(地方=田舎ではない。東京も地方)の醜悪さを見せられるのかと思っていたが、良い意味で裏切られた。
引き込まれてあっという間に時間が過ぎた。
能登に希望を抱かせる内容でした。

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ほいはん

4.5素晴らしいドキュメンタリーであった。

2025年5月22日
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自分の住む町を愛し、日々ボランティアに励むおじいちゃんのお話し。

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はなてん

4.0過疎と震災、政治と生活

2025年5月18日
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鑑賞方法:映画館

石川県穴水町の元中学校教師の男性が、農業とボランティア活動をしながら手書きの新聞を発行する様子を追ったドキュメンタリーです。その男性滝井氏は80歳だそうですが、無尽蔵にも思えるほどのバイタリティーで活動しています。見る前は町長の所有する施設にまつわる問題が主なテーマだと思ってたんですが、能登の人々の暮らしぶりにも結構時間が割かれていました。こういう過疎の地域で暮らすことの大変さをしみじみと感じました(一方で非常に豊かな面もあると思います)。滝井氏は優しい性格ゆえか鋭く追及するという感じではなく静かに寛容に対処しているように見えました。そこは最後に監督が代わりに追及していましたが。町民も、しがらみのせいか思っていることをはっきりと言える人はいないようで、彼のような存在がいなくなれば政治家のやりたい放題になってしまうだろうと思います。五百旗頭監督の今後の活躍に期待しています。

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むっち

4.0限界集落から見えてくる政治と民主主義とメディア。そして愛。

2025年5月18日
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能登半島の限界集落、穴水町。

XY(旧ツィッター&YouTube)が政治に影響を与える昨今、スーパーオールドメディアである手書き新聞を発行するおじいちゃん。彼の存在は穴水町議会や穴水町住民にどういう影響を与えるのか。

加えて、おじいちゃんのパートナーさんの存在もこの映画に深みと彩りを与える。
※出来れば御夫婦のシーンだけを延々と見ていたかった。

映画『はりぼて』を想起させるようなシリアスな場面も。

彩り豊かな映画体験でした。
パンフもオススメです。

今、観るべき映画です。

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