能登デモクラシーのレビュー・感想・評価
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【批判だけに終わらない取材姿勢に共感】
『はりぼて』『裸のムラ』に続く五百旗頭監督作品鑑賞。甚だしい公私混同の地方行政に、多選高齢議員で占有され空虚な承認機関に成り下がっている議会、日本に蔓延する閉塞感と諦観を突き付けられたようで途中暗澹たる気持ちになったが、図らずもオンブズマンの役割を果たす元教師の尊敬に値するバイタリティに、町長や一部議員の現状からの行動変容、そして監督の取材姿勢に加えて批判だけに止まらない編集で微かに光明を見出せるような⁉︎エンディングが◎で救い。次回の五百旗頭監督作品にも期待。
能登デモクラシー
ここから始めねばならないのかと暗澹たる思い
老齢化・人口減少が続き、このままでは消滅も遠からずと思える石川県の穴水町の政治を見つめたドキュメンタリーです。
役所から一本釣りされる様な形で町会議員選挙にトップ当選し、前回のトップ当選議員は町長になり、前町長の仕事を引き継ぐ。そして、新町長が理事を務める施設を前町長の土地を借りて町と国の資金で新設するという余りに分かり易い利益誘導。それを監視する筈の議会を、この20年間一度も質問した事がないという37年職歴の長老議員がが取り仕切る。行政・議会・役所がこれ程あからさまなズルズルの馴れ合い関係で、選挙の投票率も高く住民に承認され続けている事に驚きます。
民主主義という事を、こんな所から始めねばならないのかと暗澹たる思いがしました。でも、これは地方だから分かり易いだけで、都市部ではもっと巧妙に同じ様な事が進んでいるのだろうな。これが、80歳を迎える日本国憲法を頂く国の姿だ。
過疎と震災、政治と生活
石川県穴水町の元中学校教師の男性が、農業とボランティア活動をしながら手書きの新聞を発行する様子を追ったドキュメンタリーです。その男性滝井氏は80歳だそうですが、無尽蔵にも思えるほどのバイタリティーで活動しています。見る前は町長の所有する施設にまつわる問題が主なテーマだと思ってたんですが、能登の人々の暮らしぶりにも結構時間が割かれていました。こういう過疎の地域で暮らすことの大変さをしみじみと感じました(一方で非常に豊かな面もあると思います)。滝井氏は優しい性格ゆえか鋭く追及するという感じではなく静かに寛容に対処しているように見えました。そこは最後に監督が代わりに追及していましたが。町民も、しがらみのせいか思っていることをはっきりと言える人はいないようで、彼のような存在がいなくなれば政治家のやりたい放題になってしまうだろうと思います。五百旗頭監督の今後の活躍に期待しています。
限界集落から見えてくる政治と民主主義とメディア。そして愛。
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