「あらすじくらいは知ってから観た方が良いかも(?)」ブラックバッグ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
あらすじくらいは知ってから観た方が良いかも(?)
スティーブン・ソダーバーグ監督最新作。前作『プレゼンス 存在』は劇場鑑賞を見送ったまま現在も未見ですが、結局のところ観なきゃ観ないで気になり続けるわけで、今作は面子も豪華だし「やはり劇場鑑賞しておこう」と思い立ち、公開初日にTOHOシネマズ日比谷にて鑑賞です。
と言うことで、今回もあらすじやトレーラーなど事前情報全く入れずに観始めたわけですが、正直申し上げると、、本作は私には難しくて全容を理解しきれませんでした。
謎めいた状況で始まる序盤の展開はいきなり予想を裏切り、そのまま大した説明もないままに“探り合い”が始まります。イギリスの諜報機関内に起こっている“とある陰謀”を突き止め、その首謀者を見つけるために様々な駆け引きと、この手のジャンルには付き物の“マクガフィン”の行方を追い続けるのですが、役職こそ違えど皆その道に通じていて、またそれぞれが個人的にもよく知り合う間柄。そのため、交わされる会話さえも誰が「何について言ってないか」「どこで嘘をついているか」など、含みのない会話はほぼ皆無。或いは、事の真相が見えてくればもっと解った気になれるのかと思って観続けますが、残念ながら最後まで結局すべてを解った気にはさせてくれません。それでも、オチに待っているギミックだけは「この状況であれを扱うとなれば…」と事前に読めてしまうところは映画的(?)。ある意味、それが解っただけでもそれなりに映画を観てきただけの自負が保てましたw
とまあ、ネガティブなことばかり書いてきましたが、演出やビジュアルは大変に格好よく、その特殊な世界観に浸りながら観れば、多少(?)ストーリーについていけなくてもそれなりには楽しめます。また、ジョージ(マイケル・ファスベンダー)の追い詰められながらも求められることをやってのける精神力や、ジョージの妻・キャスリン(ケイト・ブランシェット)の笑いながらも有無を言わせないような図太さ等々、少ない登場人物達のそれぞれのキャラクター設定自体がまさの本作の見どころ。
スパイ物としてエンタメ性はそれほど高くなく、かと言ってハードボイルドってわけでもなく、どっちつかずでやや中途半端な感も否めませんが、総評としてはしっかりとこのジャンルなりの味わいは感じますし、94分の尺で巧くまとまっていてそれなりの満足度はあると思います。とは言え、、世界観はかなり専門的で取っ付きやすさはなく、やっぱり万人向きな作品とは言えない気がします。或いは、ソダーバーグと言うだけで『オーシャンズシリーズ』を印象にもって本作に期待してしまうと、むしろガッカリするかもしれませんのでご留意ください。
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