「ハリウッド王道エンタメを突っ走れ!」映画「F1(R) エフワン」 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド王道エンタメを突っ走れ!
監督もプロデューサーも脚本も撮影も音楽も、メインスタッフは『トップガン マーヴェリック』チーム。
主演はトム・クルーズではないが、双璧を成すスーパースター、ブラッド・ピット。
と来れば、作品も自ずと想像出来る。
多様性求められる昨今のハリウッドに於いて、逆にこういう作品こそ新鮮になった。
ハリウッド王道も王道のエンタメ。
空から地上に舞台を変えて。F1の世界を突っ走る!
『トップガン マーヴェリック』好きなら嫌う要素は無い。話も設定もほとんどなぞっている。
レジェンドのカムバック。そのやり方は型破り。
ルーキーとの衝突。そのルーキーも生意気だが、腕はある。
チームや理解者との関係、存在。
挑戦、挫折、葛藤、再起、絆…。
弱小チームの奮闘。そして己も、再び栄光を掴め。
劇中の台詞でもあったが、90年代に戻ったかのよう。
しかし決してそれは、時代遅れなどではない。
昨今ハリウッドのエンタメは、VFX多用のヒーロー映画がほとんど。決して嫌いじゃないが、生身のアクションとスターの魅力溢れる作品が少なくなった。
多少ナルシシズムを感じても、日本映画とは次元違いのカッコ良さ、面白さ。あの頃のハリウッドは今だって、私たちの憧れ。
やはり私たちは、こういうハリウッド・エンタメが見たかったのだ。
その中心に立つスターは、ブラッド・ピット。
『トップガン マーヴェリック』『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』のトムのカッコ良さは尋常じゃねぇが、本作のブラピのカッコ良さも尋常じゃねぇ。
衰えぬ若々しさ、色気、チョイワル感、年齢を増した渋さ、Tシャツが悲鳴を上げている肉体美…。極め付けはラストシーンのキラースマイル。ろ、60ですと…?!
ブラピも元々二枚目路線ではなく個性派路線を好むが、作品によって何を求められているか“分かっている”。
ブラピファンの皆様、お待たせしました。皆が見たかったとにかくカッコいいブラピです。
ルーキーのジョシュア役のダムソン・イドリスはほぼ初めましてだが、ブラピと堂々渡り合うW主演。
若さ故の自意識過剰で、地位や名声に固執。ブラピ演じるソニーを老人呼ばわりし、顔を合わせる度にクラッシュ。
よし、そんな時は恒例のビーチで半裸でバレーだ! …はしなかったけど、次第に育まれていく師弟/バディの絆は分かっていても熱い。
ケリー・コンドンは『イニシェリン島の精霊』の時とは見違えるほどいい女っぷり。
ハヴィエル・バルデムも巧助演。尚、二人の中年男の青春劇でもある。
レースシーンのド迫力は言うまでもない。
ブラピたちキャストは数ヶ月のトレーニングを経て実際に操縦。『トップガン マーヴェリック』でも使用されたカメラをさらに小型化して座席に。『トップガン マーヴェリック』同様、“本物”の走り。
カーレース映画の醍醐味である音響や編集は是非とも劇場大スクリーンで体感を。スピード感溢れる映像やハンス・ジマーによる音楽が興奮をさらに加速させる。
『オンリー・ザ・ブレイブ』からの熱きドラマ、『トップガン マーヴェリック』で培った臨場感。ジョセフ・コシンスキーはこの道を走り極めていって欲しい。
マシンやレースには詳しくないが、聞いた事のあるマシンやサーキット名も。日本の鈴鹿サーキットも登場したね。
現役F1ドライバーも出演。
これらレースファンには堪らんだろう。
興奮迸る最高の走りを見てるだけでも充分なのだが、不謹慎な言い方になるかもしれないが、カーレース映画にはもう一つの山場がある。
大事故や大怪我。
実話を基にした『ラッシュ/プライドと友情』や『フェラーリ』でもゾッとするような大事故や大怪我があった。
カーレースはただカッコいいや興奮だけではない。常に死や危険と並走。それを忘れていけない。
では何故、そんなリスクを犯してまで走るのか…?
いちいち言うまでもないもないが、
ライバルを超えろ。自分を超えろ。ただただ走りたい。
芸に生き、芸を極め、芸に死ぬ『国宝』。
走りの世界に生き、走りを極め、それで死んでも本望。
何か一つの事に全てを捧げ懸ける生きざまは、どうしてこうも熱くさせられるのか。
固い絆を結んで。
チーム一丸となって。
全ての舞台が整い、己との勝負にも挑む最終レース。
結果は期待通り?意外にも?ソニーが一位ゴール。
悪くはないのだが、ジョシュアが優勝し、お膳立てたレジェンドからルーキーへハンドルを渡す…という方が個人的には見たかった。
かつて掴めなかった栄光にリベンジを果たした…と見れば、これはこれで感慨深い。
才あるルーキーにはこれから何度もチャンスはある。これで終わりじゃない。
興奮も見応えも満足度も振動を伴って伝わってくる。
歴代のレース(『グラン・プリ』『栄光の5000キロ』『栄光のル・マン』『ラッシュ/プライドと友情』『フォードvsフェラーリ』『グランツーリスモ』etc)といい勝負。
今またここに、名レースが完走した。
これを見て、トムは早く“デイズ・オブ・サンダーII”に乗りたくてウズウズしてるだろうね。
共感ありがとうございます✨️
とっても素晴らしいレビューです!
共感しまくりです。
皆が見たかったかっこいいブラビ、まさにそれでしたね🤩
デイズ・オブ・サンダーの続編、負けじと作ってほしいですね😆
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