劇場公開日 2025年6月27日

「ソニーがサーキットで彼なりの理を示し、ジョシュアが走りでそれを血肉化していく」映画「F1(R) エフワン」 えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ソニーがサーキットで彼なりの理を示し、ジョシュアが走りでそれを血肉化していく

2025年7月6日
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鑑賞方法:映画館

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かつて“天才”と呼ばれた伝説のF1®レーサー、ソニー(ブラッド・ピット)が、再びサーキットに戻ってきた。誰よりもレースの過酷さを知る男が現役復帰を果たした先は、どん底の最弱チーム。しかし、常識破りなソニーの振る舞いに、自信家のルーキードライバー・ジョシュア(ダムソン・イドリス)やチームメイトたちは困惑し、度々衝突を繰り返す。バラバラなチーム、そして、最強のライバルたち。敗北が濃厚となる中、ソニーの“常識破りの作戦”が最弱チームを導いていく――!果たして彼らは、その無謀とも言える賭けで逆転できるのか?それぞれの情熱と誇りを胸に、命がけで夢<スピードの頂点>へ挑む!(公式サイトより)。

F1に関しては全く知識がない。カーレースの頂点で、ものすごいお金が動き、レーサーは実はアスリートなんだそうだ、程度しか知らないし、観戦したこともない。各国で転戦しているけど、基本的にはレーサーの技術と度胸(チキンレース的な発想から)で順位が決まっているのだろうと漠然と思っていた。

本作を見て、資金集め、各分野のプロフェッショナルをスカウトしてきたチーム編成、最先端のテクノロジーが積み込まれた開発施設、走りの中でドライバーとチームの0コンマ何秒の現象を言語化するやり取りなど、浅はかな前提知識をことごとく打ち砕くストーリーがとても分かりやすく描写される。

そういった様々な思惑が交錯するF1でありながら、とにかく相容れない、昔気質のぶっきらぼうなじじいレーサー・ソニーと、地位も名誉も富も全部手に入れたいガキレーサー・ジョシュア。ソニーがサーキットで彼なりの理を示し、ジョシュアが走りでそれを血肉化していく様が、チームメートでライバルという、そもそも相反する関係性の中に、子弟的というか、疑似親子的というか、より深いところでのふたりの結びつき、交歓が実にかっこいい。

何よりもそうした「死と隣り合わせでなければ伝えられないこと」は、映像の圧倒的な臨場感によるところが大きい。報道によると、厳格な公平性を重視するF1が映画製作に全面協力することは極めて異例らしく、数台のカメラを搭載した撮影用のレーシングカーによる映像はもとより、世界選手権が行われる各国の実際のサーキットを走行しながらの映像、レース場のピット内部や戦略会議室、マシン開発施設内部、ドライブシミュレーターといったリアルな場面が多く映像化され、しまいには架空のチーム・エイペックスのサーキット内ガレージまで用意されたというから、その徹底したこだわりには舌を巻く。IMAXで観て良かったと心から思う。

ちなみに、常々思っているのだが、ハリウッド映画の多くは主題とあまり関係のない「男と女」のストーリーを挟み込んできて、それが結構邪魔に感じ、本作でもその要素があったのだが、バルコニーでソニーの内面が吐露されるには、恋愛関係があったほうがまあいいといえばいいかと、自分を納得させたが、実年齢61歳のブラピと、42歳のケリー・コンドンのそれはだれとくなんだろうか。

えすけん
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