「よくあるエンタメ映画……のアップグレード版」映画「F1(R) エフワン」 くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
よくあるエンタメ映画……のアップグレード版
『地上版トップガン マーヴェリック』と鳴り物入りで公開された本作。公開から一週間経ってしまったが期待して鑑賞。
普通に面白い映画でした。ただ迫力以外の面では『普通』の域を超えない。映画館ゆえの迫力を含めて☆4。家で観るなら☆3.5が良いとこだろう。
まず、キャラは良い。いわゆるご都合主義が過ぎる主人公も、ブラピの貫禄で納得しちゃう。パートナーである若き天才の子供っぽさも、独りよがりではなく彼なりにチームのプロポーションに責任感を持っていたり、というところが好感が持てる。チームのオーナー、代表者などそれぞれキャラが立っていた。
ところで、チーフメカニックの女性。この方の意気は応援したいし背景には共感する。が、必要以上にセックスアピールをした挙句主人公と関係を持つ理由はわからない。というか必要ない。これはハリウッド的必要性と思うしかない。
メカニックの中にいる女の子も、これ見よがしにミス(?)し主人公にフォローされる。個人的には可愛らしくて好きなのだが、映画としてどんな必要性のあるシーンなのか? こうして責められる現場で女性も頑張ってるよ? そこで上り詰めたのがチーフメカニック?
非常にくだらない。F1の世界の厳しさを削ぐシーンだったように思う。(じゃあこれがどんな性別、人種なら良かったのか、と言われると難しいが、主人公の女好きがノイズになっているのかもしれない)
映像の迫力は素晴らしい。没入感も前評判通り。が、車好き、F1好きとしては物足りないかも。
肝心のレースシーンで、大迫力のBGMがかかるのだ。曲は良い。盛り上がる。でもエンジンの音、スキール音、ブレーキの軋みを体感させて欲しいという立場なら、それは不要だ。せっかく本物にカメラを載せているなら、本物そのままの音を聴きたかった。車に興味のない層へのサービスに感じたし、一緒に観た人に感想を聴くと効果的ではあったようだった。
脚本も単純で、かつてF1で夢をあきらめた男が再び戦い、これからの若者やチームメイトに希望を持たせる内容だった。かなり言葉が足りないとは思うが、これ以上修飾することに意味を感じない。この映画は迫力(+ブラピ)を楽しむものだ。
まとめると、撮影、迫力は素晴らしく、キャラデザも良いがメインのストーリーがありきたり。敢えて『トップガン マーヴェリック』と比較するなら、前編にあたる映画がない分薄くなってしまったこと、そして戦闘機の立体的な戦闘に比べてF1のレースは平面的で画面の変化に乏しかったとこが大きいかもしれない。
とはいえ私もF1には疎く、漠然と(周回遅れってどうなるんだろう)(ピットってどういうところまで対応できるんだろう)思っていたことが大きな戦略性をもって見れたことは非常に興味深かった。
続編の話もあるらしいが、もしあれば観てみたいと思う。
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