「映画『F1/エフワン』のこと」映画「F1(R) エフワン」 高橋直樹さんの映画レビュー(感想・評価)
映画『F1/エフワン』のこと
★このレビューは配給会社のご案内を受けて鑑賞して執筆しています。
ネタバレの記述も多々ありますので、まだ本作ご覧になっていない方は、
ご鑑賞後にご一読いただけますと幸いです。
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車上で暮らすロートルのレーサーがデイトナで勝利する。生活はグダグタだが彼のテクニックは本物だ。次はどこで走るか、地図を見つめる彼の元にかつての仲間がやってくる。F1の運転席を用意したイギリスに来てくれ。単刀直入な申し出を受けた彼はサーキットへと向かう。
連戦連敗でポイントゼロのチームには、天賦の才を持つ若者がいる。一匹狼で自分のスタイルを貫く男とは相容れない。当然のように二人は衝突を繰り返す。勝つためには手段を選ばない。型破りな走行でチームを振り回す男と血気盛んに突っ込んでいく若者。連敗が続く中で、男が入賞し初のポイントを得る。
誰よりも早くサーキットに到着した男は独りで黙々と走る。レース前のミーティングでは勝つためのプランC(通常はAとBの2プランが目安)を呈示する。レースを型でとらえるのではなく、サーキットを走るドライバー視点で考える。その行動と言動を懐疑的に受け止めていたスタッフはレースを重ねていく過程で男を認めていく。自ずと男の傍らを併走するクルーの数が増えていく。
才能豊かな若者には勝つための経験が足りない。マシン、タイヤ、天候によるコースコンディションの変化、ライバルチームたちの動き。レースの行方を左右するあらゆる要素を俯瞰し、勝つために自分がなすべきことを見極める。無線を通じて耳に届く男の言葉がチームの仲間たちを動かしていく。やがてトップを狙える絶好のチャンスが訪れる。
「コーナーの先まで待て。そしてトップを獲れ」——男の言葉を耳にしながらも、若者は一気にアクセルを踏み込む。
夢、友情、信頼、相克、寛容、勇気、挑戦、成長、愛。不信、敵対、失意、欺瞞、後悔、自責。そして、尽きることのない試練と未来への希望。
この作品には多彩なテーマが詰め込まれ、古き良き王道の世界観で、最先端の戦いに生きる人々を描く。憎まれっ子が愛されキャラへと変貌していく。そしてその先に…、まるでお手本のような脚本だ。
選曲のセンスも粋である。開巻と同時に鳴り響くのは、我らがレッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」、続く何曲かの後にクイーンの「We Will Rock You」。その後に数曲入り、ここぞのタイミングで劇伴が肝になる。歌詩のないハンス・ジマーの電子音が反復する旋律が観客をスクリーンに没入させる。
その瞬間に空を飛んでいる。
——なぜ走るのかと問われた男は、数多くのレースの走行中に、何ものにもとらわれず“忘我の瞬間”が訪れるのだと明かす。この台詞を違和感なく口にできる俳優はそうはいないだろう。多分にロマンティストなこの言葉を、良い意味でヌケヌケと口にできるブラッド・ピットはさすが、と言うべきか。
ブラピが演じるこの男は、肝心なことは口にしない。具体的な説明を受けるのではなく人を見て考え、行動と言葉の裏にある真意を見極めろと教えるのだ。克服すべきことが生まれたときにこそ学びの時が訪れる。そのためには本人の意識の目覚めが不可欠だ。そのことを最も理解しているのがこの男なのだ。
この作品が『トップガン マーヴェリック』になぞられる理由は実はここにある。音速で飛行する戦闘機と時速300キロを超えるF1マシンを動かすのは人である。共に常識から逸脱した人物を主人公に据えた両作品が描くのは、人を動かすための秘訣なのである。戦闘機もレース車両も独りの力では動かすことができない。勝つために、走り続けるために、自分は何をすべきなのか。その答えは映画の中にある。
あと、余談ですが、
プロフィールの写真、
いいですね ^_^
こどもの樹、でしたっけ
こどもの樹は、
たくさんの表情があって
さまざまな生き方がある、、、
岡本太郎、サイコ〜〜!
ブラピが演じるこの男は、肝心なことは口にしない。具体的な説明を受けるのではなく人を見て考え、行動と言葉の裏にある真意を見極めろと教えるのだ。克服すべきことが生まれたときにこそ学びの時が訪れる。そのためには本人の意識の目覚めが不可欠だ。そのことを最も理解しているのがこの男なのだ。
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たしかに、たしかに、
ソニーはちょっとカモクで
ちょっとニヒルで
なんか、美学のある生き様だなぁ
やっぱ、カッコイイなぁ〜

