「断捨離」愛されなくても別に U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
断捨離
エンディングの後ろ姿を見ながらいいタイトルだなと思った。
「愛されなくても別に」
必須な訳じゃない。
あなたから受ける愛などなくても、私にはさして問題なわけじゃない。
逆説的な見解だとは思うけど、それのみに固執してたら見失うものも見つけられないものもあるのだと思う。
あらゆる要素は差別や同情を受けるものなどではなく、多数派の同調圧力でしかないのだなと。
普通とか標準とか、色んな事がこれらをベースに語られる。そこに属さなければ異端児扱いだ。
むしろ、そんなものを崇拝している連中が気持ち悪い。作中にもあったけど、それらに馴染む事で安心したいのだろう。そして、自分達を肯定もしたいのだろう。
これらが幸福の内訳だ。
いや、推奨される幸福の内訳だ。
でも…。
皆、必死にそれにしがみついてるだけかもしれない。
枠組みからはみ出さないように。
息を切らして普通を演じてるのかもしれない。
それに何より、私の幸せは私だけのものじゃないか?
不幸比べが出来ないのと同じように幸せ比べだって出来ないのだ。
主人公は母親を捨てる。
あなたの居ない人生を歩むと。
母親は懺悔する。私が間違ってたと。でも具体的な事は何も語らない。コスモ様と一緒だ。抽象的な話題を振り撒きその解釈は個人の答え合わせに委ねられる。
そういう論法に終始する。
得体の知れない常識に惑わされなくて良かったと思う。ぶっちゃけそう言う事だ。
過度のストレスは切り捨ててしまえばいい。
それでも時間は止まらないから、そこからまた何かが始まるものでもあるのだと思う。
極論を言えば。
この作品に救われる人はいると思う。
悲しいかな、それが現代なのだとも思う。
作中、彼女達の笑顔をみる事はなかった。
でも、それが正解なのだと思う。
笑顔のカットがあったなら、それだけで明るい未来を予想しそうなものである。
そういう予定調和を嫌った結果なんだと思う。
色んな苦難を過去にしつつ彼女達は歩いていく。
遠ざかっていく背中にそんな事を感じてた。
あの2人、最後まで互いを苗字で呼び合ってるんですよね。
それでも心の距離の変化は伝わるし、キャラの解像度的にも正しかったように思います。
笑顔にも頼らず、声の温度感で表現されていたのも含めて。