「【”不幸中毒。けれど毒親に育てられても生きているだけで偉い。”今作は毒親に育てられたが故に死んだように生きていた女子大生二人が偶々出会った事で自分らしく生きる道を見つける希望溢れる再生の物語である。】」愛されなくても別に NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”不幸中毒。けれど毒親に育てられても生きているだけで偉い。”今作は毒親に育てられたが故に死んだように生きていた女子大生二人が偶々出会った事で自分らしく生きる道を見つける希望溢れる再生の物語である。】
■遊ぶ時間も遊ぶ金もない。毒母(河井青葉)のために学費のため、家に月8万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩(南沙良)。
浪費家で昼間から酒をかっくらい、男を連れ込む母を抱え、友達もおらず、ただひたすら笑顔無くバイトシフトをギリギリまで入れて生きる陽彩。
そんな彼女の日常は、彼女よりも遥かに悲惨な毒親による人生を送っていた同級生・江永雅(馬場ふみか)と出会ったことで徐々に変化して行くのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤の展開は観ていてキツイ。宮田陽彩はいつ寝ているのか分からないくらいに働き、大学に行く笑顔無き生活を送っている。
そして、浪費家で昼間から酒をかっくらい、男を連れ込む母に対し、毎月8万円を入れているのである。
ー 毒母を演じている河井若葉さんは、「あんのこと」でも同様の毒母を演じていたが、実はとても心優しき女性であるらしい。今作でも後半、宮田陽彩に”ゴメンね”と言う姿が説得力があるのだな。
序に言うと、先天的に子供に対し毒を吐いてしまう親がいる事も事実らしい。あんまり、信じたくはないけどね。-
・陽彩が母と別れた父が養育費を毎月入れていた事を知る雨の日のシーン。男としては妻と別れたとはいえもっとしっかり管理しろよ!と思いたくなるのだが、ラスト近くでの父から20歳の誕生日を迎えた陽彩に送られたラインの”生れて来てくれて有難う”と言うメッセージは、チョイ救われたな。
■今作では江永雅を演じた馬場ふみかさんの演技が図抜けていたと思うな。酔っ払い運転で、人を轢き殺して逃げている父、その為に彼女は被害者の息子から二度殺されそうになるし、学内では”殺人犯の子”というレッテルを貼られて生きている。
そして、父と別れた母からは身体を売れと言われていた事も凄い。だが、彼女は生きているのである。例え、水族館の水槽の前で一人閉館時間まで佇み、涙を流していても。
・陽彩と雅の出会いのきっかけとなった、過干渉な母親から逃げるために、新興宗教に嵌る同じく友達のいない木村さん(本田望結)が、観ていて”一番危うい”と私は思ったかな。
今作で新興宗教団体に陽彩と雅を連れて行くシーン。陽彩は、女性教祖様の言葉にぐらつくのだが、雅は決然と教祖様に対し、悪態を付くシーンは爽快だったな。雅が地獄を見て、経験して育って来た事が良く分かるシーンであり、逆に劇中でも言われるように、母親から学費、住居費全てを送って貰っている木村さんが一番危ういと思ったのである。
九州から乗り込んできた母により、木村さんを連れて陽彩と雅は、木村さんの母が運転する車で教団を逃げ出すのだが、木村さんは途中でその車を降りてしまうシーン。彼女は教団に戻ったのだろうな。新興宗教団体って、ご存じのように心に空虚を抱える人が、嵌るモノだが、木村さんは嵌り、陽彩も嵌りそうになるが雅のお陰で、嵌らないのである。
雅の強さを表したシーンでもある。
<そして、陽彩と雅は長年の友人の様に、アパートの一室で同居生活を続けるのである。最早親友の様にね。
陽彩の20歳の誕生日のシーンも良かったな。二人はアルバイト先のコンビニで、酒を買い、明るい同僚の男性から笑顔で”年齢確認をお願いします。”と二人がそれまで何度もお客さんに言っていた言葉を言われ,確認ボタンを押して二人で仲良く夜の道を帰るのである。
そこに入った父からのラインメッセージ”生れて来てくれて有難う”は、娘を持つ男としては実は、チョイ沁みたシーンでありました。
今作は、毒親に育てられながら、死んだように生きていた女子大生二人が出会った事で、自分らしく生きる道を見つける、希望溢れる再生の物語なのである。>
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