ふつうの子どものレビュー・感想・評価
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すごかった
子どもどうし、親や先生たちのそれぞれの強さと弱さが描かれていて、この映画の場面の外でも人生を送っているような実在感がある。今あの子はどうしているんだろうなどと考えてしまう。
グレタ・トゥンベリの影響で活動家のような女の子が、連合赤軍みたいに過激化する。彼女は人を支配したがる面があり、要注意だ。しかしそんな彼女がお母さんに一歩も引かずやりあって、グレタの主張を暗唱する場面は圧巻だ。あの会議室の場面が本当にすごくていたたまれない。イキリ坊主がずっとお母さんにしがみついて泣いていてみっともない。主人公の男の子は喧嘩やフィジカルは弱いけどしなやかな強さがある。
めっちゃくちゃ素晴らしかったし圧倒された。彼ら以外の過激派は最後まで現れない。
普通の内容、非凡な作品
呉美保監督の割に、重さはなく、子どもの生態をそのまま切り取ったような作品。
冒頭から、非常に自然な日常が描かれる。
はじめは喋り方に違和感があったが、あの頃ってああいう芝居がかった口調になったりするよね。
唯士くんが心愛ちゃんの気を引こうと起こす行動は、身に覚えもあり微笑ましい。
自分なら面倒くさくて勘弁だけど、あれに大人っぽさを感じて惹かれるのもあの歳ならではか。
(絶対おかっぱの子にしといた方がいいと思う)
陽斗くんは不快感の方が強いけど、物語の推進力としてはアリだし、確かにああいう子もいる。
最初の貼り紙程度なら、「結局手書きもしとるやん」というのも込みで楽しくも見ていられた。
ロケット花火からは笑えなくなるが、子どもならリアルにやる範囲なんだよなぁ。
模倣犯に対抗心を燃やす描写も然り気なく上手い。
自覚はないだろうが、義憤よりもやはり遊びや背伸びの感覚が強いのだ。
グレタさんっぽい少女の言葉を英語で暗誦できるあたり、心愛ちゃんも真剣ではあるのだが…
最終盤では、瀧内公美がぜんぶ持ってった。笑
陽斗くんのみっともなさや、正義を盾に言い返すことも出来ない心愛ちゃんが霞むクセの強さ。
あの中では一番正論だし合理的ではあるんだけど、正しくはないのもいい塩梅。
大人も子どもも演技が自然だし、描かれる内容もどこでも起こりえるものばかり。
そういった意味で、タイトルに偽りなく“ふつう”なのだが、これを撮れるのはふつうじゃない。
母親に対する3人の子どもの反応は、そのまま家庭内教育の影響が出ていましたね
2025.9.10 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(96分、G)
好意によって引き起こされる騒動を描いた青春映画
監督は呉美保
脚本は高田亮
物語の舞台は、とある小学校
4年生の上田唯士(嶋田鉄太)は、友だちの颯真(大熊大貴)たちと昆虫を捕まえるのが楽しみな子どもだった
唯士の母・恵子(蒼井優)は子育ての本を読み込む養育ママだったが、父・篤士(小路勇介)は入れ込みすぎないようにと思っていた
ある日のこと、作文を発表することになった唯士は、母に褒められた内容を披露するものの、担任の浅井先生(風間俊介)からは「ふざけないように」と言われて恥をかくことになった
塞ぎ込んでいた唯士だったが、次に発表することになった心愛(瑠璃)の発表を聞いて目が覚めてしまう
それから唯士は心愛の興味を引くために環境問題の話をし始め、その距離を近づけていこうとするのである
映画は、心愛に好意を持つ唯士が2人だけの時間を持てるようになる様子を描くのだが、心愛は問題児・陽斗(味元耀大)のことが気になっていることもわかってしまう
そして、心愛を振り向かせるために、さらに環境問題にのめり込んでいく
陽斗も2人が何かを始めるのだと思っていて、面白そうだと乗っかってきて、いろんなアイデアを出していく
そして、町中に環境に関するビラを貼ったり、肉屋に向けて花火を飛ばしたりしていく行為がエスカレートしていき、とうとう牧場の鍵を壊して、酪農の牛を逃がそうと行動してしまうのである
環境問題に関心のある心愛は同年代の少女(林田茶愛美)が動画で訴えていることに感銘を受けていた
いわゆる某環境活動家をモチーフにしたようなキャラクターになっていて、大人はその主張をバカバカしいと思っている
それは、少女は大人に利用されて「言わされているだけ」ということを知っていて、それらが環境問題ビジネスの一環だと見破っているからである
だが、無垢な子どもは「自分よりも意識が高い人がいる」とか、「少女の主張が真っ当に聞こえる」などの一面だけを都合の良いように解釈していく
そして、それがあたかも正義であり、それができる自分は特別であると思ってしまう
事件発覚後に校長先生(金谷真由美)が全校生徒に子どもたちに伝える「行動が起こす影響とその可能性」というものは、心愛には響かないものの、唯士は「大変なことをしてしまった」と思っているし、陽斗は被害者のふりをしながら嘘泣きを続けていたりする
そうした、自分を救おうとする回避行動も三者三様であり、そんな中でも唯士は本音を吐露することになった
それは心愛もほぼ同じような原因を持っていて、それを突きつけられる瞬間でもあったと言える
「子どもたちは良いことをしようとして間違ったのでは」と恵子は言うものの、自分の興味のある情報ばかりに傾倒するのはダメだと断罪する心愛の母・冬(瀧内公美)もいて、子どもが起こしたことに対する大人の反応も様々だった
陽斗の母・房子(浅野千鶴)は自分の子どもが言ったことを信じたいし、その態度がいつもと違うと指摘する声も聞き流していく
子どもを守ろうとする親は、それで子どもを本当に守っているとも言えず、これらの有事に際してどのように対応するかというのも親の役割だと言えるのだろう
いずれにせよ、子役の演技が神掛かっている作品で、印象が強いのは主演3人よりは、唯士に恋心を抱くメイ(長峰くみ)の存在だった
彼女のアプローチは結構巧妙で、さらに情報収集能力にも長けていて、相手に知られずに本音を引き出すのが上手いキャラだったと思う
これらを演じさせているシナリオとか演出などが凄い域に達していて、子役の演技が上手いからだけではない何かがあるのだと思う
心愛はあの動画で語られている英語を暗記するほどまで没入しているのだが、これは現代ゆえに起こる病巣の一つであると思う
AIなどによる最適化によって与えられる情報というのは、かなり一面性を強調しただけのものになっている
そう言ったからくりに気づける人、さらにそういった偏りから抜け出せる人には問題ないものの、子どもは与えられたものが全てだと思い込んでしまう
大人が見れば「子どもを使った環境ビジネス」だと看過できる動画も、子どもにとってはその判断にまで辿り着かないものだと思う
SNSを含むネット情報に対する未成年の関わりで一番怖いところがそこであり、規制が難しい部分でもある
映画ではサラッと描いているのだが、本来は大人に羞恥を与える目的で作られた恣意的な動画も、ケースによっては間違った行動を引き起こすこともある
なので、そう言った大枠について子どもと情報共有をしながら、理解を深めていく必要があるのではないか、と感じた
『いちご白書』から『君がいる、いた、そんな時』へ
冒頭で、だんごむしではなくわらじむしを子どもたちが探していて、これまであまり違いを考えたことがなかったので、ちょっと驚いた。暢気そうな男の子が、ふざけた作文を書いて、母親からは褒めてもらうが、担任教師は容赦なく貶す。風間俊介氏らしくない教師振りだった。次に発表した女の子は、環境問題について大人社会批判を展開し、ここでも担任教師は真面目に取り上げない。男の子が女の子の歓心を買おうとして環境問題で一緒に学習の機会をもとうとする。しかし、乱暴な男の子が乱入し、女の子はその乱暴な男の子の方に関心をもつ。3人の関係が何とか保たれ、3人で大人社会に抗議行動をしようと持ち上がり、実行に到る。
3人の抗議行動で牛を牧場から逃がしたことが、周辺住民の被害を生じたことで、学校でそれぞれの子の保護者を呼び出して指導することになった。暢気そうな男の子の両親は、途中経過も描かれていて、父親は関心低く、母親は教育情報書を読みながら、できるだけ理解ある子育てに努めている。乱暴な男の子の両親は、意外にも、父親も小さな子どもの面倒看が良く、その男の子は母親に泣いて甘えるばかりだった。女の子の母親はしっかり者で、理屈を通す娘にも頭ごなしで叱り、女の子は環境問題を通して母親を含む大人社会への異議申し立てを続けているようである気配が感じられる。瀧内公美氏は、『由宇子の天秤』では、上司や父親の正義に反する行為を告発しようとした役柄を演じたのとは逆の役柄を演じることになった。教師たちが子どもたちに、行動の動機を訊いていったときに、乱暴な男の子が何も答えようとしないことについて、女の子は学校での日常行動との乖離を指摘する。暢気そうな男の子が、女の子が好きになって一緒に行動したという正直な気持ちを言うと、女の子の母親が大いに評価していた。最後に、担任教師が子どもたちと保護者たちを連れて、被害者に謝罪に赴くときに、暢気そうな男の子が校門の側でわらじむしをみつけていたとき、女の子も寄ってきて、笑顔をみせていた。途中で、その暢気そうな男の子に関心がありそうな別の女の子が、買い物に誘ったりしていて、そこも良い雰囲気だった。
確かに、学生運動への参加動機として、女性が男性を引き込んで進められるという『いちご白書』的な流れもみられるし、女の子が著名な環境運動家のグレタ氏にも準えられるだろう。それとともに、広島県呉市立港町小学校を舞台に、外国人系のいじめられっ子と、落ち着きのない放送委員と、子ども好きな図書館司書とが交流し、子ども同士が放送や夜間潜入したりのいたずらをするという展開の『君がいる、いた、そんな時』とも共通する子どもらしい雰囲気も感じた。
家畜を逃がしてしまういたずらの既視感の一つに、『梅切らぬばか』が思い当たった。
鑑賞動機:呉美保監督10割
今回は早いペースで新作公開となり嬉しい。こどもたちが生き生きしてる。おとなもこどもも、男性陣はおおむねへっぽこ感が漂う中、土壇場のその発言はよく頑張った。でもさあ、その子じゃなくて、おちゃらけてるけど洞察力が鋭いあちらの子について行った方が、絶対幸せにはなれる気がする。
おとな側も蒼井優をはじめ、的確なサポート。瀧内さんが登場シーンが少ないのにインパクト強いし。
こども側に焦点を当てているものの、やはり監督は「家族」のあり方に興味があるのかなと思う。
ふつうがいちばん面白い!
いやぁ〜、総じて面白い作品。
「きみはいい子」の時も思ったのですが、
子どもたちをナチュラルに撮らせたら、
呉監督の右に出る人はいないんじゃないかしら。
今回も、メインの唯士を筆頭に、心愛も陽斗も上手すぎる!!
今の子役たちが上手すぎるのか、
呉監督の演出が素晴らしいのか⋯末恐ろしいです。
心愛ちゃんの陽斗に実は好意がある感じとか、
言葉に一切出していないのに、
態度と表情で、わかるぅ〜!!でしたもの。
そして、唯士の嶋田鉄太さん!
『ちひろさん』を観たときの感想も、
「マコト(嶋田鉄太さん)の素っぽさ最高!」でしたからねぇ。
今回は、さらにパワーアップしていました!
このまま、スクスクと良い役者になっていく様を観続けたく、
楽しみでもあります。
とにかく、
「これは映画の中だけでしょ〜」「フィクションが過ぎるでしょ〜」
のような拒否感もなく、
ふつうの子どもたちとその親の生活を覗き見て、
こちらも一喜一憂しておりました。
そして、会議室のシーンが最高に面白かった!
三者三様の親と子ども、タイプの違う先生二人、
ヒヤヒヤ
ドキドキ
ニタニタ
ビックリ
シンミリ
いろんな感情のオンパレード!
心愛ちゃんの涙には息を飲みました。
もらい泣きです。
しかし、瀧内さんは流石でした。
パンフレットから、子どもたちにはセリフなどは知らされていなかったそうで、
あれは怖いよねー。元ヤンだよねー 笑
また、校長でいいのかしら?
風間さん演じる浅井先生の今どきな感覚との対比のような
金谷真由美さんの先生も良かったです。
蒼井優さんと少路勇介さんの夫婦も自然だったなぁ⋯。
とにもかくにも、全キャストが素晴らしかったんです!
そこに、呉監督、脚本の高田氏を筆頭に周りのスタッフの皆さんの、
作品や子どもたちへの愛が溢れ出ており、鑑賞後、とても心が温かくなりました。
ラストの唯士のキョトン顔、最高です!笑
また、パンフレットに書かれていた4年1組の生徒たちの撮影の思い出が、
29人それぞれ個性的で、とてもしっかりしていて、
読んでいて面白くもあり、なるほどと感心することしきりです。
子どもはおりませんが、もし、子どもがいたら一緒に観に行って、
どんな感想を持つのかしらと、とても興味深いです。
もし、先生だったら、道徳の授業で上映し生徒たち一人ひとりの感想を聞きたいです。
大人も子どもも、それぞれに何か大切なものを得られる作品です!
そして、温暖化問題についても、
真剣に考えなくてはいけないと思いました。
おかしな世かい
完全オリジナルストーリー。
日本弱体化計画が順調で残念です。
間違ったことを正しいと思い込んでいる人たちに対して、皮肉も込められているかもしれない作品だと思えば腑に落ちます。
蒼井優さんがママの役で良かったです。先日観た『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年公開)の登場人物との繋がりは、おそらく無いでしょう。現在絶賛上映中の『国宝』(2025年公開)の登場人物との繋がりも無いのでしょうけれど、自分の想像の中で勝手にユニバース的に繋げて、それらの物語のその後の話かもしれないと思いながら楽しみました。
分厚いパンフレットの約半分が台本になっています。
三宅 心愛(瑠璃)のママ 三宅 冬(瀧内 広美)が心愛に叱る場面、子ども達には瀧内 広美さんのオフ台詞は知らされてなかったため、瑠璃さんと嶋田 鉄太さん(主人公の 上田 唯士 役)は、その時の瀧内 広美さんが本当に怖かったようです(パンフレットによる)。リアルな雰囲氣で迫力がある良いシーンでした。
学校に家族で呼ばれた時、橋本 陽斗(味元 耀太)のパパも来ていましたが、パパは下の子達の子守りをしていて、話し合いの内容に興味を持っていないようで考えさせられました。
自覚。
環境問題についた大人な作文を読む三宅心愛に好意を隠しながら興味で近づく生き物係の4年生・上田唯士の話。
同じ事に関心あるよで近づけば塩対応な心愛、そこへクラスの悪ガキ橋本陽斗が現れ態度一変な心愛…そんな一方通行な小学生の恋も絡めながら「温暖化、二酸化炭素減らそう」と行動を取る3人だが正義という体のイタズラが始まる…。
環境問題についての動画を観る心愛、…関心というより洗脳に少し見えて、好きな女の子に近づきたいという気持ちと悪ガキの提案に乗ってしまい始まるビラ作りからビラ貼り、ロケット花火からの牛となるけれど。
自分達のやってる事は正義だと思い込み悪い事をしてる自覚なしの心愛と陽斗、自分のしてる事は悪い事だと自覚してるけど乗っかりやってしまい後々ビクつき後悔してる唯士。
作品から伝えたい事は何が正解か分からないけれど子供のうちに少しくらい悪い事をした方が何が良くて何がダメ、人の痛みや気持ちが解る様になると思う…と作品を観て思った。
ここには書けないけど小学生の時悪い事したなぁ~と思い出した(笑)面白いとかではないけど観入ってしまった。
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